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商品説明
医療「先進国」アメリカには、なぜ「大学病院」がないのか? 明日の医療を変えるにはどうすればいい? 日本学術会議会長を歴任し、世界を股にかけたスーパードクターが出す、もっとも過激でまっとうな「処方箋」。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
黒川 清
- 略歴
- 〈黒川清〉東京大学大学院医学研究科修了(医学博士)。政策大学院大学教授、東京大学先端科学技術研究センター客員教授、日本医療政策機構代表理事。共著に「医を語る」など。
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紙の本
たらい回しや出産できる病院が無い等、日本の医療はひどい状態になりつつあるが、逆転の発想で改良の余地は多い。
2011/07/16 12:09
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
長寿国日本、皆保険制度は戦後の高度成長時代の
日本には高い効果を発揮してきましたが、今はたら
い回しや産科、小児科の医師のなり手がいないなど、
問題点が沢山出てきています。
筆者の述べる原因は2つとのこと。
1つは、日本の医療界が大学医学部を中心とした
タテ割り社会のままで、地域住民や市民視点で考え
られていない事。例えば、東京の御茶ノ水駅近辺には、
大学病院が幾つも内容的にダブって軒を並べている。
又、クリニック・町医者と地域病院との横連携が悪い。
これらの為に医療に関する、ヒト、モノ、カネに無駄
が非常に多い。医師自体も、偏差値が高いからや、
安定収入になるからと医学部を受ける人が増えており、
医師としての適正を見る事が出来ていない。又、折角
医師になっても、タテ社会に拘泥されて医療の質が伸
びない。
2つ目は患者側。医療行為はいつでもリスクを伴うもの
だが、あたかも100%成功するのが当たり前の様な
考え方をする。昔ならば死んでいた状況でも、現代の
医学では施術をするという難しい内容も増えている。
リスクの結果を一方的に追求したり、センセーショナル
に煽り立てるという風潮が医療風土に悪影響を与えて
いる。
又、本来は自己管理で行うべき生活習慣病なのに、
医療機関に行き医師のリソースや保険=税金を沢山
使っている事を何とも思わないで、医療費の高騰を
批判するなど。
これらの事で、医療制度も医師の質も破綻しかかって
いる。しかし、それらを改善する余地はある。
一つの例として、大分県中津市 中津病院での改革
がある。そこは、患者が減って赤字となり廃院になる
瀬戸際にだった。
当時の市長が地域のニーズを検証し、市内で病院をど
う生かすか考え、実行した。
・住民から信頼を得ている私立病院や医院がある眼科
と脳外科は廃止した。(ムダの排除)
・小児医療は24時間体制に切り替え医師数も増やした。
新生児NICUを新設し、今まで他の町まで搬送し
ていた市内での赤ちゃんの急変にも対応できるよう
にした。(地域での不足機能への対応)
・開業医では対応困難な循環器系疾患には、高度な
医療施設を整えた市民病院が対応できるように検査
体制やスタッフを充実するとともに、開業医との
連携体制を強めた。
(開業医と病院の役割分担の明確化)
・さらに、開業医が中津市民病院に出向いて手術で
きる様に開放。
(患者に身近なかかりつけ医が、高度な設備の
整った病院の施設を使って手術ができる事により、
患者の安心感の確保と開業医の医療の質の向上、
病院の人手不足の対応の3つの良い事ができる。)
これらの事で、市民病院も赤字から黒字に転化する
と伴に、病院と開業医の連携によりタテ社会が壊れ
て、医療の質もあがり、医師自体の満足度も向上し
てきた。
実際にこういう事ができるとのこと。大学医学部
からの上から目線ではなく、市民・地域からの視点
で日本の医療を現代に合わせて見直すべき時との強
い主張の本です。
そろそろ政府頼みではなく、市民からの意思で日本
を変えて行くという動きが必要な事を感じます。