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紙の本
「エロだけ」というのは、もういいです……
2007/07/07 17:49
9人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
本のオビにあった「萌え系えっち満載」の「萌え系」の意味は残念ながら私にはよく分かりませんでしたが、胸焼けがするほど「えっち」が「満載」であるのは間違い在りませんでした。
同じ出版社から出た 「エロとじ」を読んだときにも、つくづく思ったのですが、物語的な背景や、登場人物の個性や微妙な恋愛感情などをそっちのけで、エロばかり切り取って克明に見せられても、あまり「萌え」ないような気がします。でも、絵が魅力的だと、それだけでいろいろ補って楽しめてしまう場合も多々あります。そのあたり、マンガはお得であるかもしれません。
みなみ遥氏の「君を繋いでキスして抱きしめて」は、タイトル以上の何ものをも含まない、実にシンプルな作品でしたが、とりあえず絵がきれいなので耐えることができました。でもなんだかマネキンが交合しているようにも見えました。
山葵マグロ氏の「ネクラートホリック」は、齢三百年の吸血鬼が「受け」というものすごい作品ですが、主人公が作中で語っているように、やってることは一昔前のポルノ映画のノリでした。
南国ばなな氏の「桃色せえるすまん」は、怪しい玩具の訪問販売員と顧客の関係に心情的な余韻を感じられたので、中身がエロばっかりでも、まあいいかと思いました。
腰乃氏の「暴露の夜」は、この本の中では例外的にエロ度数が少なくお話が語られているのですが、デコボココンビの楽しい生態観察という印象で、いまいち色気がないというか、恋愛マンガを読んでいる気分にはなりませんでした。
カワイチハル氏の「ラブ・ハニー・ライター」は、やさしい同居人に保護され愛を補給されながら作品を書く、童顔ハードボイルド小説作家のお話ですが、同居人との心情的つながりに通り一遍の生温い依存以外のものが見えず、もの足りなく感じました。
桟敷ベム氏の「ベイビー・ベイベ」は、激しいドラマに支えられたエロだったので納得感がありましたが、主人公もその恋人も、礼拝堂のマリア像も、どこかの原人のように鼻が低く口の大きな顔立ちであることに(でも横から見ると鼻が高くホリが深くなる)、気持を「萌え」から遠ざけました。
北上れん氏の「雨天決行ルール」は、閨房であることが達成されたお祝いに、あずき入りのリゾットを作って「赤飯」なんて言って食べさせているところが、なんか良かったです。
和泉棒子氏の「恋のお見舞い申し上げます」は、かわいくて一生懸命なだけが取り柄の後輩が、私はあまり好きになれず、お話に入り込めませんでした。先輩の看病に来ておいて、散々迷惑かけた挙げ句ご飯まで作ってもらう無神経さはいただけません。可愛ければ何でも許されるようなお話は嫌いです。
かゆまみむ氏の「メロメロゲーム」は、片思いの相手の本心が、心の屈折や恥じらいを吹き飛ばす王様ゲームで露見するというお話ですが、屈折や恥じらいがお互いの気持の通じ合いを妨げていたわりには、あまりにもあられのない展開で、その違和感に目眩がしました。
わたなべあじあ氏の「パラデイィソ」は、このアンソロジーのなかで一番好きになった作品でした。「天国の谷」という閉鎖空間に隔離されているらしいイケメンの天使四人は、普段一体何をして暮らしているのかとか、なんで天使が軍服みたいなの着ているのかとか、彼らを夫とした主人公のキーラが無限に「卵」を生み続けたら一体どうなってしまうのかとか、考え出すと、無性にお話の続きが読みたくなりました。