紙の本
新しい生命!
2022/09/10 14:46
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投稿者:大樹パパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間って、新しい生命(生物)を創造できるほど想像力が豊かでない、既知の形の亜流でしかないものしか生み出せないと言われています。この書を眺めていると、本当にそうなのかな?と疑問に思います。それほど豊かな、なんでこんな想像ができるんだと、まるで深海魚でも見るような感覚でページをめくっています。
紙の本
ハラノムシが治まる成分が含まれております
2007/06/23 06:20
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:仙人掌きのこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
架空生物の図鑑というのは、なぜこんなに楽しいのだろう。シュテンプケの「鼻行類」しかり、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」しかり。生物ひとつひとつの意匠を味わうのも良いが、全体を流れる独自の世界観や体系がまたたまらない。役にたたない知識を蓄える喜びを満たしてくれる。この「戦国時代のハラノムシ」もまた、頁をめくるたびに思わず笑みがこぼれる一冊だ。前記の作品が好きな方なら楽しめること請け合いである。63匹の可愛い(なかにはグロテスクなものもいるが)ムシたちが、あなたを迎えてくれるだろう。
とはいえ、ハラノムシ達を「ハナアルキ」や「ぬっぺっぽふ」と同列にあつかうのは問題があるかもしれない。彼らが収められた『針聞書』は読者を楽しませようとして書かれたものではないからだ。れっきとした日本中世の学術書、医学書なのである。ハラノムシとは当時の人々が実在を信じた、自分たちを苦しめる病魔なのだ。『針聞書』は五臓六腑のうち特に重要な五臓(肺・心・肝・脾・腎)を五行説(金・火・土・木・水)に当てはめ、そこから各々に巣食うハラノムシの弱点を推測し、鍼や薬物で退治するという意図のもとにまとめられたものだ。現代の知識・医学からすればナンセンスかもしれない。しかし、当時も今も痛みや苦しみは「目には見えないがリアルにそこにあるもの」だ。それらに形を与える事によって、コイツさえいなくなれば解放される…と信じた人々の切実な思いを笑うことはできない。
そのような視点で見直すと、可愛らしく見えたハラノムシ達の顔がなんとも憎らしく見えてくる。馬・牛をモチーフにしたものは、こんなのが体内で暴れまわったらたまらないと思わせるし、名医でも手をやくヤツは笠をかぶっている。これでどんな薬もはじいてしまう、という理屈だ。なかにはハラの中にしまっている欲望を閻魔大王に告げ口して、宿主を地獄におとそうとするお節介で性悪なのまでいる。「痛み」にまでキャラクターを与えるあたり、アニミズム大好き日本人の面目躍如といったところだろうか。
このキャラクター性に目をつけた九州国立博物館(『針聞書』所有)では、絵本「はらのなかのはらっぱで」を始め、ハラノムシ・グッズを作り販売していて好評だという。戦国時代の病魔がこういう形で甦り、受け入れられるのは実に楽しい事だ。私もフィギュアを数点購入してみたが、肝積(かんしゃく)の胴体をオオオナモミ(いわゆる「ひっつきむし」と呼ばれる草の実)で再現するなど工夫されていて、なかなか愛らしい。ただし、収容された小瓶のフタをしっかり締めておく事が肝要だ。見ているぶんには癒し系だが、ハラノナカに潜り込まれるとやっかいだからである。
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行き着けの本屋がマニアックだったのは、私の趣向に合わせて仕入れてたから、と知ったきっかけになった本(笑)
昔の人って病気、ヒステリーでも全部虫のせいにし、その姿形まで想像していたんだなんて、なんか楽しい反面、よく治ったもんだと変な感心しちゃった(笑)
絵はフルカラーで紹介され、キモ可愛い虫たちが勢ぞろい。
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「針聞書」(はりききがき)戦国時代に書かれた鍼灸の指南書みたいなものかな。
「ハラノムシ」たちが素敵にビジュアル、昔の人の想像力って凄い。本文を現代風に翻訳して詳細な解説もついている。
本書でも解説しているが「ムシ」という言葉はいろんな場面に使われる。「ハラノムシがおさまらない」「ムシの居所が悪い」「ムシが好かない」など、なるほどなあと思う。気持ちを「ムシ」で表現、腹というのは心体の基本なんだろう。
「針聞書」を所蔵している九州国立博物館の土産物にはハラノムシキャラクターが満載。「ひぞうのむし」のぬいぐるみキーホルダー欲しいな。
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スタマック・モンスター
(略してスタモン)
ワタクシ、おなかが空いてないのに
よくおなかが鳴るなぁと
常々悩んでいたのですが、
原因は「鳴き寸白」という虫が原因のようです。
不本意ながら、スタモンゲットだぜ!
不健康自慢なアナタも
スタモンゲットしようぜ!
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レントゲンのない昔、腹痛だの胃痛だのは虫の仕業だったらしい。その虫たちがユーモラス(当時の人はマジ!?)に描かれていて楽しい。
絵本のように楽しめて、お気に入りの1冊。
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戦国時代の医学書「針聞書(はりききがき)」をイマ風に編纂。
この図鑑に載っているのは、戦国時代の人々が信じていた、人体にとりついて、病気を引き起こすとされていた63匹のムシ、ムシ、ムシ。たとえば、「鬼胎(きたい)」。この虫は気性が激しいわりに、体内をナメクジのようにソロソロとしか移動できないので、いつもストレスをためていて、この虫が移動すると必ず宿主はヒステリー状態になるのだそう。治療法には、鍼(はり)を刺して逆ギレし、症状が悪化するなら、むしろ施さない方が良いと…。こんな記述がそこかしこに見られ、奇妙でゆかいなハラノムシワールドが炸裂です。
こういうキテレツな本、大好きです。いつか九州国立博物館に行ってみたいな。
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面白いハラノムシがたくさん紹介されています。
蛇の形や鬼の形・・・
昔の人は病気などをこのように感じていたのですね。
漫画「蟲師」にも繋がりそうな楽しい本です。
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戦国時代では五臓六腑の病は『ハラノムシ』が悪さをするためだ、という考えが広くあり、当時の医学書にもその旨が正式に記載されていたらしい。本書はその医学書『針聞書』に登場するハラノムシを、図解、病状、治療法などの項目ごとに解説している。いやぁまさか、というハラノムシ達ばかりだが、それを本当に信じていたという人がいる事実に驚きと感動。病死した人の腹を開いたらそれがいたというのだから、現代医学に当てはめると…臓器をとりまく血管やそれらの梗塞を見間違えた?開腹後に感染した?
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戦国時代の医術書である「針聞書」を分かりやすく解説した本。
まだ病のメカニズムがなにも解明されていなかった時代、人々は病というものをどう理解し、どう対処していたのかということがよくわかる一冊になっています。
とはいえ、小難しい話ではないので、昔の人々が病気に対してふくらませてきたイマジネーションを楽しんでみればいいと思うよ!
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岩波書店の広報誌「図書」に連載されていた池内紀<生きもの図鑑>は、妙に面白い連載記事であった。学術的に記述されたのが、「戦国時代のハラノムシ」長野仁・東昇著(国書刊行会 2007)である。『針聞書』(九州国立博物館所蔵)という医書の中にある63種のゆかいな病魔たち「ハラノムシ」(スタマック・モンスター!)がカラーで掲載されている。以前にもこのレビューで紹介(第222号)されたが、再度、おススメしておきたい。一読すれば、腹の虫が笑うだろう!(第2閲覧室 490.9/N)
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戦国時代の医学書(鍼灸&漢方)『針聞書』にイラスト入りで紹介されていた、病気の元となるムシたちの図鑑。編者は摂州(大阪)の医師茨木仁介。イラストを見ると、全63種のうち半分ぐらいは蛇・線虫型で、寄生虫を描いたものかと早合点してしまいそうになる。が、現実には実在する寄生虫は1割ほど。蛇みたいな形をしていながらも、なぜか笠を被ってたり、ファンタジックな要素が少なからずある。もちろん、もっと妖怪っぽい変な形をしたムシも多数。
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あなたのおなかにハラノムシ
みんなのおなかにハラノムシ
「そいつはどんなハラノムシ?」
亀型・虫型・獣型
よくある形は蛇型で
顔面・岩石、怖い顔
「みんなのおなかのハラノムシ
虫たちどこに住んでるの?」
胃やら肺やら心臓に
腸や子宮も住処です
「体に住んでるハラノムシ
いったい何をしているの?」
悪さしでかすハラノムシ
いろんな病気を起こします
目眩や大食い、激痛に
厭世観や色狂い
体も心も壊します
「そいつは困ったハラノムシ
いったいどうしてやっつける?」
鍼の療治や豆・人参
陳皮や地黄を煎じます
「今でもいるのハラノムシ?」
ここに出てくるハラノムシ
戦国時代の人たちが
いると信じたハラノムシ
だけどまったくいないとは
ちょっと言えないハラノムシ
同じ姿じゃなくっても
やっぱり住んでるハラノムシ
あなたのおなかのハラノムシ
あまりに変な本だったので、レビューもヘンになってしまいました(^^;)。
これだけでは意味不明なので、真面目な解説を少しつけます(^^;)。
九州国立博物館所蔵の『針聞書(はりききがき)』という「医学書」(!)に出てくる病魔のスケッチと解説を収録した本です。『針聞書』は戦国時代に鍼師として活躍した茨木二介が編集したもので、成立は1568年とされています。鍼治療の教本の体裁ですが、紙面の半分は化け物かと見紛うような「腹の虫(この場合は蟲が正しいかな?)」の図鑑となっています。本書では、この図鑑部分を独立させて、見やすいように、虫たちをタイプに分け、解説部分は現代語訳して載せています。
表紙に虫の絵の一部が載っていますが、それほんまに見たんかい!?と聞きたくなるような百鬼夜行ぶり。各虫にはそれぞれの棲息域・特徴・引き起こす病状・治療法・症例・原理などが記されているのですが、これが妙に具体的。一例として、「噛み寸白(かみすばく)」と呼ばれる虫の項を引用してみます。
棲息域 肝臓の後ろ側
特徴 たいへん凶悪な虫である。白い蛇のような胴で、節目ごとに口があり、この虫にとりつかれた人の体内を噛みつく。
病状 あちこち同時に咬まれたら、腹に激痛が起こると推測される。
治療法 薬は効かず、ソバ粉に葦毛馬のしっぽの毛をとても細かく刻んだものを混ぜ、上等な酒で練って食べると虫は消滅する。
原理 切り刻まれた長い尾の毛に込められた残留思念が、節目の多い虫の胴体をバラバラにしてしまう呪術療法である
・・・なんですか、それは・・・?
ただこれ、本当に真面目に、医学書として書かれ、ある意味、秘伝の書的に伝えられてきているようなのですね。治療法で使っているものの中には、今でも使われているような漢方の成分も多いですし、鍼治療の場合は口伝とされているものも多く、すべてでなくてもおそらく実際に施されていた治療法なのだろうと思います。
この時代、寄生虫も多かったでしょうし、蛔��・蟯虫などを実際に目にすることも珍しくなかったでしょう。そうして見ると蛇型の虫が多いのは頷けます。
亀型・顔面型のものなどはあるいは腫瘍のようなものだったのかもしれません。
解剖が一般的でなく、何らかの理由で体外に出た「ハラノムシ」の断片から想像して、現代では奇っ怪に思える数々の虫たちが「生み出された」のでしょう。
「疳の虫」「癪の虫」「腹の虫の居所が悪い」などという心身の不調は、自分では制御不能な「何者か」が腹の中で悪さをしていることの現れと思うのが、ごくごく自然な流れだったのかもしれません。
少しだけ、穿った見方をすれば、腸内細菌叢がヒトの身体あるいは精神状態に影響を及ぼすというのも十分ありうる話ではあります。そうした意味では「ハラノムシ」がいる、と思っていた戦国時代の人々の「実感」はあながち間違ったものではないのかもしれません。
いずれにしろ、おなかは大事にしましょうね!?
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楽しかったです。
戦国時代の医学書である『針聞書』に乗っている病の元である虫の姿と治療法。
人の想像力は無限大だと思っていますが、可愛いですねぇ。
それが狂暴とか書かれていて、少し笑ってしまったりもしましたが、当時の病は死に直結していましたから、医師も必死だったのだと思います。
一時、行方不明になっていた『針聞書』が21世紀に再発見されたのも意味があることなのかもしれませんね。
楽しかったです。九州国立博物館へ行きたい(´;ω;`)