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商品説明
小泉内閣の外交の記録、「首脳外交」というものがどのようなものであるかを、49カ国51回の外遊一つひとつについて綴りながら、できるだけわかりやすく示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
飯島 勲
- 略歴
- 〈飯島勲〉1945年長野県生まれ。小泉内閣の首席総理秘書官を経て、小泉純一郎政策担当秘書。永年秘書衆議院議長表彰、永年公務員内閣総理大臣表彰を受ける。著書に「小泉官邸秘録」など。
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紙の本
天才政治家小泉純一郎が行った偉大なる首脳外交の軌跡
2007/05/31 10:24
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の出来はイマイチである。前著の『小泉官邸秘録』が予想外に売れたので、この本でカバーし切れなかった「首脳外交バージョン」を急きょだしたとのことだが、慌てて出しただけあって、中身は事実の記載が延々と続くのみで「エピソード」「こぼれ話」的なものはほとんどない。ほとんど「写真集」に近い仕上がりとなっている。ただ、それを丹念に読み込んでいくと、5年5ヶ月の間、小泉純一郎という偉大なる天才政治家が為した外交の成果が、如何に偉大なことだったかがしみじみと分かってくるというものである。
【世界の首脳のハートを一瞬でつかむ小泉】
小泉は欧米で軒並み評価が高い。最初の首脳会談でブッシュ大統領のハートをがっちりつかんだ小泉だが、その天才は、他の首脳との会談でも如何なく発揮される。カナナスキスサミットで深刻な表情で一人考え込むプーチン大統領を目ざとく見つけた小泉が「何をそんなに悩んでいるんだ」と声をかけると、彼は「翌年に予定されているペテルブルグ建都300周年記念式典とフランスのエビアンサミットの日程が完全にバッティングしており、このままだとプーチンが国の威信をかけて行おうとしている300年祭に世界の首脳が誰も参加できないこととなってしまう」と悩みのわけを打ち明ける。ただちに小泉は「おい、シラク。エビアンサミットの日程を3日ほどずらせや。プーチンが困っているぞ」とその場でフランスのシラク大統領に話しかける。満座の中で小泉に迫られれば是非も無いとシラクは直ちにサミット日程の変更を約束する。その瞬間、それまで暗い海の底に沈んでいたようなプーチンの表情は劇的に明るくなる。「小泉、ありがとう。この恩は一生忘れない。何かあなたのために出来ることはないか。今度、金正日に会うが、その際、何か日本のためになることをしよう」とプーチン直々に申し出があり、あの日本の戦後を回天させた「小泉訪朝」の下地ができあがるのである。
【北朝鮮外交】
小泉の最大の功績は、何といってもこの北朝鮮外交であろう。彼の功績は安全保障上というより日本国内の言論状況に対しての方が、より大きい。それまで日本国内には「こいつ北朝鮮の回し者ではないか」と思われる連中が一定の影響力を保持し続けてきた。岩波の「世界」はTK生なるペンネームで行われる虚偽の政治宣伝記事を長らく掲載し続けてきたことなどが、この代表であろう。しかし金正日の拉致告白以後、こうした勢力の立場が完全崩壊し、論壇から彼らは姿を消さざるをえなくなった。飯島さんは「拉致問題が足かせになって北朝鮮との国交正常化がフリーズしてしまっていいのか」というプロらしい立場をとるが、民主主義国家では、こうした冷徹な外交はとり難い。米国でもベトナムとの国交正常化はMIA問題が足かせになって長らく出来なかったのである。
紙の本
小泉首相外遊記
2007/05/28 16:47
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小泉外交の成果といえば、すぐに挙げることができるのは、北朝鮮に乗り込んで拉致問題に風穴を開けたこと、また、ブッシュ大統領との信頼関係を通じた日米同盟の強化、さらには、退任間近の中央アジア訪問に代表される、これまで日本が重視してこなかった国々との関係の構築、といったところだろうか。
モンゴル、カザフスタン、ウズベキスタンという中央アジア訪問については、退任間近ということもあって、バカなメディアが「卒業旅行」などと揶揄していた。
冗談じゃない!小泉総理の訪問は、その後の安倍内閣になって甘利経産相ほか政財界が乗り込んでの資源エネルギー外交の成果として実を結びつつある。それも、小泉総理が打った布石の成果なのである!
また、小泉外交最大の成果と言ってもいいのは北朝鮮外交だろう。それまで「拉致疑惑」と呼ばれていたものだが、金正日総書記に拉致の事実を認めさせ謝罪の言葉も引きだした。そして、被害者の一部とその家族の帰国も実現したのだ。小泉訪朝前までの状況を思い出してみれば、大変な進展だろう。さらに、諸外国の信義に信頼していた日本国民の意識を覚醒させた効果も大きい。
だが、その後は拉致問題の膠着と共に、北朝鮮外交が手詰まりになってしまっているようだ。
本書の著者・飯島秘書官は次のように記す。
「皮肉なことに、拉致事件が大きく動いたがために、この問題が納得できる形で解決されなければ他の課題を動かせない状態に陥ってしまったのだ。・・・しかし、現在のような状態で、日朝間の他の懸案事項が膠着したままでいることが本当に我が国にとって好ましいことなのだろうか。・・・我々は北朝鮮とどのような関係を望むのか、もう一度考えてみなければならない時期にあるのではないだろうか。」(P177,178)
まったく同感である。最近、評者も感じていたところだ。拉致問題は棚上げせよとは決して言わないが、今のままで本当にいいのだろうか?
さて、小泉総理の外遊は51回に上った。本書はそのすべてを記すものである。51回の外遊記録を一冊に纏めてあるので、個々の内容は比較的簡潔なものである。そのため、例えば、訪朝や何度かあった訪米など、個々の外遊の交渉過程を詳しく知りたい読者には物足らないかもしれない。
本書は、外遊のすべてを記すことによって、首脳外交、小泉総理の交渉力、人間的魅力、そして、小泉総理が海外でどのように評価されたのかを明らかにし、小泉外交の総合的成果を世に問うものと言えるだろう。
本書中には興味深いエピソードもいくつか書かれている。例えば、2001年上海でのAPEC首脳会議である。ホテルの部屋での小泉総理のつぶやきをなぜか中国当局が把握していた事実など、いくつか注目したいところだ。
51回の外遊記から見えてくるのは、小泉総理が各国首脳・要人から極めて高く評価されていた様子である。彼の人間的魅力、演説上手な点が各国首脳を掴んだのではないか。
最後の訪米は、プレスリー邸に招かれたりして大層話題になった。メディアの報道は、プレスリーのパフォーマンスに集中していたが、この訪米では実はホワイトハウスでの公式晩餐会のスピーチが圧巻だったのだ。
小泉総理の演説を「米国側出席者の多くが涙ぐんで聞いており、終わった後、しばらくスタンディング・オベーションが鳴りやまなかった」(P277)のだった。
評者も日本人として涙が出るくらい嬉しく誇りに思うところなのである。