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商品説明
生成の立場に立つ東西の思想を振り返りながら、それを現代の「複雑系の科学」と架橋、21世紀初頭の思想状況の再構築を目指す新たなポストモダンの思想を提示する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小林 道憲
- 略歴
- 〈小林道憲〉1944年福井県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。福井大学教育地域科学部教授・麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授。
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紙の本
ポストモダンに於ける複雑系の可能性。
2007/06/21 16:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャラがかぶることは、当人たちの存在が目立たなくなるので、お笑いの人には特に忌み嫌われている。「複雑系の哲学」と「複雑系の科学」はどうなのだろう。素朴な疑問。
「科学は、世界を単純化するものであってもならないし、世界の完全性を追求するものであってもならない。むしろ、不完全なものを不完全なままに、生成するものを生成するままに理解する科学が必要である。複雑系の科学は、確かにその可能性をもっている」
作者は「複雑系の科学」には、従来の哲学ではなく、綜合的、それこそメルクマールとなるべき「複雑系の哲学」の確立及びヘルプが必要だと唱える。本書は理系の人を念頭に置いて書かれているのだろうか、文体が、生硬ではなく、ポエジーのような、散文のような。
「世界は絶え間ない流れのうちにある。世界は、自己自身を生産し、千変万化する生成する世界である。世界は、<ある>のではなく、<なる>のである」
このような断片が散りばめられている。
「多でありながら一であり、一でありながら多である。多なる一であり、一なる多である。一の中の多、他の中の一、それが実在の原理である。全体的一と個別的多は相即する。あらゆるものは多様性に満ち、差異性に満ちているが、同時に一体でもある。存在は、多様性における統一性であり、統一性における多様性でもある」
即ち、それは「地球生態系」であり、宇宙であると。さらに、「ライプ二ッツのモナドロジー」にも通底し、「「一即一切」を説く華厳哲学」にもリンクする。ミクロコスモス=マクロコスモスでもあるし、「部分=全体」である。『生物と無生物のあいだ』福岡伸一著に出てくる「内部の内部は外部である」にもほぼ通じることである。「世界はネットワーク構造」、すべてつながっているのだと。バラバラでいっしょってことで。
「世界が階層性をもつのも、そのことによる。ネットワークが、次々と新しいネットワークを創発し、それを積み重ねていくことによって、階層分化が生じ、それに応じて機能分化も生まれる」
「世界は、相互作用を繰り返し、幾重もの階層を形成しながら、より複雑な方向に生成発展してきたのである」
「存在するとは、このような世界の自己形成の一瞬の軌跡に参加することなのである」
引用ばっかって気がしないでもないが、おこがましくも補足させていただくならば、たぶん、それはスモールワールド・ネットワークであり、驚くほどシンプルで、驚くほど迅速に為される。「複雑系」という名前に似合わず。たとえば脳。
帯に「「科学」と「哲学」の対話を通した新しい世界観の展開」と惹句がつけられているが、「宗教」が抜けている。個人的に、科学書から複雑系や哲学を探っていたんだけど、この本で真逆のアプローチができる