紙の本
経営に役立つ視点を提供してくれた1冊。書評と言うよりは自身のメモにかえて
2009/09/14 00:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やすのり - この投稿者のレビュー一覧を見る
「競争は戦略の目的ではない」、「ライバルに勝つことは最優先課題ではない」。なるほど、確かにそうなのだ。「顧客志向の戦略が奏功し、直接対決を回避してしまうと、かえって居心地が悪い」ことは実感値として共有できる部分もあるが、やはり「戦略は顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。」ライバルと同じ土俵に乗って、切った張ったをやっている内は、会社としてブレークスルーできないのかもしれない。
「変動費中心の環境では、経営者の主眼は、原材料費、賃金、労働時間を減らして利益を上げることであった。しかし、固定費中心の環境では、固定費の回収に当てられる限界利益を最大化することに主眼を移さなければならない。つまり、売上を拡大するのである。」この環境変化に気付いている経営者がどれだけいるか。
「ブランドの構築と維持でもまた、固定費化が見られる。」、「たとえば、ある会社がコピー機を買おうとした場合、担当者は自分のよく知るブランドの上から順に二、三のメーカーに電話をかけるはずだ。」、「顧客によく知ってもらうには、そのポジションを維持していなければならない。そして、それを保つには、相応の負担が必要である。」なるほど、グループ子会社社員である私としては、本社のブランドを活用することによって、このポジションを得させてもらっていることに感謝しなければならないのだろう。
「販売ならびに流通ネットワークに関しても、固定費化が進むという類似の動きが起こっている。」、「もし自社の海外販売部隊に投資する必要がなければ投資するな、という意味である。もしあなたがアメリカで製薬会社を経営していて、日本で売れそうなよい薬を持っているのに日本に販売チャネルがない場合、やはりよい薬を持っているのにあなたの国に販売チャネルがないという日本の製薬会社を探せばよい。そうすれば、あなたの会社の固定費である販売チャネルを通じて、二つのよい薬を売ることができて、二倍の利益を上げられる。これは、その新しい日本のパートナーについても同様である。こうすれば、巨額の費用を二重に投資する必要もないし、競合と接近戦をする必要もない。パートナー同士が協力し合い、お互いの固定費に対する限界利益を最大化できるのだ。」本社の販売チャネルを存分に活用させてもらっている立場として、相手に提供できるメリットも最大限に考えて、提供することで、協力関係を継続発展させなければならないし、隣接業界ではあっても同一業界には属さない、本社販売部隊に対する情報提供、教育啓蒙がグループとしての対顧客価値提供の極めて重要なポイントになる。
「アライアンスとは、緩やかに進化していく関係なのだ。」、「アライアンスのパートナーとなった企業にしても、調整のわずらわしさや、協力してやらなければならないことの多さ、それに自由に動けないことへの不満を言う。そして、得られた利便性や利益のことは忘れてしまうのだ。」、「協力関係を自分個人の約束と考えよ。パートナーシップを円滑に動かすのは人間である。」、「地理的にも企業によっても文化は異なるものだと受け止めよ。パートナーが、我々と同じように行動し、対応すると期待してはならない。予期せぬ反応があった場合は、その背後にある真の理由を見つけよ。」、「パートナーの関心事と独立性を認識せよ。」顧客第一主義に基づく戦略構築には才能や先見性が要るのかもしれないが、思考と行動において勤勉であること、愚直であることを旨としつつ、本社のブランドと販売チャネルを活用し、共に成長することで顧客への価値提供力を高め、まずは業界のトップグループへの仲間入りを果たしていきたい。自身の仕事に引き付けて様々な教訓が得られた1冊であった。
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昔の書いた内容を集めて本にしてある。今の状況と比較するコメントを追加すると面白く読めると思うが、そこまではやっていない。
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大前氏の80年代〜90年代の寄稿論文集。
さすがにバブル期の内容であり、現状の経済状況とは大きく異なるが、グローバル化を見据えた戦略や未来を見据えた提言など、さすがだなと思わされる。内容は難解である。
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この本に書かれていることが古いと思う人が多いはず。
当然です。80〜90年代初期に書かれた論文をまとめていますから。
そのため、この本を勧めたい人は以下に該当する3パターンの人。
?KOが『地域国家論(道州制)』『新資本論』『新・経済原論』に至るまでの素地を知りたいと思っている人
?『IT発展後の経済は結構知っているがそれ以前はからきしダメ』という歴史観点のない人(orグローバルな観点から過去を見直したい人)
?今後の新興国がどのように動くのかという一つのヒント・切り口が欲しい…人、探している人
こういったヒト達には本当に役立つ情報があります。
私ですか?
???全部に該当しています 笑
特にITの登場に対する考え方が変わりました d(=ω=)
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コンサルタントとして世界的にも有名な、大前研一氏の著作です。
なぜこの企業は成功して、あの企業は失敗したのか。 成功する企業が展開する事業戦略の法則について、大前さん自身のコンサルとしての経験を交えながら書かれています。 顧客第一の帰納的戦略がいかに重要であるか。 学生の自分が言うのもなんですが、会社、会社の人を背負う経営者の人には絶対に読んで欲しい1冊です。
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企業戦略の考え方について、成功事例とその成功のキーサクセスファクターを元に述べており、無知な私でも理解し易い一冊。【S.F】
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やっぱり、大前研一はスゴイ。
ただ、過去の論文の寄せ集めであり、かつ掲載論文が古いことが残念。
やはり、同氏の企業参謀などの名著に学ぶほうが良いと思う。
論文集では、アウトプットでしかなく
氏の思考プロセスを学びづらい。
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やはり、原理原則は過去も現在も関係ないと再認識させてくれた本。
過去の事例が役に立たなければ、歴史がこんなに注目を集めることはないと思う。
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本書は、大前氏がかつて寄稿した論文を日本語訳に直し、パッケージ化
したものである。時代が異なることから、収益機会の損失といった同じ問題であっても
事なる状況、ロジック、そして解決策となると思うが、根本的な考え方、方法論は
一切風化しないと考えられる。
よって、大前氏の数ある論文から一つづつ取上げ、何が大切で、どのような
方法を取っているのか、又はロジックの流れはどのようになっているのか等を
読み解いていきたいと思う。
今回は第一章の「競争は戦略の目的ではない」という論文から知恵を得る。
「競争」が流行っているが、果たして「競争に勝つこと」が目的だろうか。
否、最もよい戦略は戦わずして勝つ事。つまり競争しないで勝つことだ。
そのためには、競争状況においてコストを目指すものでも差別化の名の下に
欧米モノマネで高級路線に走ることでもない。顧客目線で事業開発をする事である。
以上が本論分のコアの部分だ。
だが、上記内容は今では当たり前のことだ。
では、それを実現するためにはどのような方法を取っていけばよいのか。
氏の例示内容からポイントを列挙していく。
ヤマハ:正確な状況の把握(現場ヒアリング等)
家電メーカー:顧客の求めるものは何か?深堀をしていく。
その時のコアは原点に立ち返った質問事項であり、数人からのロングインタビューである。
カメラメーカー:なぜ“出来ないのか”を徹底的に解明。1万8000枚の写真検証。
家電メーカー:数百件の台所写真を取り、検証。
製薬メーカー:そもそもを考える。そして、社員50人、毎日1時間ごとに体調について一年間の記録を実施。
上記を考えると、つまり「現場力」が非常に大切であることが分かる。
昔の言葉では、足で稼ぐ。そこからしかインサイトは生まれてこない。
ただ全ては検証できない。そこで仮説を作ることになるが、その仮説を生む時にも
現場でのインタビュー、又は専門家へのインタビューが有効となる。
と、なんだか当たり前の内容になってしまったが、今のプロジェクトでこうも
きれいに出来ているだろうか。と言われるとなかなか難しい部分がある。
見習える箇所は多いにあると思う。
以上
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大前研一氏がHBRに書いた過去の論文10本と、WSJ紙に載せた短いコラムを寄せ集めたもの。書いた時期もまちまちで本として内容の一貫性は当然無い。各論文は、80年代から90年代半ばに書かれており記載されている内容は正直古い感が否めない。特に、トライアドという言葉で日米欧の三極をビジネスにおける主戦場として定義しているが、すでにBRICSの台頭によって、現在こうしたトライアド地域が世界経済を牽引している状況には無いのは周知の通りである。トライアドを前提として書かれている企業戦略に対する様々な考察は、もちろん普遍的なものもあるが、市場環境が大幅に変わっている中で違和感があるものも多いという印象を受けた。これら論文の発表当時から10〜20年の年月が過ぎている現在、同じような趣旨の戦略論が後塵より洗練された形で提示されており、それらはより現在の市場環境を的確に反映している。こうした後塵に対する大前氏の功績も大きいとは思うが、今ここで無理やり古い論文集を出す意味がよくわからない。中身を見ていくと、半導体チップのクロック数の開発競争において、日本企業がキャッチアップし逆にリードする過程で、その競争力の源泉となったのは技術力だけではなく、むしろ変化への対応を迅速に行う組織と制度設計にあったという指摘はうなずける。また、環境への変化への対応として、現在中核となっていることを、Do More Betterでは乗り越えられないことが指摘されている。ミシンに見切りをつけ、制御技術を利用してOA機器メーカーとなり高収益企業へと脱皮したブラザーと、ミシンの更なる改良・改善への道を走り結局倒産したリッカーの対比はよい例であろう。
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1980年代に書かれたものとは思えない先見性には、目を見張る
ものがある。
しかも英文で、ハーバードビジネスレビューへ寄稿していたと
いうのだから、そのバイタリティは、どこから発生するのか?
大前氏が、日本で正当な評価を得ていないと以前より感じて
いたが、この書を読んで、日本人は、つくづく日本人を過小評価
するものだと実感した。
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本書は1982年から1995年にかけて「ハーバード・ビジネス・レビュー」、「ウォールストリート・ジャーナル」に寄稿した論文が、まとめられている一冊となっています。
■ライバルに勝つことは最優先課題ではない
「ライバルに勝つ」という目標は、行動方針や業績評価指標を設定するうえでは説得力がある。しかしその考え方がそもそも間違っているのである。
生産能力や製品開発、ロジスティックスにおける競争優位はけっして悪ではない。だがそれは、戦略本来の目的ではない。また、そうあってはならない。ライバルに勝つことだけに血眼になると、戦略は相手の出方次第で変わることになる。
戦略プランニングにおいて競合他社の存在を考慮するのは当たり前だが、必ずしも最優先事項ではない。まず考えるべきは「顧客ニーズ」である。労を惜しまず顧客ニーズに応えているか、製品やビジネスプロセスはどれくらいの水準にあるか、製品企画、製造、販売といった活動はどれくらい顧客ニーズを満たすものかについて点検する必要がある。すなわち、戦略は顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。
最優先すべきは、顧客価値を創出する戦略なのだ。
■先見力の五つの要件
① 事業ドメインを明確に定義する
② 事業環境に働いている各種の力の動向を、因果関係に基づいて将来どうなるか推定し、最も可能性の高いシナリオを論理的な仮説として、単純な言葉で簡潔に記述する。
③ 事業展開のうえで存在する数多くの代替案のなかから、いくつかの案を選ぶ。いったん選択したなら、人、技 術、資金を、大胆にしかも積極的に集中して投入しなければならない。数少ない代替案に、より多くの資源を 集中することによって成功率を高めることができる。
④ 全力を投入し多くのことを短期間に達成しようとするのではなく、資源の有効活用と、戦略実施のペース配分を検討する。そのことによって成功率を高めることができる。
⑤ 経営者は戦略選択の条件が有効である限り、それに沿っていかなくてはならない。しかし、想定していた条件が変わったなら、事業の基本的な方向をも変えてしまう用意がなくてはならない。
本書は、このように大前氏ならではの戦略コンセプトの原点が書かれています。
ここでは書ききれないですが、本当に新しい発見が多い内容でした。
戦略論というと難しそうですが、教えられたというより、気づかせてくれたという感覚があっているほど新鮮な内容で分かり易かったです。
みなさまも、ぜひ一度、手にとってみてください。
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戦略立案に大事なことは?
→戦略でまず考えるべきは顧客ニーズであり、ライバルを打ち負かすことではない
顧客が求めているのは何かを繰り返す
事業ドメインをユーザーの目的関数に沿って定義し、それに従って市場をセグメント化する
優れた事業戦略には、
1.市場が明確に定義されている
2.強みと市場ニーズが一致している
3.成功要素において競合以上の実績を発揮している
顧客ニーズの違いと市場カバレッジ、つまり地域、販売チャネル別という2軸のマトリックス
定期的にビジネスシステムを見直し、ゼロベースの再構築を行う
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大前氏がビジネス誌等に寄稿した論文の中からいくつかをピックアップして書籍にまとめたもの。本自体は2007年に出版されたものであるが、ピックアップされている論文は1980年代のものが含まれていたり、古いものもあったが、その内容に古めかしさは感じない。現代でも散々言われているものである。
また、論文の寄せ集めかと思いきや、テーマは一貫しているため、内容はひとつのストーリーのように流れている。
本書の内容は大きく分けると2つの内容に分けられる。企業戦略における総論にあたる箇所と企業の海外展開時における戦略についてである。主にはマーケティングのSTP領域の内容となっていると感じた。
企業戦略総論では主に以下について。
・顧客価値創出を目的とした戦略立案。
・事業ドメインの考え方
・ゼロベース思考の重要性
海外展開では主に以下について
・インサイダー化するには
⇒現地統治主義の採用
⇒現地企業等とのアライアンス
・海外市場の捉え方
(ニーズの類似性で地域をセグメント化する)
⇒事業文化ユニットの考え方
⇒トライアド戦略
総論的な考え方を理解したうえで、海外展開にあたってのパートを読むと理解しやすいと思う。海外展開についての論文に関しては、1980年代もしくは1990年代に発表されたものであったが、新鮮な気付きを与えてくれた。多くのインテリにありがちな奇抜で突拍子もないような内容が書いているわけではなく、ひたすら論理に忠実に論が展開されている。本当に頭のよい人だなぁと改めて思った。
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出版自体は古い1冊ですが、大前さんの本は内容が理解しやすく、そしていつのタイミングに読んでもビジネスに生かせる点が凄く多く、ためになりますね。