いい名

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投稿者：佐々木　なおこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

この頃、以前にもまして涙もろくなりました。
つい最近では、竹内まりやさんや平井堅さんの新曲を聞いて、ホロホロホロリ。
そして、この本を読んでもまたホロリ…。

誰しもが自分の名前について改めてしみじみ感じ入る、そんな気持ちにさせてくれる一冊。
書家・紫舟さんによって書かれた１００人以上の方のお名前が紹介されています。
朝日新聞大阪本社夕刊の連載「いい名」が一冊にまとめられたものだそうで、まず最初に、表紙の文字に圧倒されます。
なんと見事な『名』でしょう。

「なまえは、新しい命のための最初の贈り物。
誰かがあなたのことを想い、将来を願い、幸せを祈り、たくさんの時間と愛情を費やした、
あたたかなぬくもり、なまえ。
大人になってどうしようもないキモチになったり、ときとして抱えきれない孤独と寂しさの中にいることがあれば、
なまえを見つめてみてください。
あなたが愛されていることを、
あたなは一人じゃないことを、
あなたを大切に思う人が必ずいることを、
あなたの幸せを祈る誰かがいることを、
きっと思い出せるはず。」
まえがきにこうありました。

ページをめくれば、それぞれのお名前と、その由来や思い出話、
そして紫舟さんによって「その方にあったタッチで」お名前が書かれています。
その書体の多様さには驚かされました。
それぞれの名前に込められた想いがほとばしるようで、
こんな表現の仕方があるのだなぁと感心しきりです。

そしてお一人お一人の名前についてのエピソードには心惹かれるものがたくさんありました。
とても寝転がって読めるようなものでないものもたくさんありました。
クスリと笑ってしまうようなエピソードもありました。
読んでいて、時にホロホロして、そして最後には知らず知らずに心が温かくなっていました。

７９歳の一一（かずいち）さん、
２３歳の大（だい）さん、
０歳の暖（はる）くん、
１歳ののばらちゃん…

この本に登場されたすべてのお名前をここに書き記したいくらい、しみじみ良かったです。

さてさて私の名前と言えば、漢字で書くと直子です。
両親から素直に育って欲しい…との願いを込めてつけた名前と聞きました。
それを聞いていたせいか、名前の漢字は？と聞かれたとき「素直の直」と言っていましたが、
ある時から急に気恥ずかしくなり「直線の直です」と答えるようになりました。
こんな私ですが私の名前は直子しかないと、しみじみ両親に感謝している今日この頃です。＾＾