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紙の本
文章のみがき方 (岩波新書 新赤版)
著者 辰濃 和男 (著)
いい文章を書くために、作家・文章家たちは何を心がけているか。幅広い人びとの明かす知恵を手がかりに、実践的な方策を考える。執筆中と推敲時だけでなく、日常での留意点もまじえて...
文章のみがき方 (岩波新書 新赤版)
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商品説明
いい文章を書くために、作家・文章家たちは何を心がけているか。幅広い人びとの明かす知恵を手がかりに、実践的な方策を考える。執筆中と推敲時だけでなく、日常での留意点もまじえて説く。「文章の書き方」の姉妹編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
辰濃 和男
- 略歴
- 〈辰濃和男〉1930年東京生まれ。東京商科大学卒業。93年まで朝日新聞社に勤務し、論説委員、編集局顧問等を務める。75〜88年「天声人語」を担当。著書に「文章の書き方」「四国遍路」など。
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紙の本
心にしみる文章教室
2009/01/23 07:40
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
誠実さあふれる文章教室の受講生になった。そんな気分にさせられる一冊である。
およそ文章論の本は世に多い。しかし、意外に自分にフィットするものがない。そのために、いつまでたっても自分のスタイルから抜け出せないという人も多いのではないだろうか。
本書は特段、変わったことを言っているわけではない。にもかかわらず、心にしみこむように、よい文章を書くためのコツが流れ込んでくる。
各章のはじめに、導入として数々の作家の言葉が引用されている。こうした言葉を借りて、よい文章を書くための心得が示されるのだ。そうした言葉の意味を著者が具体的に説明し、読者を納得させる形で展開していく。この展開がシンプルで、なおかつ分かりやすい。
うまい文章を書こうとして、つい技巧に走ってしまうことが往々にしてある。そうして、時を経て読み返してみると、赤面するような代物になっていることがある。
そんなとき、本書はよい手引きになってくれそうだ。あらためて日本語という言語の美しさ、むずかしさの両方に気づかされた。
特に、文章を削るという作業。どうしても「伝えたい思い」が強すぎて表現過剰になってしまう。しかし、著者も有名作家も、とにかく余分なものを削ることを勧めている。そうすれば、文章が引き締まるのだと。この章の導入は太宰である。迷ったときは、「必ずその箇所を切り捨てなければいけない」とまで言い切る。
あるいは流れを大切にするという章。導入は三島由紀夫であり、「文章のなかに一貫したリズムが流れることも、私にとってどうしても捨てられない要求であります」とある。ひとつひとつの言葉を丁寧に選びながら、同時に文章全体としてのリズムも生まれていなくてはならない。実際やってみると、これは簡単なことではないのが分かる。
ただし、著者が一貫して言っているのは、簡潔にして、読み手にも分かりやすく、書き手の思いがこもっている飾り気のない文章である。言われてみれば、当たり前なのだが、それを実行できないところに、日本語という言語の奥深さを思わずにいられない。
もって生まれた文才ではなく、その努力によって日本語の文章力を獲得したい、そんな志ある方に好適な書だ。
紙の本
楽しいからこそダイエット
2011/10/17 17:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
「作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、だれにもわかる文章で書くということだけなんですね」~井上ひさし
最近、書評を書くのが楽しい。まあそれはいいんだけど、そういう時って実は意外と落とし穴。いいこと書こうと気負いすぎて、やたら難解な言葉でこねくり回してみたり、あれもこれもと詰め込んでダラダラ長くなりがちなのが世の常って奴。ほら、こんなところでせっせと書いてるおまえさん。たまには鏡を見てみなよ。そろそろダイエットが必要なんじゃない? ギクリ。そんな理由で購読。
文章作法本。著者は朝日新聞の元編集局顧問。まえがきで早々に「技巧も大切だが、より大切なのは『心のままの誠』」だと唱える。やはり気持ちに勝るものはないということか。では、どのようにその心の誠を形にすればいいのか? その作法が幅広い作家・文筆家の実例を交えながら、とても分かりやすくて簡潔な文体で書かれている。流石は「天声人語」を10年以上担当していただけあって、ツルツルとのど越しがいい。「文章の書き方」という姉妹本もあるそうなので、是非そちらも読んでみたいと思う。
前半は「基本的なことを、いくつか~さあ書こう」。要約すれば「とにかく毎日書く。乱読をたのしみ、正直に飾り気なく。書きたいことをわかりやすく、単純簡素に」 外に出て歩き、五感を磨くことが大切とも。「歩くことは、大地という書物を読むことです(著者)」この言葉シビれました。名言です。
「自慢話は書かない」。うんうん。人の書評を読んでて、これほど不快なものはないと自戒。そして「自慢話をしたようでいて、実はピエロになっている(姫野カオルコ)」という粋なハイテクニックに唸らされる。うぬ、これは是非ともモノにせねば。
後半は「推敲する~文章修行のために」について。十分推敲し、削りとる作業が大切。瀬戸内寂聴の仏像の件が印象的。動詞を用いて脈同感を。そして最後は「思いの深さを大切にし、渾身の力で取り組む」と、やはり気持ちで締めくくる。
おっと、いいこといっぱい書いているからといって調子に乗ってはいけないな。あまりダラダラ説明しすぎると、みなさんが本著を読む価値を損ねてしまうのでこの辺で。小説のあらすじと同じだな。新書のレビューも難しい。