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商品説明
「テロとの戦争」下、いま何が起こっているのか? 人権蹂躙や軍事費に圧迫された格差社会。一方で平和を願い良心を貫く市民たち。アメリカの“真実”を伝える衝撃のルポルタージュ。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- はじめに――テロとの戦争下,米国社会の変遷を探る
- Ⅰ 踏みにじられる人権
- 1 「9.11」ヒーロー 補償されぬ健康被害
- 2 「認定テロリスト」 「不当逮捕」と消えぬ汚名
- 3 国外追放 中東系ゆえの偏見と辛酸
- 4 グアンタナモ収容所 スパイ視されるイスラム教徒
- 5 終身教授 テロ評論で解雇の危機
- 6 「危険人物」 誤情報で再入国時に拘束
著者紹介
田城 明
- 略歴
- 〈田城明〉1947年兵庫県生まれ。中国新聞社特別編集委員。「知られざるヒバクシャ」で日本ジャーナリスト会議大賞受賞。一連の業績に対して日本記者クラブ賞受賞。ほかに「核超大国を歩く」など。
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紙の本
彼我の違いに愕然とする
2008/01/28 04:32
7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争は人々の心を荒廃させる。戦場で戦っている兵士当人の心のみならず、兵士を送り出した「銃後」の国民の心をも荒廃させる。今もイラクで戦争を続けるアメリカであるが、戦場にはなっていないはずの国内でも、人々の心は戦争を遠因として蝕まれつつある。
ブッシュが巧みな情報戦術と扇動で惹き起こした何ら正当性のかけらも無いイラク侵略戦争。当初は多くのアメリカ国民、そして世界の市民があっさりだまされた。「正しい戦争」なのだと信じ込まされた。これがテロとの対決であり、世界平和につながるものと思い込まされた。
しかし、あまりにも理不尽な戦争はその矛盾をすぐに露呈させた。泥沼に入り込んだ戦争は敵味方に多くの被害を出しつつも、いつ果てるとも無く続く。そして、アメリカ国内にも多くの「戦争犠牲者」が生まれている。
アメリカ軍が敵を“根こそぎ”殲滅するために使った劣化ウラン弾により、自身が「被爆」してしまった帰還兵たち。イラク国民の命をかけた抵抗戦争により息子や夫を奪われた多くの婦人たち。
戦争により荒廃させられた心は、さらにあらたな悲劇を生む。イスラム社会への陰湿な差別。かつて民主主義の国と呼ばれた国家、善良であったはずの国民たちが、昨日までの隣人を迫害する。殺伐とした市民社会に変貌しつつあるアメリカ。
しかし、アメリカ市民は気付き始めている。徐々にではあるが自分たちの犯した過ちを修正しはじめている。議会はすでに民主党優勢に置き換わった。国民は共和党を否定した。次の大統領選挙でも共和党の勝利はありえないだろう。「ブッシュ的なもの」がすべて否定されてきている。ブッシュの進めてきた国の舵取りをいかに方向転換させるのか、一国至上主義をいかに他国協調型に変えていくのか。現政治否定が徐々に始まっている。やがてイラクからの撤兵も日程に上ることであろう。かなり手遅れではあるが。
翻って、わが国の現状はどうだ。素直に、従順に、なんら抵抗せず、注文もつけず、見返りも求めず、とにかく「犬」のように(本当の犬はここまで“アホ”ではない。犬よ失礼。)ブッシュに追従してきた日本。
進路の過ちを是正する力は起きてきているか。全くの「否」である。
小泉が何ら根拠の説明もなく強引に突き進めた「無条件アメリカ追従主義」は是正されるどころか、安倍、福田政権に一層、より濃く継承されている。
これにストップをかけるべき最大野党民主党は、最近では、新テロ特措法問題に見られるように、自民党の補完勢力と見まがうような戦略を採る。
過ちを犯すことが“アホ”なのではない。過ちに気付かないこと、過ちを指摘されても適正な是正措置がとれないこと、これが“アホ”なのである。