紙の本
格差社会の就職難
2008/05/12 16:10
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みかんとりんご - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学はでたけれど就職にはあぶれ、挙句の果ては「ニートやネットカフェ難民」。再挑戦と開き直ってみても、ほんの一握りの道しか開かない。企業は合理化を旗印に、正社員雇用を控えがち。数少ないチャンスを生かすも殺すもあなたしだいと問われても、成功の道程は甚だ険しい。
雇用体制が悪いのか、就職を目指す学生があまいのか、二者選択の問題点を説くえぐりだす。大学を卒業しても、就職を希望しない学生が30%以上いると言う現実を、ほとんどの人は知らない。なにが彼らをこのような方向に向けさせてしまうのだろうか、恵まれた環境が、挑戦という二文字を奪い取ってしまった結果かも。だが、彼らにも働く意思はあるがあまりにも弱い、お膳たてが揃って就職しても、少しのことで洋々たる人生を投げ捨ててしまう。「我慢の人生」を学ぶことも一理あるだろう。
格差社会の波が押し寄せてきているが、働き手の彼らを援護することは、日本の将来のためには欠かすことはできない。政府のてこ入れは急がなくてはならないが、彼ら自身も働くことを一番に考える<本書も薦めていることが、急務ではないか。若者にオススメの一冊である。
紙の本
日本は今日も平和で、よろしい。
2008/09/30 00:32
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ショートチョット - この投稿者のレビュー一覧を見る
皮肉ではない。本当に今の、この国に感謝している。悩めることが素晴らしい。
自分が本当にやりたいことだの、それが見つからないだの、だから就職する気がなくなっただの。実にすばらしい。
四の五の言えるところがファンダフォー。すべったころんだ、で泣けるところが平和だ。
泣いても、わめいても、稼がなければ、おまんまの食い上げでない、ところがすごい。
とりあえずフリーター。いいじゃない、食べられるなら、パラサイトでもなんでも。
問題は、その後の社会だ。治安が心配である。。
就職できなけりゃー、起業すればいいじゃん。資本主義なんだから。といっても無理だろう。
したいことと、できることと、飯を食えるだけの労働価値があるかどうかは全く別問題。
幻想の世界から、いったい誰が呼び戻してくれるのだろう。人間の価値がそのまま労働価値であるとは限らないことを。
方法は簡単。「あなたが社長なら、あなたを雇いますか」と問えば、答え一発である。
どうせだめでもなんでも、食えなきゃ話にならない。著者のいう「無業」でもなんでも、食べられるうちは高度経済成長の貯金の恩恵が社会に、まだ続いているということである。貯金が尽きないうちに教育という投資をすべきではないだろうか。何が何でも食っていかなきゃいけない状況に陥らないと気づかないこともあるだろうが、その時の社会は崩壊しているのかもしれないのだから。そうなる前に、人間には「成長する知恵」というものがあるのだから、その方法を教えることが急務ではないだろうか。
そんなことを考えさせられた一冊であった。
投稿元:
レビューを見る
(2008/2/22読了)若者の就職難は社会構造のせい(景気動向&非正規雇用の増大)、というだけでは済まない精神的な問題があることを訴えるの書。何故に「全てが不安」な精神状態の若者が増えたのか?については原因となる社会構造の変化(主に家族関係の変化によると私は思う)があると思うので、結局は就職難の発生要因は社会構造の変化という言葉に還元できる面もあると思うが、ともあれ経済面での社会構造からだけでは不十分だということが分かりました。
投稿元:
レビューを見る
自分は就職活動の経験もないし、現在のところする予定もない。
だから、この本に登場する若者達の心情をどこまで理解できているのかはわからない。
けれど、そんな自分が読んだ限りでは、彼らの心情の1つひとつに、その都度納得し、共感した。
最後まで読んでみると、今時の若者は随分と複雑な精神構造をしているんだな、と思ってしまうが、1つひとつに納得できているということは、少なからず自分も彼らと同じような精神構造をしているのかもしれない。
一方で、筆者の主張もよくわかる。
鋭くて、痛いところを突かれている気がする。
それでもやっぱり、この本に登場するような若者達がこの本を読んだところで、なかなか筆者の言うように、就職や仕事を大袈裟なものと考えずに、ひとまず就職してみるという気にはなれないのかもしれないな、と思う。
簡単そうで、それは難しい。
それが難しいことである理由の1つには、本書で明らかにされたように、「自分」であったり、「したいことをしたい」という気持ちであったりとシンプルでありながらとてつもなく大きな要素がそこに関わっているからなのだろう。
何故人は、「自分」というものを客観的に見ずにはいられないのだろうか。
速水健朗の「自分探しが止まらない」でも明らかにされたが、現代社会には、自分を客観的に見るための仕掛けが至る所に存在する。
自分を客観的に見るということは確かに必要なことだとは思うのだけれど、一方でそれが自分で自分の首を絞めていることになっているというか、わざわざ窮屈な状況へと自分自身を追い込んでしまっているような、そんな気がする。
だからこそ、筆者は「大袈裟に考えるな」とか「ひとまず」と主張したのかもしれない。
就職活動中の人でなくとも、仕掛けに足を取られて自分を客観的に見ずにはいられない人にとっては、多かれ少なかれこの本に登場する若者達の心情にも、それに対する筆者の主張にも、共感できる部分があるのではなかろうか。
投稿元:
レビューを見る
まさに今の気分にぴったりのタイトルに惹かれてしまいました(笑
さすが著者は精神科医だけあって、現代の若者の心理を的確に捉えているなと感じました。
著者が最近の若者の傾向として挙げている、自分の中にある無駄に低い自己評価と、無駄に高いプライドに気づかされました。
さらに、面接=人格の審査ではなくあくまで仕事が出来るかどうかの審査である、という当たり前の事実も改めて認識することができました。
タイトルにビビっときた人にはぜひオススメです。
投稿元:
レビューを見る
香山リカさんは女性誌などの連載などを昔から読んでいて
今回もまた的をいたことを言ってくれてました
親との自分との関係に疑問を抱くきっかけもくれたし
就職をどう捉えたらいいかも分からせてもらえた
とても現実を見据えていてシビアな分析をされている
さすがです
投稿元:
レビューを見る
就職できない学生の心理構造がかかれており、納得できると同時に考えさせられることも多かった。一例は以下の通り。
香山氏は自己評価が低いため、なかなか就職活動に踏み出せなかったり、始めてもすぐに挫折してしまう学生が多数いると述べた上で、一方「いつ来るともしれない“名指しでの辞令”を待つ心理がある」と書いている。
今のマイナビ、リクナビ等の新卒求人サイトによるスカウトメール機能はこのような学生の「待ち」の姿勢をより促進しているように思える。
自己評価が低く、主体性を放棄してしまっている学生は、ブラック企業が誰もに送っているスカウトメールを“名指しでの辞令”と受け取り、半ば宗教的な説明会に感銘を受け、緩い選考基準の面接をパスし、入社し、過酷な労働を強いられ辞めてしまうという悪い流れに乗ってしまうことが往々にしてあるのではないかと思った。
就職しないのも問題だが、このような形でキャリアを初めてしまうのも問題だと思う。
すべての学生が自己評価をある程度高く持ち、自分の人生の主体性を放棄しないようにするにはどうしたらよいのか、考えていかなくてはならない。
投稿元:
レビューを見る
就職がこわかったので買った。読んでも就職は怖いままだった。
この本は、就活生じゃなくて今の就活生の心理を知りたい人向け。
読んでて共感は出来るけど、解決はしなかった。
投稿元:
レビューを見る
学士力の涵養や自己の能力を伸ばすためのヒントとなる
書籍類、職業選択や人生設計に必要な資料を集めています。
*このカテゴリの本はすべて中央館2階のアメニティコーナーに
配架しています。
*貸出状況についてはこちらから確認下さい。
貸出中のときは予約もできます♪
(鹿大の蔵書検索画面にとびます)
〔所蔵情報〕⇒ http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/xc/search?keys=11110067047
投稿元:
レビューを見る
精神病理学の先生の立場と、実際にゼミを担当し、学生の就職活動の場面を見ている立場からの本で、昨今の就職率の低さ、フリーター・ニート増加について非常に洞察力のある主張をしておられます。経済動向もさることながら、現在の若者たちの心理状態が就職できない若者たちを生んでいる! 正にその通りだと思います。一生懸命就活して結果、決まらなかった学生はあまりおらず、その前で「やりたいことが分からない」と決断せず、また行動しない学生たち、そして「自分に合った職業」に出会うための自分探し、自己分析の必要性を訴える就職指導の問題点も指摘します。村上龍の「13歳のハローワーク」はそれを助長するもので危険な書物のように著者も感じているようです。就職をあきらめるまでの4段階、新卒無業になる若者を分析していますが、「あきらめ」というキーワードは、分かりやすいです。
投稿元:
レビューを見る
http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2122693 , http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2811782
投稿元:
レビューを見る
若干対象とは違ったかもしれないが、とりあえず働いてみる、とか、自分にしか出来ないことはない、とかは同意する。
投稿元:
レビューを見る
自分が悩んでいることが、こうして言語化され類型化されていると、悩んでいること自体に悩む必要がないことに気づかせてくれる。