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●No.29 要:勉強して再読。内容は難しいが文体が良く、楽しく読める。
p.167 「フラクタル」(fractal)〜フラクタルとはそのような自己相似性を備え、どこでも微分が定義できないような形(集合)を言い、 それを扱う数学をフラクタル幾何学と言う。
この言葉はフランスのマンデルブロB.B.Mandelbrot(1924― )が作った物で、
語源はラテン語のfractasであり、「破片」「分割」を意味する。
(http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AB/)ヤフー百科事典より
p.44〜46 【市場のマルチ・フラクタルモデル】ルール×5
1.安全な市場は無い
2.トラブルは続いて起こる
3.市場には個性がある
4.チャートは人を欺く
5.市場の時間は相対的である
p.13 「ファットテール」〜裾野=テール(シッポ)が厚い=ファット...ここからファットテール
p.16「フラクタル資料」(イケール大学マイケル・フレーム教授)
http://classes.yale.edu/fractals/
p.32 「ベキ分布」〜正規分布に比べてすそのの長い分布の仕方。指数によっては分散が無限になってしまうことがある。
(p.208)正規分布に基づく統計では起こらないはずの事象が現実に起こっていることを考えると、現実の多くの分布は正規分布でなく
「ベキ分布」である可能性がある。べき乗の法則の別の見方。(参:はてなキーワード)
p.35 「GARCH」〜GARCHモデルは、
「当日のボラティリティ(原資産価格の変動(ぶれ)の平均値:インプライド・ボラティリティと、
ヒストリカル・ボラティリティがある)は、前日のボラティリティの大きさと、前日の変動幅に依存する。」
というモデルで、ARCHモデル以上に金融相場を近似しているといわれている。
「FIGARCH」〜不明、調査中
P.147 「流行」(ファッド)
P.150 「アノマリー」(anomaly):1 変則。例外。また、矛盾。逸脱。2 変則的事実。理論では説明できない株価の規則的な現象。
3 特異点。また、重力異常。磁気異常。
・アノマリー1:PER(株価収益率)効果
・アノマリー2:1月の小企業効果
・アノマリー3:時下簿価比率効果
p.184 「フラクタル次元」〜フラクタルの複雑さのレベルを定量化するために用いられている量。
p.188〜199 フラクタル図版集
(1.シルピンスキーのギャスケット 2.フラクタル蜘蛛の巣(1と2は三角) 3.カントール・ダスト(易経)
4.コッホ曲線(六芒星))
p.233〜234 【ハロルド・エドゥイン・ハースト】;「ナイルの父」(アブ・ニール)
1906から62年にわたりエジプト・ナイル川の洪水を調査して「公式」を導き出した為こう呼ばれた
イギリスの労働省主任研究員。
この「公式」は株価の変動等にも応用可能。(「ナイル川���量変化」はフラクタル幾何学の典型的な例)
p.295 「ファラオの胸飾り」〜フラクタル構造による無限の円
p.305 「アセット・アロケーション」(資産配分)
p.297〜332 【禁断の金融10カ条】(第12章)
1.市場価格とは乱高下するものである
2.市場とは、極めてリスクが高いものである。既存の金融理論では決して起こるはずのないリスクが現実には起こる
3.市場のタイミングは極めて重要である。巨額の利益と損失は短期間に集中して起こる
4.価格はしばしば不連続にジャンプする。そして、それがリスクを高くする。
5.市場での時間は、人によって進み方が違う。
6.いつでもどこでも市場は同じように振舞う
7.市場は本来不確実であり、バブルは避けることが出来ない
8.市場は人を騙す
9.価格の予想は無理と思え。しかし、ボラティリティ(原資産価格の変動(ぶれ)の平均値)なら予測可能だ
10.市場における価値は、限定された価値である
p.339 「巨大企業」〜「ビヒモス」(〜旧約聖書のなかで、恐怖の支配を行う怪物の名である。
ビヒモスは大地を、リヴァイアサンは海洋を支配し、世界の終末の間近かに再現するという。
かつてアウグスティヌスは、ビヒモスを悪魔(サタン)とし、ホッブスはこの二つの怪物をそれぞれ書名とする本を書いた。
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経済学の教科書は、ちょっと専門的になるとすぐ数式が出てくる。そこでいつも挫折していたが、本書によれば、そのような経済活動は正規分布で表現できるという幻想こそがバブルを生み、バブルを崩壊させ、再び招く。
なるほど。豊富な例によって、納得できる。フラクタルがキーワード。
ただ、そのひとつの論旨を繰り返すだけなので飽きてくる。三分の一のページ数でよかったのでは?
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おすすめ度:85点
従来の金融理論がとらえきれない市場のリスクに物理学者の視点から光を当てている。
「フラクタル」という複雑な図形を扱う幾何学を活用して市場をみている。
著者のマンデルブロ氏(米エール大学名誉教授)は「フラクタル」の創設者である。
氏の金融市場へのアプローチ手法は、大きく3つであり、その3つの組み合わせである。
1.ベキ分布:(価格の揺らぎの分布の「大きな裾野(ロング・テール)」の存在。(ベル曲線(正規分布、釣鐘型)の否定)
2.長期記憶(長時間相関)
3.トレーディング時間のマルチフラクタル
従来の金融理論は、金融システムを単純で、連続的で、合理的に動く機械だとみなしていることに誤りがあるとしている。
氏は、一貫して、理論とおりに進むように仮説を作り上げてしまうことを避け、実データに基づいて、検証を行っている。
ここに、物理学的なアプローチで、金融市場を見事に映し出している妙があると思う。
「理不尽な動き」を繰り返す市場の本質について考える新しい手掛かりを与えてくれる。
第12章「禁断の10カ条」を記す。
1.市場価格とは乱高下するものである。
2.市場とはきわめてリスクが高いものである──既存の金融理論ではけっして起こるはずのないリスクが、現実には起こる。
3.市場のタイミングはきわめて重要である。巨額の利益と損失は短期間に集中して起こる。
(* 米ドル円:1986年から2003年:下落額の半分近くが4695日のうちわずか10日間に集中(46%の下落が0.21%の日数の間に生じた。)
(* S&P500:1980年代:40%に利益が10日間に集中(総日数の0.5%)
4.価格はしばしば不連続にジャンプする。そしてそれがリスクを高くする。
→価格の不連続性
5.市場での時間は、人によって進み方が違う。
6.いつでもどこでも市場は同じように振る舞う。
7.市場は本来不確実であり、バブルは避けることができない。
8.市場は人をだます。
(* エリオット波動の限界)
9.価格の予想は無理と思え。しかし、ボラティリティなら予測可能だ。
10.市場における価値は、限定された価値である。
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ブラックスワンからこの本を読ませてもらったが、素人には難しい箇所が多々あったが、これにも懲りずにこの分野の学習を続けたい。マンデルブロ氏の未知への挑戦への姿勢が素敵。
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1339夜
本書は、20世紀でもっとも偉大な経済学者の業績を、数式なしで一般向けにまとめたものだ。原著は2004年なので、最近の市場の動きを分析する役には立たないが、30年前にここまで高度な研究を完成していたのは驚くべきことだ。
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フラクタルを作ったマンデルブロ。
とてもおもしろいし、知的好奇心をくすぐるのだが、だから何?がない。
まだまだの分野のためいたしかたない。
ブラックスワンよりも、ビジネスのリスクに立ち向かう姿勢としては好き。
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典型的なランダムウォークによるモデルではない
新しい概念のことについて書いてあって面白かった。
カオス理論、自己相似形が関連することは
複雑系として市場を捉えることであって
自分の主観に近く、賛成できるものだった。
より具体的にどのようにして市場を一つの複雑系
として捉えればいいのかを知る必要が出た。
統計だけでがんがんモデル化するのはもはやどこも
やっていることなので、一線を画すにはこのような新しい
概念も取り込んでいかないと行けないと思った。
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素人には難しく、結局フラクタルとはどういうもので、どう活用できるのかが想像できなかった。
もっと勉強して読みなおしたい。
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「なぜナイル川が氾濫するか分からなくても,どれくらい氾濫するか知りたい」と書かれているが,被害の大きさを見積もることの重要性を説明すると共に,古典的な方法と著者の提唱するマルチフラクタルモデルを説明している.
フラクタル,べき乗則まではなんとなく分かるが,金融にどう使われているかは全く分からなかった.
リスクを算出するための古典的なランダムウォークモデルは,①マルチンゲール(明日の最適な期待価格は今日の価格によって与えられる),②価格変異の独立性(明日の価格は今日と無関係),③価格変異の正規性(正規分布に従う).②と③が正しくないために,1998年8月のロシアの流動性危機(2000万分の1=10万年に1度あるかないか),1987年10月19日のブラックマンデー(10の50乗分の1)というようにリスクを正しく見積もることができない.
著者は,(a)長期記憶(価格の変化は過去の変化から独立ではなく,ある種の記憶を持って変動する),(b)価格はべき乗則に従う,という点から,マルチフラクタルモデルを発明し,ボラタリティ(価格の変異の絶対値)とリスクを計算する手法を提案している.
例えば,VaR(Value at Risk)において「資産が12%以上変動する確率は5%以下である」とした場合で考えると,前者(ランダムウォークモデル)は5%に当たってしまっても,12%程度の被害で済むようなモデルである,しかし,現実は5%に当たってしまうと,▲12%から▲無限大の被害になる.マルチフラクタルモデルを使ってモンテカルロシミュレーションを繰り返し,確率と被害をしっかりと見積もることが重要である.
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前半では金融工学が辿ってきた歴史を見る.
理論を理解した上で,現在の金融工学を砂上の楼閣だと批判し,理論と現実のどこに乖離が存在しているかを指摘している.
マルチ・フラクタルが実際の金融モデルにも使われている.らしい.
一部のヘッジファンドでも使っているとか.
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長いので読むのは大変でした。ランダムウオークが一般的な理論だと思っていた私にとって、フラクタル理論の方が、確かに現実のチャートを的確に表現しているなと思った。
「価格の上り下がりを予測することはできないが、価格の変動は確率に関する数学的法則によって表すことができる。それ故にリスクを予測することができる」
つまり、フラクタル理論が分かったからと言って、もちろん株の予想屋になることはできないが、リスクに対する予防措置はとることができると思う。そしてリスクは想定外に起こりうるものだということ。
これだけはしっかり押さえておかないと、痛い思いをするということだ
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正方形の土地の面積は一辺の長さの二乗に比例して増加します。一辺が2倍になると面積は4倍になり、一辺の長さを3倍すると面積は9倍になる。もう一つは万有引力です。宇宙船から地球までの距離が2倍になると地球の引力は1/4になる。
資本資産価格モデル(CAPM)、現代ポートフォリオ理論(MPT)、ブラック=ショールズの公式の3つは、正統派の金融理論において最も重要な要素です。
シェイクスピアの「ヴェニスの商人」にみる分散の妙
「ありがたいことに、荷は一つの船だけに運ばせているわけではないし、一つのものにだけ投資しているわけでもない。ぼくの全財産のすべて今年の運にかかっているわけでもないんだ。だから船荷のことで心配することはないのさ。」
CAPMを使うと、投資家が期待するだけのリターンを生み出すためには向上が最低限どれだけの利益を生み出さなければいけないか、という「ハードル値」をも設定できるようになる。
ブラックショールズの公式はリスクに値段を付けているのです。
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The (mis)behavior of markets:
A Fractal View of Risk, Ruin, and Reward ―
http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/615e4307485bbf1689076525fc0e5702/
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金融工学の理論の系譜について解説している。
理論よりもそれを作った人やその経緯についてが詳しい。
1市場は乱高下するもの
2市場とは、極めてリスクが高いものである。既存の金融理論では決して起こるはずのないリスクが現実には起こる。
3市場のタイミングは極めて重要。巨額の利益と損失は短期間に集中して起こる。
4価格はしばしば不連続にジャンプする。そして、それがリスクを高くする。
5市場での時間は、人によって進み方が違う。
6いつでもどこでも市場は同じようにふるまう。
7市場は本来不確実であり、バブルは避けることができない。
8市場は人をだます
9価格の予想は無理。しかし、ボラティリティの予測は可能。
10市場における価値は、限定された価値。
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・試行間に相関がないコイン投げの場合は平均の変動幅は試行回数の平方根で見積もられる。結果間に相関がある自然界では、変動の幅は時間の3/4乗で広がる。