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商品説明
世界経済はいま、金融危機、インフレ懸念、原油価格の高騰という“三重苦”に悩まされている。だが日本は、この三重苦のダメージは少ない。このチャンスに安値で仕込みたい注目銘柄を厳選ピックアップ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
杉村 富生
- 略歴
- 〈杉村富生〉1949年熊本生まれ。明治大学卒業。証券専門誌勤務を経て、91年独立。経済ジャーナリスト、マネーエコノミストとして活躍。大正大学教授(CEC証券講座)。
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紙の本
日本株の潜在力
2008/10/20 03:35
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
株価は著者の予想をはるかに超えて下落している。日経平均8000円などと誰が予想しただろう。少なくとも私は15000もあり得ると見ていたので、到底考えられない安値水準といえる。
巷では「もう株はだめだ」「やめた方がいい」などと厭世的意見が主流である。しかし著者は「歴史的安値水準にある今こそ買い時」と主張する。私もそう思う。株式で儲けるにはみんなと違う事をやるのである。とすれば、いまこれだけ株離れが進んだ以上、少なくとも公式の上では買い時ということになる。
そもそも日本株が落ちる原因などなにもない。ただアメリカ市場との連動が想像以上に強固だったからにすぎない。また、短期的資金の必要性に迫られ叩き売りをせざるを得なかった事情もあるはずである。サブプライムローン問題については著者も指摘するが、日本はほとんど無傷なのは多く指摘するところである。具体的にいえば、日本のダメージはせいぜい数兆円のところ、欧米はともに軽く100兆を超えている。しかも米国では資産に占める株式の割合が高い。故に、あれだけNYが下がってしまうと個人消費も相当落ち込む。その上、それによって企業業績も悪化する。
しかし日本はどうだろう。個人の持つ株式資産の割合は米国より遥かに少ない。だから株が下がっても「俺になんかダメージあんの?」てな人が非常に多い。株式が下がって困るのは日本では特に金融機関である。金融機関は多くの株を保有している。だから資産も相当目減りする。でも、結局巡り巡ってそれが貸し渋りにつながり、企業が潰れ、最後は消費者に跳ね返ってくる。
だから今すべきは内需拡大とそれを目標に据えた株価上昇政策なのである。株価さえ上がれば多くのことが解消する。著者は今こそ日本株の買い時だという。著者は本書を見れば分かるが、例えば原子力発電などの個別株を推奨している。確かにある程度選別の必要はある。だがさらにいえば、日本が相対的などという生易しいものではなく、圧倒的優位なポジションにある。今、政府が一定の市場が望む政策を撃てば、日経平均は必ず上昇するしかない。つまり、選別の要さえなく日経平均は上昇する可能性が極めて高いということである。
金融の流れから見ても、いったい国際資金の行き場がどこにあるだろう。企業がほぼ無借金であり、個人金融資産1500兆円が眠る日本しかない。そして、著者が勧める原子力、省エネはまさに日本の独壇場であることは言うまでもない。他にも部品をはじめ、東電などの技術、電機産業などは未だに世界の独壇場である。なにしろソニーの株価がPBR0.7である。こんな状態がいつまでも続くわけがない。東芝が300円台なんて後で聞いたら宝物が目の前にあるのに拾わぬバカと自身を貶めることになるに違いない。
投資減税措置は原資もいらない以上、直ちに実行すべきは当然として、さらに政府は東京を金融センターなどというサモシイものを指向するのではなく、東証に国民の金を流し込むのである。資金力で日本に勝てるところなどないので、この金を求めて放っておいても東証は賑わうことになる。おまけに株価も上がるし、上がった時価総額を梃子に海外へM&Aを仕掛けることもできる。最近では日本からのM&Aが相当増えている。
著者がここまで下がることを予測していたかは不明である。しかし、日本優位というポジションは全く変わってないどころかさらに拍車がかかっている。隣の韓国を見てみよ。国力の無さが金融危機の時には露呈するものである。だから東南アジアをはじめ韓国など外資頼みの弱い国は、いま破滅の危機にある。日本は、円が軒並み上昇している。反面韓国は信じがたいウォン安である。おそらく食糧を買うのに、日本でいえば諭吉を何枚も持っていくことになっているだろう。これがホントの危機であって、日本などなんと恵まれたものか。国債の金利ひとつみても、1%のウルトラ低金利でも暴落の気配すらない。世界的インフレの中、いまだデフレという奇跡ひとつ見ても、日本に好材料である。
しかし私も所詮素人である。いつ外人が買いにくるか予想は無論出来ない。だが、いずれ来ることくらいは分かる。著者の視点ももっともだが、それに輪をかけて日本株の潜在力は確かに存在する。そのうえで、著者の個別銘柄選択を眺めつつ、ナンピン買いに挑んでみてはどうだろうか。