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世界が違いすぎるし,ギャング用語がいっぱい出てくるので,想像しにくいところが結構あったけれども,面白かった。
ここでターゲットになっている,「ギャング」もそうだし,「黒人」や「低所得者」の問題って,アメリカ国内では書類上の問題としてしばしば取り沙汰されるのだろうけれども,その生活の実態や社会での実質的な位置づけ,コミュニティとの繋がりなんかっていうのは,案外わかっていない,というか,調査されていないんだろうと思う。それは日本でも同じことなんだろうと思う。
日本でも,こうしたターゲットに密着した研究があれば面白いと思うし,自分でもやってみたい。いつかは,貧困層のフィールドワークをやって,心理学的調査をやってみたい。
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社会学、特に日本の社会学界に多い、統計調査を一切排除した
100%エスノグラフィの社会学の本。
特徴としては
①統計比較がない
②主体が「個人」(大半が著者)
③著者の感情の起伏が省かれていない
一番印象的だったのは
当時のアメリカ政府が出していた、貧困街への見解と
現実とのギャップの点。
ギャップがある事ではなく
現実を知ろうとも、伝えようともする事がないままであること。
今の日本でも、富裕層の権力者(特に政治家)もその対極の下層の人々も
同じような関係ではないのかと思えた。
日本は、人種という分かりやすいもの違いがないから
よけいに難しいのかもしれない。
社会科学の本で
こんなにワクワクしたのは初めて。
(藤村先生ごめんなさい)
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社会学の大学院生がシカゴのギャングに密着し,ギャングの生活を生々しく書き記した本.
ヤバイ経済学の一節と関係有り.
海外のギャングなんて全然なじみがないけれど,
必要悪にせまられた人々という印象を持った.
国や警察は助けてくれない,自分たちで守るしかない,けれど貧しい,だからヤクを売る,みたいな.
なにより筆者の密着ぶりがすごい.
ギャングと何年もつきあって,一日ギャングリーダーみたいなこともやってるし.
自分では絶対に見ることのできない世界が丁寧に書き記されていておもしろい本です.
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インド系アメリカ人の大学生が、論文のため、
近所のゲットーに、リサーチに行く話です。
学問というよりは、ギャングとすごした冒険の毎日。
もう少し、社会学的考察があってもよかったけど、
社会通念や偏見を軽く飛び越えて、普通の感覚で
どんどんヤバいコミュニティに入っていくとこが映画みたいでした。
今、「スラムドッグミリオネア」とかで
インド系のバイタリティーが注目だけど、
この著者は、インド系でも、フツーのアメリカのおぼっちゃま大学生で、
黒人マイノリティーとの対比が、面白かったです。
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シカゴのプロジェクトに筆者が入り込み、そこの住人がどのようにお金を稼ぎ、生活しているかがとてもリアルに描かれている。
ゲットーでのギャングの役割、行政の役割、住人の暮らしぶりを知ることができ、とても面白かった。
ギャングがこんなにも組織化されているのに驚いた。
日本では考えられないが、あれだけ国土が広く人口も多いのだから、行政に頼るよりも自分の身は自分で守るということを考えるようになるのは当たり前なのかな。
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20100106-0209
シカゴ、ロバートテイラーでヴェンカテッシュは、ギャングのリーダー、JTで出会い、ギャングと住民の複雑な関係と貧しい中で必死に生きる人々の姿を描いた作品。
遠い国の話と思う一方で、とても身近な話の気がした。
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社会学者の卵が、ギャングの世界に飛び込み、その赤裸々な生活を明かす・・・。
翻訳物なのとあまりに現実世界とギャップがあることで、はじめこそ読みにくかったが、その後どっぷり惹きこまれた。
異世界を探検できる面白さを再認識。
もちろん、色々考えたこともあったけど・・・読んでしばらく経ってしまったので省略(^^;
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ヤバい経済学
一日だけのギャング・リーダー
スディール・ヴェンカデッシュ
望月衛訳
Gang Leader for a Day
A Rougue Sociologist Takes to the Streets
「ヤバい経済学」で紹介されていたので読んだ。
しかし、原題と邦題がまったく違っているのに毎度毎度辟易する。
「カイト・ランナー」も文庫化にあたって「君のためなら千回でも」なんてのに変更されてしまったし。
それはともかく、シカゴの高層団地、ロバート・テイラー・ホームズ
ドラッグの売人、悪徳警官、汚職まみれの自治会リーダーに、搾取されながらも住人達は依存する。
生き残るためには仕方がない。
その共生関係を、彼らは端的にコミュニティと表現する。
じっさい、外部からはカオスのように見えても、ルールが存在していて、そこから逸脱すれば叩かれる。
そして、そのルールには、文字通りの規則という意味もあるし、モラルという意味でもある。
こんなコミュニティに、モラルなんて言ったってちょっと滑稽なところもあるが、どんな形であれ、それを無くしてしまってはいけないのだと思う。
しかし彼らの連帯は、団地が取り壊されると、ごくわずかな例外を除いて消えてしまう。
その脆さが物悲しい。
この本を読んでいて、まるで自分がロバート・テイラー・ホームズに住んでいるかのように感じた。なのでググって画像を眺めて、さらに想像を逞しゅうしてみた。
本当に印象深い本だった。
訳には、好き嫌いがあるかもしれないが、著者のナイーブさ(英語の語義どおりのナイーブ)と、ドラッグの売人たちの、原文は4-letter word満載であろう喋り方がよく出ていて面白いと思う。
「ニガー、わりゃここでなにファックしとるんじゃ」(p15)など。
それに対して著者の一人称は「ぼく」。いいじゃないか。
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何をきっかけに知った本だったか忘れましたが、
amazoneで中古本をゲット。
残すところ1/4くらいになってきました。
amazoneレビューにもありましたが、
面白いけど、舞台が日本の状況とはかけ離れており、
ノンフィクションでありながら、フィクションを読んでいるような感覚になります。
ただ、やっぱり面白い。
当時シカゴ大の学生だった著者の無謀っぷりや、
ストリートギャングの上層部における独自の組織論みたいなものに
へぇ~なんて感心してみたり。
乱暴な方法だけど理にかなってたりしてなかなかです。
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シカゴ大学に通っていた社会学者の卵である著者は、シカゴのスラムでギャングのリーダーや売春婦、ホームレスなど知り合い、数年にわたり彼らのコミュニティに深く関わっていく。ある時は「ギャングリーダーの仕事」も経験する。(本書の原題は『Gang Leader for a Day(一日ギャングリーダー)』)
著者の特殊な立場だからこそ見えるスラムの姿は、日本に住む僕の生活からすると、まるで空想の創作小説を読んでいるような感じだった。
またスラムのコミュニティに深く関わっていく著者だが、根本の部分で、著者にとってスラムは「社会学者としての研究対象」だ。そこに生まれる著者の複雑な思いも本書の魅力だ。
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題名に社会学とあるけど、社会学はあまり関係なくてどちらかというと回顧録。若き社会学者スディール君が、無謀にも黒人ギャングの世界に調査に入っていき、いつの間にかギャングリーダーと友達(?)になったり、1日ギャングリーダーをやることになったりする話。ディティールが面白くてグイグイ引き込まれる内容。終わり方が一抹の寂しさを感じさせる。
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これはヤバイ!!!!!!
僕も大学では社会学を専攻していたのですが、こんなフィールドワークはありえない!
ギャングの巣窟、麻薬と銃弾と売春が飛び交うコミュニティで生活を共にして調査するなんて!面白すぎる!
学生諸君にはフィールドワークをやるならこれくらいのことをしなくちゃあかんよと言いたい!
(僕には無理です。怖すぎる。がくぶる。)
そして、本書は最高に面白い激ヤバな「社会学」であると同時に、貧困と差別という不遇の世界の中で、必死に生きようともがいていた一人のギャングスタJTの物語でもある。
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2010.3.8
おもろい!やっぱ社会学も良い!原題は「社会学」という言葉は使ってないけど。エスノグラフィーか。
フィールドワークやってみたいな。
ギャングの組織もヒエラルキー化と権力闘争の嵐。
コネと実力の世界。
この人はギャングや貧困についての、その後取り組みもフォローしていこう。
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著者がアメリカの下層階級社会で過ごした体験談を綴ったもの。
ある意味告発的な内容もかねてしまっているので
出版は大変だったのではないかと思う。
・・・がそれ以上でもそれ以下でもない内容。
決して内容が悪いといっているわけではなく。
きれいごと、中途半端なあるべき論で済ませがちな社会学にリアリティを持たせるのは大変だなと思わせる内容。
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社会学者になりたてほやほやの青年が、ギャングとつるむと・・・。調査方法云々より、彼の心の動きがおもしろい。