「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
「週刊時代」の編集長、カワバタ・タケヒコは、仕事をエサに、新人グラビアアイドル、フジサキ・リコを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、みそぎのつもりで行った、その場限りの情事のはずだった。世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める、その行き着く先にあるものは?白石一文が全身全霊を賭けて挑む、必読の最高傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【山本周五郎賞(第22回)】週刊誌の編集長カワバタは、仕事をエサにグラビアアイドルのリサを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、その場限りの情事のはずだった−。世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める…。【「TRC MARC」の商品解説】
これはセックスと経済の物語
セックスは男が女にふるう根源的な暴力だ。
「週刊時代」の編集長、カワバタ・タケヒコは、仕事をエサに、新人グラビアアイドル、フジサキ・リコを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、みそぎのつもりで行った、その場限りの情事のはずだった。
世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める、その行き着く先にあるものは?白石一文が全身全霊を賭けて挑む、必読の最高傑作!
講談社創業100周年記念出版
第22回山本周五郎賞受賞
【商品解説】
著者紹介
白石 一文
- 略歴
- 〈白石一文〉1958年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、2000年「一瞬の光」でデビュー。著書に「僕のなかの壊れていない部分」「どれくらいの愛情」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
意外に軽い、だが一途に深い。
2010/05/15 17:28
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
(上下巻合わせての感想です)この作家の作品を読むのは初めてなのだが、どうも僕は単行本の帯の宣伝文句に騙されることが多い。と言うか、帯のコピーを書いている人たちとセンスが合わないのだろう。
この本も下巻の帯の「現代社会の巨大システムそのものを描く(中略)フリードマン、マザーテレサ、キング牧師、湯浅誠、クルーグマン…思考と引用のタペストリーのなかで物語がうねる」という宣伝文句に惹かれて買ったのであるが、僕自身としてはリチャード・パワーズかスティーヴ・エリクソンかドン・デリーロみたいな、あまりに圧倒的で複雑で難解で、読んでいて頭がクラクラしてくるような小説をイメージしていたので、いざ読み始めてみると、あらら、意外に軽いな、という失望感に襲われた。
確かに経済学や政治学をはじめ、伝記から統計数字に至るまで、いろんな文章が引用される。だけど、これはそんなに驚くべきことだろうか? 僕らがものを考えるときに、頭の中でこのくらいいろんなことを参照していても珍しいことではないだろう。この小説のポイントはそういうところにはないのだという気がする。この小説はそういう装飾一杯の格好をして、まっすぐに死生観に繋がって深く掘り下げて行く、むしろ一途な感じの作品なのだと思った。
そういう意味では帯の宣伝文句よりも、奥付の著者紹介にある「独自の視点と透徹した文体で、カリスマ的人気を博す」のほうがよほど的を射ている。
主人公は癌の手術を終え、その再発の恐怖の中で仕事をこなしている、雑誌の編集長である。著者自身が出版社勤務の経験があるらしい。雑誌編集の裏側みたいな割合下世話なストーリーをスマートに読ませるのは、上で言う「透徹した文体」によるのだと思う。そして、TVの2時間ドラマみたいな派手めの展開をしながら、主人公の死生観に迫って行くところがなかなか見事である。この死生観はいかにも「独自の視点」と言えるものである。決して「巨大システムそのものを描」こうなどと、下手なあがきはしていない。むしろ社会システムが何であれ、そんなものに全く左右されない「死」というものをこそ、彼は描ききっている。
結局のところ、期待したような重苦しい本ではなかったのだが、これはこれでとても読み応えのある面白い本であった。後味も大変よろしい。
久しぶりにもう1冊読んでみようかという作家に出くわした。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
社会経済状況を知る娯楽教養小説
2016/03/04 12:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:山好きお坊さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
富の偏在、非正規職員の低所得、ミルトン・フリードマンの経済思想等2009年現在の社会経済状況を解説しながら筋の進め方に気が引かれる。変った小説だ!面白いぞ!の感をもって読んだ。
面白い。はらはらドキドキさせる。それでいて、「生」「死」「家族」「性」についてフト考え込ませる。実社会ってこんなに恐いのと違和感は大。フィクションとはいえ、知る興味津々となる娯楽教養小説である。
紙の本
うんちく祭り絶賛開催中
2010/04/29 19:33
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者を知らなかったし彼の著書も読んだことはなかった。
上巻の冒頭では「これは読み進められるかな~」と不安になった、何となく読み辛かった。しかし、徐々に読み進めるうちに著者の世界観というか、本書の「持ち味」が見えてきて面白くなってきた。
貧困、格差社会、それを生み出した現代の思想や価値観の背景を、様々な資料や一般文学からの引用(かなり長い引用も多い)を多用したり、世俗的な話題を取り上げて炙り出している。といっても、本書はフィクションであるのでジャーナリストである主人公の物語の経過と共に、これらの問題が取り上げられる。
極論的な主張も多い。例えば
日々貧困で死んでいく子どもがいる
億を超える報酬を受け取っている連中は
その富の一部を貧困救済に向けるべきだ
極論といったが、論理的に考えるとそれほど極論ではないのかもしれないと考えさせる主張も本書にはある。
しかしながら、この貧困や格差問題は「(単純な)富の配分」だけで片がつく、という単純なものでもないと私は思う。本書でもこれが解決策とは主張していないし、そもそも貧困・格差社会の表層的な問題だけをもって、解決を見出そうとしている訳ではない。
私も深く賛同するが、問題の表層だけで四の五の言うのは無意味だと思う。例えば、貧困者にお金を与えれば解決する、という訳ではないはずだ。その原因となるものを広く深く掘り下げて、そこにあるものに対して手を打たなければ真の解決は望めないと思う。
真の解決...?
書きながら自己矛盾になってきた私...。そもそも「真の解決」て何だ?解決して何処に向かおうとしているのか?どんな状況を目指しているのか?
本書では貧困・格差だけではなく、夫婦、オトコ、オンナ、生きること、死ぬこと、といった身近な中に潜む疑問にも大きく焦点が当てられている。敢えてざっくりと本書を表すならば
うんちく祭り絶賛開催中
てところだろうか。
この「うんちく」を批判的に捉えるか、フムフムと肯定的に捉えるかで本書の好みは分かれそうに思える。私は後者です。かといって、本書が自分の「お気に入りの本」になるかといえばそうではない。そこのところがビ・ミ・ョ・ウ....。
抽象的だが、本書は
この本の表紙の女性(女の子?)の絵のように
絶対的に可愛げは無い
でもどこか魅力的で気になる存在
とはいうものの、本書は面白く読めたし、この著者の別の本も読みたくなったので私としては大満足です。