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紙の本
政治と宗教と岩波書店と名誉欲と学術的批判。
2009/03/19 01:04
8人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者は天皇制批判をしながら学士院賞や恩賜賞を受賞し、現在は学士院会員だ。他にも片手で天皇制批判をして、もう片手で学士院賞を貰った事を麗々しく著者紹介に書かれていたので、その本を買わなかった新約学者がいる。さすが岩波書店から刊行されているだけあって、「戦前・戦中」の「朝鮮人強制連行」を論じていながら、北の工作員による拉致は書かない。いくら北朝鮮べったりの岩波書店でも李光洙をはじめ、仁川上陸作戦とソウル解放の際に敗走する人民軍が拉致した植民地時代の著名人や大韓民国臨時政府関係者について書く場合は触れざるを得ないだろうに。
この本は元々NHKのラジオ第二放送の番組で使われていたテキストを元になっているので、そういった政治的な箇所が気に入らないのを除けば、福音書に記されたイエスの言葉を論じている点では一読に値する本だ。(特にヨハネによる福音書の7章53節から8章11節までの「姦通の女」については、この本の親本を読んだ時に強い印象を受けたものだ。たとえそれが元のテキストに記されていなくて、本文に記されているように外典から得て敷衍したテキストであったとしても、多分古い伝承であろうから)。まだ田川建三氏がヨハネ伝を訳されていないので、言及されていないが、刊行されたら、また手を入れられるのだろう。親本が刊行された時は、まだ荒井氏と彼の弟子達による岩波版新約聖書は刊行されていないので、主に新共同訳で言及されていなかったから。田川氏は荒井氏に対するライバル意識からか、御自身の翻訳の中では散々に岩波版を批判している-そんなに程度が低い訳ならば御自身が高く評価されているフランシスコ会訳を言及すればいいのに-が、この本では田川訳の既刊分(今のところ福音書はマルコ伝とマタイ伝のみ)の翻訳を参考にされている。学問とは、どういうものかが、よく分かる。