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紙の本
チャールズ・ダーウィンの生涯 進化論を生んだジェントルマンの社会 (朝日選書)
著者 松永 俊男 (著)
ヴィクトリア朝の世界帝国イギリス、その繁栄を担ったジェントルマン(上層中流階級)層の一員だったダーウィンが、その時期に、その場所で進化論を生み出したのはなぜか。「ダーウィ...
チャールズ・ダーウィンの生涯 進化論を生んだジェントルマンの社会 (朝日選書)
チャールズ・ダーウィンの生涯 進化論を生んだジェントルマンの社会
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商品説明
ヴィクトリア朝の世界帝国イギリス、その繁栄を担ったジェントルマン(上層中流階級)層の一員だったダーウィンが、その時期に、その場所で進化論を生み出したのはなぜか。「ダーウィンとその時代」を、最新研究をもとに描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
松永 俊男
- 略歴
- 〈松永俊男〉1939年東京生まれ。東京大学大学院哲学修士課程修了。桃山学院大学名誉教授。学術博士。著書に「ダーウィンをめぐる人々」「近代進化論の成り立ち」など。
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小泉純一郎に読ませたい
2009/08/31 08:14
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
胸のつかえが取れすっきりした読後感である。ひところダーウィンの言葉というのがやたらと引用されていた。曰く「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」と。あの小泉元首相が言ったとか?
ところが、この言葉は、ダーウィンの著書のどこにもないそうだ。政治家とかが自分の主張を正当化するために勝手にダーウィンを騙っていたのだという。道理で岩波文庫の『種の起源』を隅から隅までページをめくっても見当たらなかったわけだ。
2009年はダーウィン生誕200年。また『種の起源』出版150年とのこと。本書の目的は、ダーウィン研究の新しい成果を踏まえて正確な事実を伝えること。根拠なく広まっているダーウィン神話の誤りを指摘することだ。例えば、ダーウィンが進化論を着想したのはガラパゴス諸島だったのだろうか。著者によれば、ダーウィンは柄派牛頭諸島で、直接に進化論に結びつくような観察はしていないし、生物進化の可能性も考えてこともないという。
それと、ウォレスとの間で繰り広げられた、進化論の先陣争い――『ダーウィンに消された男』という邦訳で刺激的な話題を提供したものだ。ウォレスの論文は「あらゆる種は別の種から生じた」という主旨なのだが、表現があいまいなために、ダーウィンは自説と同じものだと誤解したことにあるという。
ウォレスは、種と変種との闘争に着目し、それによって進化が進むと主張している。ダーウィンのような生態学的な観点がなく、両者の考えは大きく異なる。分岐の原理とは、生態的に分岐した生物ほど生存に有利であり、その結果、生活様式の違いによって種の分化が起こり、枝分かれ的進化が進行するというものだ。ダーウィンがこの分岐の原理に到達し著述するに至ったのは、確実にウォレスの論文の前だという。
当時は、多様な生物の存在など自然界の巧妙な仕組みを、神のデザインとしてひとくくりに済ませるのが主流であった。ダーウィンの自然選択説は、偶発的で無方向な遺伝変異が進化の素材であり、それと環境条件とのかかわりがあって新たな適応形質が生まれるというもの。無目的な自然現象の中から生物の適応、すなわち合目的性がもたらされることだ。
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