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読割 50
紙の本
5 (角川文庫)
著者 佐藤 正午 (著)
「憶えてるよ」僕は正気を取り戻した。「スープも人の感情もいずれ冷めてしまうという一行だね」「本気で書いたんでしょう?」「本気だよ」「必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と...
5 (角川文庫)
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商品説明
「憶えてるよ」僕は正気を取り戻した。「スープも人の感情もいずれ冷めてしまうという一行だね」「本気で書いたんでしょう?」「本気だよ」「必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ」「真理だ」「その真理がくつがえるんです」。洗練された筆致と息をつかせぬリーダビリティで綴られる、交錯した人間模様。愛の真理と幻想を描いた、大傑作長編。【「BOOK」データベースの商品解説】
〔2007年刊の加筆・修正〕【「TRC MARC」の商品解説】
結婚8年目の記念にバリ島を訪れた志郎と真智子。旅行中に起こったある出来事がきっかけで、志郎の中に埋もれていたかつての愛の記憶が蘇る。洗練された筆致で交錯した人間模様を描く、会心の恋愛小説。【商品解説】
著者紹介
佐藤 正午
- 略歴
- 1955年長崎県生まれ。北海道大学文学部中退。83年『永遠の1/2』ですばる文学賞を受賞しデビュー。著書に『取り扱い注意』『恋を数えて』『個人教授』『身の上話』など多数。
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紙の本
最後の最後まで行き先がわからない佐藤正午ワールドの傑作。
2010/09/01 19:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはおもしろい!とにかくおもしろい。妻と旅行に来たバリ島で中
志郎という男は一人の女性と手と手が触れ合い、そのことによって、な
ぜか妻への情熱を取り戻す。結婚8年目、すっかり冷めたと思われた妻
への愛が突如甦ったのだ。その妻、中真智子と長年の間不倫関係にある
小説家津田伸一、彼がこの小説の主人公。津田は真智子から別れを告げ
られ、志郎とも出会う。そして、彼からバリ島で手を触れた相手の女性
についての話を聞くことになる。実は…彼女は…。
なんだかわからないけど、おもしろいでしょう?ここから先の話をす
ると読む楽しみが半減するので止めておくが、これは「記憶」に関する
物語。そして「愛」についての物語だ。もちろん佐藤正午のこと、直球
勝負ではない。津田という小説家はけっこうヤなヤツだし、キーパーソ
ンとなる石橋って女もかなりヘン。出会い系にはまっている津田と女性
たちのやり取りが不思議な味つけになっていたりもする。
そして、くねくねくねくねと話は進み、最後にとんでもないところに
たどり着く。佐藤正午という希代のストーリーテラーが紡ぐ物語の舟は、
最後の最後まで行く先がわからない。ここですよ、と降ろされた所はも
ちろん自分が望んでいた場所ではない。でも、その航路をたどってみて
フフフフフとほくそ笑んでみたりするのだ。
ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より