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商品説明
オランダなど農業先進国で主流の「太陽光利用型」低コスト植物工場を紹介。始め方から、栽培と管理、収穫、販売まで、農業をビジネスとして成功させるためのノウハウを提供する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
池田 英男
- 略歴
- 〈池田英男〉千葉大学環境健康フィールド科学センター・次世代型植物生産研究部門・客員教授。同大学大学院園芸学研究科兼任教授。農学博士・技術士。編著書に「野菜栽培の基礎」など。
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紙の本
「植物工場ビジネス」は、自然環境に左右されにくい、サイエンスとしての農業だ!
2010/04/22 18:52
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「野菜作り」は「土作り」からという、日本の農家の常識、いや固定観念を否定し、科学理論に基づいたビジネスとしてのサイエンス農業を提唱する一般向けの実務書である。世界標準である、「太陽光利用の低コスト植物工場」である。水耕栽培というよりも溶液栽培というのが正確な表現である。
著者の姿勢は「はじめに」に書かれているが、私はこれを読んで、なんだかガツンとやられたような気がした。もちろん水耕栽培について知らないわけではない。だが、「植物を生育させるという目的から見ると、土はたくさんある培地のひとつである」という記述には、いわれてみれば当たり前なのだが、新鮮なショックを受けたのである。
著者の姿勢は、栽培技術を経験や勘から解放し、データと科学的理論に基づいて行おう、というものである。農業を科学理論に基づいて行う事によって、ビジネスとしての農業をより確実なものとし、自然環境に左右されることの少ない計画生産を可能にする。
著者の池田氏は、農学博士で技術士、長年にわたって大学農学部で蔬菜学(そさいがく)、施設園芸学を講じてきた人である。とくに、著者が1980年代からフォローしてきた植物工場先進国のオランダの事例は興味深い。「施設栽培が最も進んだオランダでは、養液栽培による施設園芸こそが、環境負荷が最も少なく、持続的で、無農薬栽培に最も近いといわれている。なぜならここでは除草剤や土壌殺菌剤が不要で、天敵昆虫も利用でき、湿度調整をすると病害の発生すらもほとんど問題にならないようにできる」(P.16)
本書は、著者による長年の研究成果をもとにした、個人でもできる「植物工場ビジネス」入門となっている。施設園芸ビジネスを成功させるコツ、施設園芸の経営、初期投資・ランニングコスト・売上金回収、栽培と管理、収穫から包装・輸送・販売まで、日本における成功事例、と実用的な情報が、科学者らしくきわめてロジカルに説明されており、たいへん役に立つ。
農業をビジネスとして捉えている異業種のビジネスマンだけでなく、これから農業に参入しようと考えている個人にとっても、必携の一冊といえよう。