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2010.04.04 朝日新聞に紹介されました。
2010.04.25 日本経済新聞に紹介されました。
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Introduction 料理の仮説
1 生食主義者の研究
2 料理と体
3 料理のエネルギー理論
4 料理の始まり
5 脳によい食物
6 料理はいかに人を解放するか
7 料理と結婚
8 料理と旅
Epilogue 料理と知識
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小型本が出たらぜひ手元に置きたいです。火を使うことで食物は軟らかくなる→食べやすく、消化しやすい→口は小さくて済む、消化器も短くて済む→身体全体に占める消化器系が小さくなる→その分、脳や別の器官が大きくなる余地が生じた→食事と消化の時間が短くなる→狩りや他の活動により多くの時間を割くことができる。
火を使って料理することが人間の進化にどれだけの影響を与えたかを説く。
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火 暖をとることと料理を生んだ 消化の効率を上げた 料理 一口サイズに切る 消化し易く 消化器官が小さく機能アップ
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本書は、「料理」を生物栄養学的、人類学的、社会的文化的、観点から現代において判明している知識を総動員して、合理的想像をも交えて一般向けに語った書である。尚、著者のリチャード・ランガム氏は人類学(特に霊長類)の専門家であり、本書の内容も、社会的文化的観点や栄養学的観点よりも、人類の進化過程に「料理」がいかに影響していたかの観点(人は進化によって火を使用したのではなく、火の使用でヒトに進化した)、人類学的観点からのアプローチがもっとも詳しい。
本書でいう料理とは食料を「すりつぶす」「混ぜ合わせる」等一連の様々な加工はもちろん一般的には「料理」に該当するが、火の使用、すなわち食物の化学変化を伴わせる処理を特に「料理」と定義する。
本書前半では、「料理」をすることによって、(含有カロリーが同じ)食物から実際に得られるエネルギーが増大する事実を様々な事実から主張する。幾例かを具体的に記すと、第一に生食主義者(火を使わないで食事をとる主義)の事例を用い、生食主義者が痩せている事実の指摘、さらに、ダイエット志望の被験者の一群に、一定期間生食主義を実践してもらい、ことごとく体重が激減した事実、さらに生殖能力の減退の発生(そういう欲求が生じなくなるという事実)の確認を提示する。第二に、動物実験で等量のカロリーを含有した食物で一つのグループには「料理」した食物、もう1つのグループには生食で餌を与えた結果、「料理」した食物が与えられた一群のほうが体重の平均が重くなった事実を提示する。さらに、生卵のたんぱく質の消化率の実験では、生食した場合が、含有たんぱく質の5,6割しか吸収されないのに対し、「料理」された卵のタンパク質は含有タンパク質の9割以上が消化吸収された事実を指摘している。要するに、限られた食料から無駄なくエネルギーを摂取するのに「料理」は欠かせないのである。
本書中盤以降は主に類人猿から人類への進化過程の因果関係を「料理」を主軸に説明展開する。「火」の使用事実は、遺跡調査を根拠に類人猿の時代から確認されているが、それと共に遺跡調査を始めとした様々な根拠から、類人猿時代からの「料理」の果たした影響が追及されている。ここの因果関係の説明の仔細は本書に譲るが、多少ポイントを説明する。「生食」だと、食物の消化吸収に時間がかかり、しかもエネルギー摂取効率が低いので、同様のカロリーを得るのに大量の食事が必要になる事実を挙げ、全活動時間のかなりの時間が食事に割かれざるを得ない(すなわち、狩や採集等に割くことのできる持ち時間が圧迫される)、また消化器官が大掛かりとなることで、その生物的な消化組織自体を運営するエネルギーも無視できない。一方、「料理」された物を食す習慣が始まってそれに適応してくると何が起こるか?まず、食事に割く時間が減少する(粉末状のものや、液状のものや、柔らかいものを食せるようになる)ので、狩や採集に割く時間をより多く確保できるようになる。また、大掛かりな消化器官が不要となり、消化器官に消費されるエネルギーも減少し、エネルギー消費が抑制されるようになる。一方余剰エネルギーは何に使われるようになるか?それ���著者の主張する脳の容積増大(脳はエネルギー消費が多く、維持には安定したエネルギー確保が不可欠)である。いわゆる、類人猿のアウストラロピテクス(200万年前)の時代から「火」の使用が始まり、その時点から遠からず「火」を通した食料を発見したはずであり、それが「料理」の起源となって、人類の進化過程が促進されたとするのである。
本書後半では、「料理」が人類の社会的な営みに与えた影響を指摘し、それが脳を刺激してより複雑な社会を維持形成したのではないかと著者の持論を展開している。
本書は人類学(進化論)を「料理」を主軸にして展開した内容となっている点で新鮮である。
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ヒトとサルを分けるものは何か? 「服を着ているかいないかの違いだな」。確かに。「美容院にも行かないわね」。その口で美容を語らないでもらいたい。「タイムカードも押さないよな」。彼らの方が幸せなのかもしれない。
http://sessendo.blogspot.com/2011/06/blog-post_8233.html
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火の使用の調理に関する側面に焦点をあてた文化史。この手の話は検証ができないので、「そうも言えるかもしれないけれど、、、」ということになってしまうのだが、消化吸収に関するうんちくも多く、読んで損はない内容。人間だけがナマのものを食べられない。低カロリー・高繊維食が普通な霊長類の中でも口は小さく、顎も非力で消化器も小さい。調理により食べ物の酵素の生命力が破壊されるとして、調理された食べ物を拒み、生のものだけで生活しよういう主義の人もいるが、低栄養、無月経などが必発する(菜食主義者は調理したものを食べるし、体重減少などもない)。ただし、ペットや家畜は調理したものを与えたほうがよく育つし、好みでもある。ヒトは食べ物に火を通すことで、ナマのものを食べる機能を失ったともいえるが、消化に必要なエネルギーを節約し、時間的にも(チンパンジーは一日に6時間を咀嚼のために費やす)生理的にも(脳の発達)ゆとりができた。また、狩猟と料理を始めることで、得た食物をその場で食べることがなくなり、個人レベルの自給自足を終わらせ、家族単位の食生活、男女の分担といった文化がつくられた。・調理により消化がよくなると考えられているが、これを調べるのはなかなか難しい。ヒトの消化は小腸での吸収が主要な役割をはたしているが、大腸で細菌による消化(ヒトの役にはほとんどたたない)もあり、単純にIn/Outを比較するだけではダメ。回腸造ろう術の患者を対象に、小腸から出てくる食物残渣を調べれば可能だが、あまりやられていない。食物のカロリーという値も実際どれだけが吸収されているかはよく分かっていないが、現代社会の食べ物はより柔らかく、暖かく、小麦粉なども細かく挽かれている。・脂尾羊という羊がおり、尻尾に溜まった大量の脂肪をちゅうちゅうと吸うことがヒトのナマ食の例としてあげられている。溜まりすぎると歩けないので台車に尻尾を乗せて移動したり、交尾が大変だったり、飼育が難しいんだとか
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大自然の中で火を見ていると落ち着く理由が理解できた。
セックスではなく手料理を振る舞うことが結婚の証になる部族が紹介されていたが非常に理にかなっていると思った。
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前回は、食が文化形成に果たした役割を論ずる本を読んでましたが、今回は、料理と人間の進化について論じた本。ヒトをヒトたらしめたものは「料理」である!こう聞くと荒唐無稽に感じるかも知れないけど、恐ろしい量の文献と、生物人類学者である著者のフィールドワークによって得られた知見から展開されるこの論は、説得力満点です。いわく、「料理をする」→「効率よく消化できる」→「多くのエネルギーを消費する消化のプロセスを省力化することで、消化器官が小さくなる」→「余剰のエネルギーを脳の発達にまわす」→「料理法を改善することで脳容量が拡大する」。これにより、人間はヒトに進化し、また料理できる環境を作るために、社会的スキルを磨いたのだ、ということなんだって。こんな数行にまとめてるけど、本では微に入り細に入り、丁寧に論を組み立ててます。しかも、時々ユーモアを交えて書かれているのでけっこう面白い。人間がいかにして料理を知ったか、火を使うようになったかを語るくだりは、実際にあったことを見てきたかのように表現されていて、まるで映画を見ているようにワクワクします。私、ここに自分の感想を一生懸命書いてますが、実はこの本の「訳者あとがき」がすごくよくまとまってて、そっちのほうが、私の感想を的確に書いてます。レポートって難しいのう。
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ヒトという種は「火」を得たことによって、新たなステージへと進化した。
その根拠を余すところなく網羅したのが本書。
火で調理することによって得られるベネフィット・・・
咀嚼時間の短縮による消化器官の縮小、脳へのエネルギーの割合増、男性女性の社会的役割の確立とそれによってもたらされる生活全般の効率性etc・・・。
動物たちが咀嚼や消化に、多大な労力と時間を科せられるという事実。
その対比によって、火による恩恵をクローズアップする手法には読者も納得させられるだろう。
火を利用することが人類進化に大きく寄与したことは間違いないはず。
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ヒトが猿から進化したのは、脳がでかいから。脳がでかいのは、料理により食物の消化を効率的に行い、余ったエネルギーを脳の進化に充てられたから。この仮説は面白い。本というよりは論文だけど、読んで損はない。
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装丁はいいのだが。
後書きを見れば、内容がまとまっているので、そこを拾い読みすればいい。
要するに、人類が火を使い料理をすることによって、多様なエネルギーを効率よく吸収でき、脳を大きくして知能を発達させ現世人類に進化することができた。さらに料理は結婚をもたらし、家庭構造を生み出し、人間の社会活動の基盤を築くことになったという。
これまでの農耕狩猟が進化をもたらしたという説ではなく、料理こそが進化に画期的な役割を果たしたと唱える。そして、さらにには現代人の健康まで焦点をあてる。
読みやすいのだろうが、目から鱗が落ちたというほどの発想の転換でもないような。
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人間の進化の本。料理が人間に与えた影響を、知的刺激のあるノンフィクションに仕上げている。
■料理が与えた影響
①調理(火を使う)で食物は消化しやすくなる
②食べやすいので、口や消化器が小型化・省エネ化
③脳や別の器官にエネルギーを避けるため、進化!
④狩りや他の活動により多くの時間を割けるようになった
■気になった内容
①生食の問題 → 摂取カロリーが激減する
②類人猿との比較 → 類人猿の食生活では、大きな脳を維持できない
③料理と結婚 → 料理をすることによって、家事と仕事が生まれた
ただ、図付きで、サックリまとめた方が、読み易い気がする。
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生ものは火を通したものに比べると圧倒的に消化されにくい。粉を挽く、つぶす、焼く、茹でる、料理の効能は食物の吸収を高めるだけでなく、食事を分業にするとともに食事時間を短くする。また、消化に費やすカロリーも減る。料理によって効率的にカロリーを得ることができるようになったことで大量にエネルギーを消費する脳を大きくすることができた。
小さな口、弱い顎、胃は短時間しか食物をとどめず、腸も短い。人間の体は固い生もので維持できるようには出来ていない。進化論では食事に合わせて形質が変化する。料理が進化を進めたという話は説得力がある。
生ものを食べる霊長類は食事を分け合うことはしない。獲物を共同体で分け合うのは料理があってこそだという。
なんとある部族は独身の男女が一緒に食事をすると、結婚したことになるらしい。
動物も料理した食事を好み、生ものを食べるより良く肥えるそうだ。
美味いものが食いたくなるが、病気になるほど太ることができるのは人間とペットだけということか。
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火の発明により、料理ができるようになることでヒトは進化できた。私は火の発明を陸で過ごせる安全を得た→移動距離が伸びる→二足歩行、大型の野生動物から身を守る等、火の発明の意味を理解していた。しかしこの本によれば、火の発明は料理が出来るようなることで、素早く摂取カロリーが増える→1、体や脳が発達する。2、消化にかける時間が短縮でき、行動範囲が広がることが大きいとする。体や脳が大きくなり、寿命が伸び、食物の分配の中で社会性が生まれ気質が穏やかになり、男女間の絆が新たに強まった。女性は男性の為に料理をはじめ、男性は自由な時間が増えてより長く肉や蜂蜜が探せるようになった。いまでは、ダイエットや、過剰摂取が多く、料理を如何に美味しく食べる為としか考えないが、料理により多くの栄養をとることがヒトに進化できた要因とする著書に、本来の食事の意味を考えさせられる。