紙の本
作者の持つ深い湖は健在。だけど、霞のような綿菓子のような掴みきれない感じが。
2010/07/05 13:15
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
楽しみにしていた「つれづれ」の新刊。
でも今回は後半部分がちょっと苦しかった。
11巻、12巻あたり(二度目の夫との離婚をめぐる葛藤)
で感じた、息苦しさが蘇った。
16巻からたびたび文中に登場する「虫くん」という
人物に対するメールが延々と綴られている。
それがとても混沌としていて、感情の七変化なのだ。
(相手を責めたり、褒めたり、揚げ足をとったり。)
いつも深く掘り下げたところから物事を洞察する、
というイメージの銀色さんらしからぬ文章。
「つれづれノート」は、ただの日常をそのまま書いた
日記ではなく、日記文学というか、日記を超えたところに
あると思う。日常からの深い洞察や哲学が詰まっているし、
じぶんのことをクールに見つめて澄んだ文章が綴られている。
そういうものだからこそ、ファンの心をがっちり掴んでいるのだと。
どんな本でも出版という商業ベースに載せる時点で
それはフィクションを免れないのではないだろうか。
たとえ著者の体験をそのままという場合でも
編集者がめりはりをつけて、より劇的に演出する。
それは悪いことではなく、むしろ
読者がお金を払ってその本を買うだけの価値をつけるという
なされるべきことだ。
スティーブン・キングが「on writing」の中で
「書くのは人の常、編集は神の業」と書いているとおりだと思う。
そしてそういう努力の中でおもしろい本が生まれていくんだと思う。
銀色さんいわく、ありのままを深く伝えたいといつも書いているが
今まで読んできた色々なことは、
(読者の反応とか)織り込みずみの、計算上でのこと
なのだろう。書く必然性があった、ということ。
でも今回は疑問が残るなぁ。
誰かに個人的に宛てたメールと、原稿として書かれた日記は
まったくの別物ではないだろうか。それは
プロが読者を意識して書いたものと、一般のブログくらいに
距離があるような気がするのだ。
読みたいのは、特定の誰かに垂れ流した感情ではなく、
もっとたくさんの人に向けてひらかれた文章だから。
これが推敲のうえでの(またはこれをそのまま載せることが)
作者の作品への挑戦だったりするのかもしれないが。
なにか、もやっとしたものが残ってしまう。
綿菓子にかぶりついても、得られることのない充実感。
「つれづれ」は14巻でいったん終了していて、
15巻から再開されたのだが、前よりも深みを増していて、
本を読んでいるだけで作者と繋がっているんだなぁと
感じさせてくれるところがすごく好きだった。
実際に会えるわけでも、連絡をとっているわけでもないけれど、
本を読むことが、作者に繋がることになる。
それを一方通行じゃなく、感じられる。
そういった実感を持っているファンはきっと多いはず。
今回ももちろん、線をひいた部分はたくさんある。
一例として。
「真剣なものは、きれいだと私は思う。
人が真剣になるのって、たまにしかない。
真剣な人って、まわりを見渡しても時々しか見ない。
真剣さに飢えている人は、真剣なものに飛びつく。
私はいつも、告白をするときのような真剣な気持ちで
これを書いている。だから、真剣なものが好きな人は
それがわかるのだと思う。」(本文より引用)
好きな作品を批評(なっていないかもしれないが)するのは
たいへん難しい。
とりとめのない文章になってしまったけれど、
ここで持った違和感は、この先どのように展開していくのだろう。
もしかしたら、進化していく過程なのだろうか。
期待を込めながら、次巻を待ちたい。
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「つれづれノート」は出るとつい買ってしまう本の一つです。
これまでは「グインサーガ」がそうだったのですが、残念ながらもう新刊が出ることはないので。。。
銀色さんも栗本さんも「めちゃくちゃ好き!」ではなく、ちょっと一癖二癖あるタイプ。だけど気になってしまう存在。
最近のつれづれは昔ほどイラストが多くなくて残念。
銀色さんの何ともいえないあの絵。あれがあってこそのつれづれです。ふたりの子どもたちの成長が楽しみ。
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発売時期をすっかり忘れていたところ昼休みの書店で見つけて小躍り!
かんちゃんは大人に、さくも思春期。
長年読み続ける醍醐味だ。
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銀色さんのエッセイが大好きなんだけど、
今回はちょっとスピリチュアル・スピリチュアル
言いすぎだなーと言う気がしてしまいました…(^^;)
息子君や娘さんとのやり取りは
相変わらずおもしろいです。
彼らはどう成長するのかなー!
他の人との、時々でてくるスパッとした切れ味のある
会話も好きで楽しみだったのですが、
いかんせん会話の内容ほとんどが
スピリチュアルに偏っている気が…。
でも次には出会ってるかどうかが
すっごい気になって仕方ないです♪
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つれづれシリーズは、欠かさず読んでいるので もはや義務のごとく購入。
一般的な生活を営んでいる者としては、
共感しきれない部分もあることは否めない。
ただ、とても気分が落ち込んでいるときに読んだこともあり
ともに毒を外に出しているかのような感覚になった。
次が出れば、また読みたい。
銀色夏生という作家?の、今後をきちんと見届けたい。
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前半は楽しく読めたけれど、虫くんとのメール交換が始まると読み辛くなる。とても個人的なやりとりが、「恋」という意識とは別の場所で公開されていることに疑問をおぼえる。誰かを自分の思うようにコントロールすることなんて、できなくて当然なのになあ。せっかく哲学や含蓄ある言葉がちりばめられているのに、勿体ないように思う。
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私は他の、いろんな人の評価に惑わされることなく、きちんと私の心で物事を見て、考えられるようになりたい。
実感に基づいていない偽物の言葉を喋らないようにしたい。
そのためには、色々な経験をして、その都度、深いところまで考えていかないと。
表面でサラーッと過ぎていく物事、人たち‥まだまだ多いなあ。
そして、理解したら手放して、次のステップへ。
終わりにたどり着くことは永遠にないのだとしても。
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「大丈夫。物事は悪いようにはならない」
いい言葉だなぁ。
前号に引き続き、虫くんとのメールのやり取りとかは非常にもうアレなんだけども(笑)、それでもこの「つれづれ」シリーズはもはや大河ドラマのような壮大さ(?)なので(だって無冠の帝王である詩人のほぼ一生の記録だよ?)、そんな長い人生の中の1冊だと思えば、ある意味貴重な1冊になり得るのか、も、?
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だいぶスピリチュアル用語混じってきたけど基本はお変わりないというか、銀色さんの感じることを銀色さんが理解して表現するのに、スピリチュアルな価値観がたまたま適してたのかなと思う。
虫くんが人を愛する段階にない理由を我がことのように読む。
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銀色夏生さんの日々の暮らしエッセイ、18巻。
今回の巻では、銀色さんが落ち着いた感じになってきたなぁ、というのを特に感じました。
子育て中は子供と意見が合わなかったりストレスもあったり、もちろん嬉しいこと楽しいこともたくさんあるのですが、特に銀色さんが今まで気にされていたカーカちゃん(お嬢さん)との関係が、よい距離感になって自然体になっているのが伝わってきました。
保護下というよりも、それだけカーカちゃんが大人に近づいてきたからでしょうけれど。
最近のこのシリーズの中では、一番作者銀色さんの「ゆとり」が伺えます。
一般的に人は、若い頃のほうが物事に対してシビアだったり許せない部分が多かったり、何かにつけ感情的になることが多いんですが、もうそういう時期を乗り越えられていて、オトナの目線で静かに物事をとらえられている印象でした。
子育てもそうですけれど、親や身内の介護もそう。
今号ではありませんが、お母様の介護記「ばらとおむつ」にもありましたが、そういった経験を重ねると物事を見る目が次第に変わっていくのではないでしょうか?苦労をただ、苦労とだけしか感じない方もいれば、苦労の中から何かを学ぶ方もいらっしゃる。銀色さんご本人が意識されてるわけではないと思いますけど、銀色さんは苦労も人生の糧や学びにされて、気負いすぎることなくゆるやかに生きてらっしゃるという気がします。
一時期の銀色さんには、激しくはないけれど何処かクールなナイフのような一面もありましたけど(批判の文章などで感じたイメージ)それが段々まるくなっていらっしゃったといいますか……どんどん悟られているような感じが。(あくまでも個人的な印象ですので。ファンの方&銀色さんすみません)
闘うというか、怒りが含まれる文章って、やはり読んでいると疲れるんですよ。そういうのがなくなってきて、すごく肩の力が抜けた暮らしぶりが文章から溢れています。生活が楽しそうなんですよね。草取りは手作業でやったほうがいい、それはなぜか?などのあたりも、哲学につながる部分を感じて思わず付箋でチェックしてしまいました。
そろそろカーカちゃんも独立ですね。
さくぼうも段々オトコノコらしくなってきてるし。
19も本日発売だそうで。楽しみです。
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かんちゃんがCDを出すんだって!ミュージシャンかんちゃんの誕生か?!さくくんは髪の毛、長すぎでしょう。
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せっせが気の毒で、その印象が強すぎて、哀しい気分のまま読んでしまった。
カーカとも仲良く暮らしていて、楽しい場面がたくさんあったのに、楽しく読む事ができなくて残念。
しげちゃんのお世話をせっせに任せて、東京に引っ越した時も驚いたけど、さく君の面倒もみてきたせっせが報われないよね。
書いてある事が全てではないだろうし、傲慢さを隠さないところが「つれづれノート」の魅力でもあるんだけど…
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私たちはクリスタルを見つけながら進んでいる。目的地に向かって道のない森の中を歩いている。何かを作るって、すべてがそうだね。選んだ道が行き止まりだったらがっかりしないで別の道を選ぶ。そしてあきらめずに進む。あきらめずに進む。物事は悪いようにはならないとかたく信じて。(背表紙より)
つれづれノート18。今回もさくさく読めました。とりたてておもしろーい!とかすっごーい!とかないんだけど、どうしてか目が離せない。もっともっと続きが読みたい。ひとつひとつの言葉が好きです。とっても力になります。
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タイトルがうまいなあと、思った。ま、内容とはそんなに関係ないのですが。結局、カンちゃんがどうなるのかが気になって読み続けているような気がしてきた今日この頃。あと、さくくんの素直なところが成長とともにどうなるのかも気になる。このまま行けば、すてきな男の子になりそうだけど、どうなることやら。
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ずーっと読み続けているけれど、どんどんスピリチュアルな方向へいっている。それはまだいいんだけど、個人的には「虫くん」という人とのメールのやりとりがしつこく感じられてほとんど読みとばしてしまった。ごく普通の日記の部分は淡々としていてすごーくおもしろいのにな。