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紙の本
走り火 (講談社文庫 お医者同心中原龍之介)
著者 和田 はつ子 (著)
見習い同心の光太郎は、妻が二百文も出して鼠除けに効く「睨み猫」なる絵を買ったことに呆れていた。ところが定中役の上司・龍之介も、同じ絵を願人坊主から入手したのだという。そし...
走り火 (講談社文庫 お医者同心中原龍之介)
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商品説明
見習い同心の光太郎は、妻が二百文も出して鼠除けに効く「睨み猫」なる絵を買ったことに呆れていた。ところが定中役の上司・龍之介も、同じ絵を願人坊主から入手したのだという。そして龍之介の亡き父が遺した日記をめぐる、恐るべき謀略と過去が次第に明らかになって…。シリーズ第三作。文庫書下ろし。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
切られ与三郎に憧れる気持ちはわかるが……
2010/12/05 17:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるで、テレビドラマ「相棒」の右京さんみたいな、中原龍之介が、遊び人に変装して、賭場に乗り込む。
まるで、テレビドラマ「相棒」の亀山薫みたいな、松本光太郎も、同じく、遊び人に変装して、賭場に乗り込もうとするんだけど……
> 「着物は藍で、下着は白木綿、三尺帯に、鉄火に結ぶ豆絞りの手拭い、素足に草履と言っておいたはずだぞ」
> 「兄さんが与三郎に憧れているのはわかりますが、芝居の与三郎になって、舞台に立つわけじゃないんですからね。そんな格好で行ったら、かえって怪しまれますよ。賭場に通うような遊び人は、それほど洒落者じゃないんだそうですから」
ほんとに、こういう、しっかりした、兄思いの弟孝二郎がいてくれて、よかったよ、松本光太郎は。彼が弟に頼んだのは、『与話情浮名横櫛』の切られ与三郎そっくりのいでたち。『与話情浮名横櫛』は、嘉永六年、1853年に初演されているので、この小説は、少なくとも、その年以後の話である。
右京さん、じゃなくて、中原龍之介は、賭場でも、冷静沈着、スマートである。いかさま博打の胴元のボディーガードを勤めて、やがて、必要な情報を探り出す。
「走り火」とは、馬が、どんな縄でつないでおいても引き千切って走り出すようになる、という病気だが、この病気は、突然なるものではなく、はじめは、ぬかや草を食べず、縄をつけて引いてやらねば起き臥しさえできぬほど弱るものなのだという。
しかし、ここ十年、馬が突然走り出して町人を蹴り殺すなどの事件が、毎年のように、起こっている。
中原龍之介は、もと、馬の医者になるつもりで修業していたときの師匠に、知恵を借りる。
これらの探索の合間に、いつもは敵役の菊池基次郎が、愛する女性の息子の心の病の治療を中原龍之介に頼んできたりする。
それもまた、事件に関わりのあることであった。
しかもそれは、中原龍之介の一家を襲った過去の悲劇とも関わりのあることであった。探索を進めるうちに、知りたくないような事実まで、わかってしまうが……
最後には、謎が明かされ、事件は解決する。
中原龍之介と松本光太郎との絆が、一段と深まったところで、話は終わる。
謎解きよりも、キャラクターを楽しむ小説である。