紙の本
年の差カップル
2012/03/10 17:39
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投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦後まもなく、ウクライナからイギリスに移り住んだ84歳の父から、ある日、49歳の娘に1本の電話が入る。
それが全ての始まりだった。
「結婚するぞ!」
母が亡くなってから、2年しか経ってないので、怪訝な顔をしながらも相手の事を聞いてみると、
「ウクライナから来た36歳のバツイチ、子(14歳)連れの巨乳美人」
だという。
自分の娘より若い嫁。その名はヴァレンチナ。
年齢差、ダブルスコア以上。
地元のウクライナ人友愛クラブで出会い、互いに一目惚れ。ヴァレンチナのヴィザが切れる3週間前に結婚を決意したという。
話を聞けば聞くほど、財産とヴィザ目当てとしか思えないが、当の本人だけは、すっかり舞い上がって、聞く耳を持たない。
世間に自慢できるような立派な父ではないが、食い物にされるのを放っておくわけにはいかない。
かくして、母の遺産相続でいがみ合っていた59歳の姉と一時休戦し、共通の敵を追い払うべく立ち上がる・・・
「作戦」を立てるためには父から情報を仕入れなくてはならないが、娘から(後には嫁からも)やいのやいの言われる父は「エンジニアであり詩人」(と自認している)のプライドを守るため「ウクライナ語版トラクター小史」という本の執筆にすぐ逃げ込んでしまう。
娘や嫁の前でさらしてしまう姿と本の内容は、あまりにも落差があり、話の中で一部が語られる「ウクライナ語版トラクター小史」は浮いている印象を受ける。
ちなみに巻末のあとがきに書かれているが、本書の原題を直訳すると「ウクライナ語版トラクター小史」。
このタイトルのために当初、アマゾンで「農業」の分野に分類されたとか・・・。
姉と妹の「作戦会議」の最初の方は、登場人物の誰かの悪口で終わる事が多く、何だか井戸端会議を聞いているよう。
あまり好きな類の話ではないので、これが続くとツライと思ったが、それは杞憂だった。
基本的にドタバタ喜劇なのだが、両親の過去の話として、ウクライナの歴史の暗い部分が語られる。
平凡な日常をおくっていたとばかり思っていた両親の若い頃(戦争中)の苦難の歴史。
生き延びるために決して正々堂々な手段とは言えない方法もとらざるを得なかった事。
それらを知った後、当初は同情の余地無しと思われたヴァレンチナの強欲ぶりにも共感こそしないものの、少しは理解できるようになる。
両親が戦争中、生きるために必死だったように、ヴァレンチナもまた生きるために必死だったのだ。
(だからと言って、彼女が「実はいい人」という事にはならないが)
ところで、最近、芸能界では「年の差カップル」が多いようだが、数年後、本書のようなドタバタ騒ぎになるケースがどれくらいあるだろうか。
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ウクライナ系移民作家の自伝的小説。背景は事実に基づきつつもウクライナの人たちの置かれた苛烈な状況までもが上手にユーモアに包まれているので読みやすいです。ストーリーは80を過ぎた老父がビザ発給が目当ての40以上も年下の子連れの金髪グラマーに誘惑され(というより勝手に恋に落ち)結婚してしまい年が離れていて育った環境も性格も考え方も違う2人姉妹が振り回される、というもの。実はそのドタバタを通してウクライナの激動の時代背景やそこで暮らさざるを得なかった一般市民の現実などが語られます。80の爺さんも、娘たちもビザ目当ての嫁も、みんな自己中心的なのに率直で憎めないいいキャラクターで面白かったです。
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ビザ目当てでじいさんと結婚し、言いたい放題、やりたい放題の妻ヴァレンチナ。西側の生活にあこがれて生きることに必死の彼女はいやなやつだけど、どこか憎めない。でもブロークンイングリッシュって訳すのたいへんなんだろうな。
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ふざけた名前から来るイメージに対して内容は思い。
おじいちゃんと金髪美女のドタバタ結婚劇が、ウクライナとソ連の戦争の話とからめながら語られる。
読んで今のところわからないのは、トラクターの歴史がかたられる事。
この本の英題が「A Short History of Tractors in Ukrainian」とあらわすように、トラクターの歴史がこの本の重要な部分を占めているのだろう。
まだ吟味しきれずにいる。
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やっぱりウクライナ移民の気持ちは分からない。でもナージャの気持ちは少し分かる。年老いた親。つらくなる。
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全然笑えなかった。良くあるはなしに、意味のないトラクターの歴史を絡めただけ?日本人には向かないかと。
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あるモノの視点で語られる歴史に惹かれる。トラクターの発展から見る世界史はすごく面白いので、本編の話し以上にもっと読みたかった。
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齢80を超えた父親の再婚相手は30台半ば、連れ子あり、旦那あり?
金とビザ目当てで結婚した二人と、それに反対する姉妹が巻き起こすどたばた劇。
ウクライナの近代史や移民の生活、それぞれの性格を形作っている背景など、そこそこ興味深く面白いのだが、残念ながらキャラクタの誰にも好感が持てず…。
とくに前半は読んでいて辛いほどの嫌悪感を感じてしまった。家族間の諍いがユーモアとは思えないのが原因かと。
評判いいみたいだけど、自分には合わなかった。
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著者はウクライナ移民2世の英国人女性。80代の父親(移民一世、元トラクター技術者)が、50才年下の巨乳ブロンドのウクライナ人と結婚そして離婚に至る顛末記。嫁さんの元だんな、愛人、元恋人などの登場人物が入り乱れる。思わず苦笑するシーン多い。
一方で、戦後生まれの著者より10才年上の姉を通じて、第二次大戦中の家族の逃避行の話を聞いたり、父のモノローグの形で当時のロシア・ドイツ・イギリスの政情が語られる。冗長なために読破に時間がかかるが、20世紀前半のロシア、ウクライナ、ドイツ、ポーランドなどの状況がわかるのは興味深かった。
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第二次世界大戦後まもなく、ウクライナからイギリスに移り住んだ84歳の父から、ある日、49歳の娘に1本の電話が入る。
それが全ての始まりだった。
「結婚するぞ!」
母が亡くなってから、2年しか経ってないので、怪訝な顔をしながらも相手の事を聞いてみると、
「ウクライナから来た36歳のバツイチ、子(14歳)連れの巨乳美人」
だという。
自分の娘より若い嫁。その名はヴァレンチナ。
年齢差、ダブルスコア以上。
地元のウクライナ人友愛クラブで出会い、互いに一目惚れ。ヴァレンチナのヴィザが切れる3週間前に結婚を決意したという。
話を聞けば聞くほど、財産とヴィザ目当てとしか思えないが、当の本人だけは、すっかり舞い上がって、聞く耳を持たない。
世間に自慢できるような立派な父ではないが、食い物にされるのを放っておくわけにはいかない。
かくして、母の遺産相続でいがみ合っていた59歳の姉と一時休戦し、共通の敵を追い払うべく立ち上がる・・・
「作戦」を立てるためには父から情報を仕入れなくてはならないが、娘から(後には嫁からも)やいのやいの言われる父は「エンジニアであり詩人」(と自認している)のプライドを守るため「ウクライナ語版トラクター小史」という本の執筆にすぐ逃げ込んでしまう。
娘や嫁の前でさらしてしまう姿と本の内容は、あまりにも落差があり、話の中で一部が語られる「ウクライナ語版トラクター小史」は浮いている印象を受ける。
ちなみに巻末のあとがきに書かれているが、本書の原題を直訳すると「ウクライナ語版トラクター小史」。
このタイトルのために当初、アマゾンで「農業」の分野に分類されたとか・・・。
姉と妹の「作戦会議」の最初の方は、登場人物の誰かの悪口で終わる事が多く、何だか井戸端会議を聞いているよう。
あまり好きな類の話ではないので、これが続くとツライと思ったが、それは杞憂だった。
基本的にドタバタ喜劇なのだが、両親の過去の話として、ウクライナの歴史の暗い部分が語られる。
平凡な日常をおくっていたとばかり思っていた両親の若い頃(戦争中)の苦難の歴史。
生き延びるために決して正々堂々な手段とは言えない方法もとらざるを得なかった事。
それらを知った後、当初は同情の余地無しと思われたヴァレンチナの強欲ぶりにも共感こそしないものの、少しは理解できるようになる。
両親が戦争中、生きるために必死だったように、ヴァレンチナもまた生きるために必死だったのだ。
(だからと言って、彼女が「実はいい人」という事にはならないが)
ところで、最近、芸能界では「年の差カップル」が多いようだが、数年後、本書のようなドタバタ騒ぎになるケースがどれくらいあるだろうか。
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目を引くタイトルだが、中身はもちろん笑いありだが、政治、歴史が色濃い。
ウクライナの過去と現在。20世紀初頭のロシア革命からスターリン時代、第二次世界大戦、ソ連解体、道のりでウクライナが蒙った悲惨、人為的大飢饉、粛清、ナチス占領下の強制労働、チェルノブイリ原発事故と。
八十代のお爺ちゃんと三十代の金髪巨乳女が織りなす痛快劇。
ショウペンハウワー、ニーチェの哲学あり、ソ連、帝政ロシア、白軍、赤軍、資本主義、共産主義、トロツキスト、政治色あり。
テクノロジーの先にあるのは...
市場原理主義がグローバルスタンダードであるが。
さらっととっつき易い、内容だが、その実、政治色がかなり強い。
中々面白い一冊でした。
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[ 内容 ]
母が亡くなって2年後、元エンジニアで変わり者の父が、ウクライナからやって来た豊満なバツイチ美女と結婚すると言い出した!
父84歳、美女36歳。
母親の遺産問題で仲の悪くなっていた2人の娘は一時休戦、財産とヴィザ目当てに違いないその女性から父を守るべくタッグを組み、追い出し作戦を開始するのだが…。
ヨーロッパで話題騒然のイギリス発世界的ベストセラー、日本初上陸。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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図書館で。そういえば大分前に友人が読んでいたな。前に読んだ小説の訳者さんが同じなので借りてみました。
うっわ、ありそう、といういわゆるグリーンカード狙いの偽装結婚のドタバタとウクライナから逃げ出してきた思い出したくもない過去の悲しい記憶とがうまい具合にブレンドされてるなあと思います。特にウクライナは今も内戦が激しくなっていて心が痛みます。何で殺しあわなくてはいけないんでしょうね。
このお話はお父さんが好きな人が読む本だろうなあなんて思いました。私なんかにしてみると放っておけばいいじゃない?なんて思うんですけどね。そうはいかないのか。日本と違って一人暮らしのお父さんを引き取るとかそういう考えではなく近くの老人施設に呼ぶとかそういう解決法が向こうらしいな、と思いました。
まあでも命からがら共産主義から逃げてきたらイギリスで生まれた娘は社会主義運動に参加した、とかこれ以上の皮肉は無いですなあ。
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ウクライナとトラクターとおっぱい
この小説は何だったんたんだろう。読後感は??大戦中のヨーロッパの様子とトラクターの歴史的・社会的な位置づけとおとこがおっぱいが好きなこと。
口汚い罵りあいの場面が多く口げんかの語彙が増えそうなくらいです。イギリス人おそるべし。
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ヨーロッパの流れはよくわからなくて。
ウクライナとかイギリスの関係も
よくわからないんだけど。
わかるのは、じじぃになっても
女性を好きになるってこと。
好きになるというより
エロぼけに陥ってしまうってこと。
怖ぇー
ボクの亡くなった祖父の行動を顧みると
そんな風になる可能性も大きい…
ボクも女の人は大好きだー!
おぉー、恐るべきはDNA!
もうひとつわかるのは
家族がばらばらになって
お金や体裁に縛られても
なんやかんや姉妹で協力していく姿に
少しほっとできた。
まぁ、兄弟ももしかしたら
仲良しに戻れる可能性もあるって事、かな。