ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち

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■ 感想
- リーマンズショック。あの背景には何があったのか。ウォールストリートのトップに君臨した、クオンツたちが引き起こしたその経緯とは。
- クオンツたちの人柄、考え方、目的、そしてそれがからみ合って起こった、あのリーマンズショック。その一連をつながりとして知ることができる良書だと思う
■ よかった点
- ニュースのキーワードとしての「リーマンズショック」ではなく、それがどのようにして、だれの手によって、どうして起こってしまったのか知ることができた
■ 悪かった点
-なにより金融の基礎知識くらいはあったほうがいい。自分にはそれがなかったため大変読むのに苦労した。金融商品の取引について書かれた箇所などほぼ理解できなかった(Webで調べはしたものの、頭に定着せず、また単語以上のことがりかいできないため、どのような判断・シチュエーションなのかがわからなかった)
■ この本に適している人
- リーマンズショック、その背景を知りたい人
- ウォールストリートのクオンツという集団はどの様な人間であったかに興味がある人

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読み物としても面白く、ドキュメントとしても大変価値が高いと思いました。　専門知識が無いと読みづらい部分はある物の、ぜんたいを通しては読んで良かったという感想です。

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クオンツとはなんだろう？

それは確率でギャンブルする男たちのことである。

この本は、クオンツと呼ばれる、名だたる大学で博士号をとった連中が、ウォールストリートで確率論的にいかに勝つかに腐心したことを描いたものである。

基本的には物語の中で有名なクオンツの人となりや仕事ぶりを描きながら、金融工学的な視点も交えていくという構成。

筆者の筆も優れており、ページを繰る手が止まらなかった。

一番印象に残ったのは、サブプライムローンやＣＤＯの相関係数が間違っていたというお話。

読み終わった後、ＬＴＣＭから１３年経つが基本的には何も変わってなかったのだなと思ってしまった。
やはり人間は変わらないのだ。

歴史は繰り返さないが、韻を踏む。

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『世紀の空売り』の流れで読みました。経済関連の本はほとんど読んでなくて、あんまり興味もないのだけれど、どちらも特異な人々のストーリーとして面白く読めました。

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「稼ぐ人」っていうのはあるべき姿を追求するのではなく、あり得べからざる姿に落ちていく過程で荒稼ぎするのだ、ということがよく分かる。金融だけではなく、残念ながら衣料や外食までそうなってきた。

ブラックジャックの必勝法から書き起こした構成が、クオンツたちの経歴と市場予測の原理と重なってすっと入ってくる。大数の法則にいたるまでの歪みを過去のデータから計算して荒稼ぎしていたのに、ランダムという前提が成り立たなくなるのが現実社会・・・ある意味当然か。分かってないはずは無いけど、稼げるとわかれば危なくてもそれを無視するのが人間というものか。

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数学を駆使し、リーマンショックの前までこの世の春を謳歌した大金持ちたちの話。
自分の知らないファンドやなんやらがたくさん出てきて、こんな世界もあったのかと感心。
頭が良ければ自分もクオンツになりたかったねぇ。

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そもそもクオンツという言葉を初めて聞いた。

数学を再び遊んでみたいと思った。

リーマンショック関係の本を読んでいる人は、違う側面をこの本で知ることができる。

単純に面白い。

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クオンツ（Quants）とは、Quantitative（数量的）から派生した言葉で、複雑な数理モデルを使って市場で儲けようとするファイナンスや金融工学のプロの総称です。
本書は、アメリカのクオンツたちが、それぞれ自身のヘッジファンドや投資銀行の自己売買の部署内で巨万の富を手にする姿を描いたノンフィクションで、クオンツたちの様々な生い立ちや人間模様も多く描かれています。
ただ、ヘッジファンドの運用は他のプレーヤーに模倣されないよう秘匿性があると言われており、本書においても、大まかな方法は示されていますが、数学的手法を駆使して具体的・詳細にどのように儲けているのかはあまり明らかにされていません。

ブログでの紹介記事
http://money-learn.seesaa.net/article/181945593.html

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前半は、クオンツというかヘッジファンドやそのトレーダーの紹介。後半は、金融危機の伝播経路にヘッジファンドがどのように関わっていたかについて書かれています。個人的には、後半に興味があったので、面白く読めました。
題名はクオンツですが、内容はヘッジファンドに関するものです。ハイ・レバレッジで、複数の市場に投資しているヘッジファンドが、どのように金融危機を増幅させたかが記されています。「世紀の空売り」と併せて読んで、金融危機の発端と伝播の過程がよく理解できました。

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金融のお勉強にはあまり役に立たないが、昨今の金融問題特にLehmanショックを引き起こしたといわれる首謀者の人格が良く書けている。

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クオンツってどんなものでどういう背景があって・・みたいな部分も知れてよかったが、実際はそれを取り巻くファンドやプライベートエクイティに関しての記述が意外と細かくてそっちの方がためにはなった気がする。笑　そして、読んでてストーリーとしても面白かった。結構満足。

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欲と二人づれになった頭のいい人たちの物語・・・ですかね。その中でエド・ソープの稀有な聡明さが印象的です。

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彼らを一言で言うと「平凡な人間には解読不能な微分学、量子物理学、応用幾何学を駆使して金融商品の値動きを分析し、莫大な利益を上げてきた。」人たちのことです。彼らが生み出したCDSがあの惨劇を生みました。

「クオンツ」と呼ばれる彼らは、MITなどの大学を出た天才たちで、数学や物理学を使った相場へのアプローチで数々のデリバティブ商品を開発して、金融市場を根本から覆したことで知られます。もともと彼らがウォール街にやってくるようになったのは東西の冷戦が終結して、核開発の研究所などが閉鎖されて行き場を失った人たちが職を求めてウォール街に来たというのがそのルーツと言われますが、最近では多額のカネを稼ぐために最初からウォール街を目指している、なんていうこともあるのだとか。

この本の中で頻繁に出てくる「ザ・トゥルース」という言葉が、彼らの共通の認識ともいうべきことで、これを見つけること、すなわち、ウォール街で巨万の富を摑むことなんだな、と言う認識はできましたが…。そして、彼らの考えのもとになったのは、これもあとで紹介しますけれど、
「ディーラーをやっつけろ！！」
と言うとある大学教授が書いたギャンブルの勝ち方に関するものを市場に応用しようとしたみたいですね。

金融市場が落ち着きを取り戻しつつある中、非難のやにわに立たされていた彼らがどう息を吹き返してくるのか、それをいま、ずっと見守っています。

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80年代後半からリーマンショックにかけての、クオンツトレーダーに率いられた幾つかのヘッジファンドやプロップデスクの内情を詳しく綴った本。

主要な登場人物は、シタデルのケン・グリフィン、AQRのクリフ・アスネス、Sabaのボアズ・ワインシュタイン、PDTのピーター・ミュラー。時間軸に沿って、これら4人の状況を交互に見せる語り口は、スピード感があって中々秀逸。
その他、クオンツトレーダーの元祖（と本書ではされている）ソープや、ルネサンスのシモンズを初め、ブラックスワンでお馴染みのタレブ、フラクタルで有名なマンデルブロー、と言った数理系の人間のみならず、バフェットやらミルケンやらソロスやらも出てくる。

クオンツトレーダーの生態（その生い立ち、人間性、人間関係、如何なる時に如何なるトレードをして、結果どうだったか）が生々しく描かれており、それを知りたい人間にとっては、非常に興味深く、私の知る限り最も有益な書籍。ただし、1点だけ残念なのは、全般的に、テクニカルな部分の説明が非常にテキトー。この部分は、全く期待しないほうが良い。

本の中身そのものに近い話は、アマゾンに良いレビューがたくさん乗ってるので、そちらを見て頂くとして、以下、私にとって個人的に非常に興味深かった点を抜き出して考察：


・クオンツトレーダーはやたらギャンブル好き

仕事柄ギャンブル好きというより、ギャンブル好きが高じてこの職種についたと言っても過言ではない。
恐らく、金を賭けて戦い、対手を打ち負かすこと自体をゲームとして楽しむタイプの人間じゃないと、耐えられないプロフェッションだからではないかと推察。
実際、その大のギャンブル好き達でさえも、人格が目に見えて変わっていくほど、日常的に多大なストレスを感じ、市場が自分達の予想とは逆の方向に振れた際には凄まじく狼狽する様子が、本書に綴られている。これで、トレーディングそのものに娯楽性を見出していなかったら、恐らく耐えられないだろう。
大好きな数学をやれてお金も稼げるから、という動機で数理ファイナンスに触れている人間は、資金の運用はせずにバックオフィスでシステムを作るか、アカデミックな領域で数理モデルをこねくり回すかした方が良い。運用するにしても、趣味の範囲に留める。
まず、何よりギャンブルが好き。次に、数学が得意。次に、プログラミングが得意。これが、優れたクオンツトレーダーに求められる資質。どれか一つでも欠けていたらダメで、かつ順序が違ってもダメ。


・クオンツ型とファンダメンタル型

投資手法を勝手にクオンツ型とファンダメンタル型に分類。かなり荒っぽい分類で、解釈次第でいくらでも抜け漏れが出るが、まぁ本質的な部分は伝わるかと。

【クオンツ型】

本書の主要登場人物が属するグループ

クオンツ型は、市場に関して特定の仮定を置いて、そこから数理的に結果を導き、過去データに突き合わせて検証を行い、それに沿って投資戦略を立て、コンピュータに実行させる。特定業種の構造やら社会情勢やらの分析は一切やらない。
この���略タイプの特徴は、「平時に強いが、利益の半減期は2～3年と短く、7～8年に一度の有事の際に非常に弱い」と言う点。
以下説明：

①基本的な発想が「いかに、過去データ上、オッズが良いように見える賭けをするか」であるため、アービトラージを狙うものとなる。結果、他者が模倣し始めると、利幅が薄くなり、レバレッジを巨大化せざるをえず、ちょっとしたことで原資がすぐ吹っ飛ぶ資本構成になる。
②仮定が間違っていて、過去データと戦略が一時的に適合していたに過ぎない場合、最適だったはずの戦略は一気に損失を吐き出し始める。そして、過去の度重なる金融危機を見ればわかるように、現行の数理ファイナンス理論は、数理的厳密性のために現実を多分に簡略化しており（○○は正規分布に従う、といった類のアレ）、仮定は現実を正確に捉えているとは言い難いという意味で、大なり小なり須らく間違っている。
③上記の結果、市場が「200億年に一度の値動き(笑)」を示した時（暴落の度に、「我々のモデルでは・・・」と一緒に良く言われる台詞。モデル上は200億年に一度でも、実際には7～8年に一度の頻度で起こっている）、それを全く予測できず、高レバレッジがかかっている分非常に脆弱で、数年がかりでコツコツ溜めた取引あたり数ベーシスポイントの利益が一瞬で吹き飛ばされる。

【ファンダメンタル型】

ジョン・ポールソンに代表される、サブプライム危機～リーマンショックという局面で凄まじく儲けた人々が多く属するグループ（Michael Lewisの"The BIG SHORT"やザッカーマンの「市場最大のボロ儲け」あたりに出てくる人たち）。

クオンツ型と違い、高度な数学は不要。（多重）回帰分析の概要くらいが分かっていれば十分。むしろ大局的視点に立ち、誰にでも分かるデータやグラフを頼りに、業界構造や社会構造の歪みを分析して、それが適正な在り方に戻り、市場もそれを反映することを期待して、金を突っ込む。
このタイプの特徴は、クオンツ型とは逆に「平時に弱いが、2～3年に一度のペースで起こる限定的な有事に強く、また金融業界全体を貶める7～8年に一度の有事にも（原理的には）強い」という点。以下説明。

①バイサイド目線では、市場は基本的にはかなり効率的なので（セルサイドは、いつの時代も「チャイニーズウォール？何それ、おいしいの？」状態なので、彼ら目線では歪みがそこかしこにあったりする）、平時においては市場平均リターンを継続的に超えるのは非常に難しい。
②ただし、2～3年に一度のペースで発生する限定的有事（リスクアーブなら大型企業合併、債券ならどっかの企業の業績悪化や国家の信用不安）の際には、ファンダメンタル型の分析を軸に状況を正しく認識しポジションを取っている場合、結構な金を生み出す。これがメインの収入源。
③7～8年に一度、クオンツ曰く「200億年に一度の(ry (泣)」が起こった際には、原理的には、きちんと大局的視座に立ってファンダメンタル見つめていれば、これに気づき、莫大な収益を上げられる。但し問題は、ファンダメンタル派も得てして自分の専門領域しか見ていないので、メルトダウンの震源地が専門外の領域である場合、クオンツ型と同様に虚を突かれて、皆と一緒に仲良く沈んでいく��だから、原理的には、とカッコが付く）。

【どちらかに特化しないとダメ】

以上のように、クオンツ型とファンダメンタル型は逆の性質を持ち、一長一短。
「じゃあ組み合わせれば無敵じゃね？」と誰もが一瞬思うわけだが、それは難しい。
「平時に強く、有事にも強い」運用とはつまり、平時はクオンツ型で運用して、その傍らファンダメンタル分析を進め、有事が起こるタイミングを正確無比に見極め、いざ有事となったら誰よりも早くクオンツ型を停止してファンダメンタルに移ることを意味するわけだが、有事がいつ来るかなんて誰にも分からない。ファンダメンタル特化型の人間でさえ、疑心暗鬼に耐えながら、いつやってくるか皆目見当がつかない有事の発生のみを希望にして、毎日、分析を繰り返しながら気を紛らわすのだから。
だから、どっちかを選ぶしかない。

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世界を巻き込む金融危機を生んだサブプライム・ローンの崩壊。
それは高度に発達した金融工学の生み出した「リスクのない」金融商品がもたらしたものでした。

この本は、その金融工学を発展させたクオンツと呼ばれる技術者たちの発祥から、発展過程、金融工学を活用して大きな成功をつかんだ後に、盛大に崩壊する様子までが描かれています。

発展過程の華々しさも凄いんですが、やはり読みどころはその崩壊過程で、ギリシャ悲劇もかくや。
同じ頃、マーケットで切った張ったしていた者としては、何故一夜にしてインターバンク市場からドルが干上がったり、リスクのある場所が分からない、なんてことが起こったのか、意味不明だったのが良く説明されています。


つまる処、幾ら数学を駆使しても結局、投機は恐怖と欲望のゲームだった。
物理学は人間を月に送り込みましたが、投資、投機の対象は、物ではなくパニックに陥った人間の集団心理だった、ということですね。
天才数学者のファンドマネージャーが、窮地においては一般投資家と同じような心理状態になる辺りは、投機をする人間ならニヤリとするのでは。

さらにいえるのは、こういう教則本でない本を読めることが、本当に自分が投機好きかどうかという試金石にもなるでしょう。
ｐｓ
スーパークオンツとしてエマニエル・ダーマンの名前が出てきますが、この方の著書は読んでいました。
記事にもしているんですが、特に
物理学者、ウォール街を往く2で書いた通りのことがまさに起こったわけです・・・
でも通常状態でも歪みは姿を見せているのに、何故、無茶な金融商品の販売や取引が行われたのか、というと、全ては欲望のためなんでしょうね。
賢い連中でも目先の利益には抵抗できない。
そいう組織的圧力が存在する。
だからこそ人間の社会が安定的に、健全に発展するには、利益すら超えたもっと大きな尺度を持つ哲学が必要なんだと思います。


ｐｓ
予測対象の発散状態を正規分布曲線前提としたからダメだったんであって、ファットテールを許容するベキ分布を前提に、そのためのウィーナー過程やら伊藤のレンマに順ずるものって生まれないんでしょうか？