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家出少女たちの、厳しすぎる人生。
なぜ家を「棄てた」のかという背景を知ると、やるせなさを覚えます。
援交。クスリ。借金。リスカ。
寂しさ。不安。
「誰か、助けてって言えないあたしを助けてよ…」という言葉が胸に突き刺さりました。
支援者として何を見落としてきたのか。
そして、自分たちにできるのは何か。
そんなことを考えるきっかけを得られる一冊です。
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こういう本の類は書店に行けば山ほどある。その中でこの本をなぜ手に取ったのかというと、著者は八年近くも取材をしたということをまえがきで目にしたからだ。なんとなくこの著者は紳士に少女たちに向き合っている気がした。
そしてそれはすぐに当たりだったと気付いた。
社会の闇が家庭へ流れ、それが生まれたばかりの少女に
注ぎ込まれる現実。しかしその闇を一身に飲み込み貯め込んで、
強く生きる少女たち。
福祉後進国日本の問題を浮き彫りにしながら、少女たちの闇を世に曝した名著。
同情されたくないと言う彼女たち。虐待・性的虐待・貧困・イジメ・薬物…全てを背負い込む彼女たち。
どうしてこんなにも健気に生きているのに、こんなにも虐げられなければならないのか?
福祉予算は少ない。その中でも高齢者や障害者に関する福祉よりも児童福祉に注がれる予算は非常に少ない。なぜか?
彼女たちの「助けて」は、助けてと声に出せない「助けて」なのだ。自分に何ができるのか。本当に真剣に考えた。
この闇の根っこは深くしぶとく世に這いまわっている。彼女たちを応援し、自分にできることを模索することしかできない自分をみじめに思う。
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ノンフィクションとして秀逸。
彼女たちを取り巻く現状を「何とかしたい」という気持ちを感じることができると同時に、
その感情に流されることなく淡々と事実を記述する力量に感服。
彼女たちが経験していることを、うまく社会に還元する仕組み作りの必要性を痛感した。
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子どもたちの凄まじい生育歴と痛みの日々。ここまで取材し、書き上げてくれたと思う(構成もうまいし文章も素直で読みやすい)。彼女たちが氷山の一角に過ぎないということを肝に銘じて、「本気家出」の変わりになる居場所を提供できるのか。大きな課題を突きつけられた。
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多くの人が認知していない社会問題がこの本には描かれている。本書の中で語られる母子家庭の問題は日本に於ける女性たちの生き難さを如実に描き出している。それは父子家庭という言葉が一度たりとも登場しない程である。男女平等が叫ばれ、随分とそれは改善されきたかに見えるが、そもそもの男女の違いを区別した上での社会のシステム作りが急務なのだと感じた。やはり日本はまだまだ男社会だ。社会を作る利権の中核は男たちだけで作られているに違いない。
本書の本来のテーマから見えてくる社会が抱える闇は恐ろしく大きい。多くの人がそれを知り、感じ、考えてもらえることを切望します。是非読んで頂きたい。
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家出した10代の女の子達を取材したドキュメント。
みんな好きでその境遇に生まれたわけじゃないのに、必死で生きている。
いや、生きるために必死になっている。
社会の色んなボーダーに翻弄されて、越えたくない境界にも立たされている子もいる。社会って難しいなぁ
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家に帰らず売春で生計を立てる、よるべない少女たちの壮絶な性と生の記録。援デリやアンダー(未成年)風俗で働く家出少女が主な取材対象だ。扇情的なテーマと内容だが、それに終わらず、児童福祉制度の改善や母子家庭への就業支援等の公的扶助の充実、児童養護施設の問題点、そこで働く職員の窮状を、後書きできちんと訴えている。そのことにとりあえずほっとした。十代の性を扱う記事や書籍は、ただそれをセンセーショナルに書き立て、読者の感情や欲望を煽って終わり、というものも少なくない。それを考えれば、この本はかなり良心的だ。少女だけでなく、彼女たちを搾取する泊め男や援デリの経営者にも話しを聞き、双方の視点をつまびらかにしている。その点も評価したい。なにより、まっとうな結論が示されていてひとまずはよかった。
しかし、著者が「少女の誘惑に負けて一度だけ関係を持ってしまった」泊め男を「善意の人間であると判断した」くだりは、ほんとうに馬鹿げているとおもう。この本に登場する家出少女たちは、現代日本を彷徨うストリートチルドレンだ。親による苛烈な暴力やすさまじい貧困から逃げてきて、先の見えない日常を送りながら、都市に潜伏している。連れ戻されることをなにより恐れる彼女たちは、監禁風俗に囚われても、泊め男の家で輪姦されても、警察に被害を訴えることもできない。家出少女はたびたび強姦の被害に遭う。ときには監禁されて長期に渡り搾取される。被害を訴えるどころか誰かに保護を求める術さえ持たない子どもを、性犯罪者がほおっておくはずがない。親にも社会にも棄てられた少女が直面するのは、身震いするほど残酷な現実だ。
それは強姦を受け入れて生きていくしかないということ。自力ではアパートも借りられず、携帯電話を持つこともできない、そんな未成年の少女が寝る場所や食べものを確保するには、男の下心に頼る他なく、そこで縋るのが泊め男(家出少女を自宅に宿泊させる男。多くはその見返りにセックスを求める)なわけだが、大人と未成年が性的な接触をすればその時点で強姦だし、他に選択肢がない相手とのそんな取引はそもそも侵害である。少女たちはよりマシな強姦を受けるために、日々奔走しているに過ぎない。好奇心から家出少女を呼び寄せ、慈善家気取りで彼女らの境遇を嘆いてみせる、そんな泊め男が善意のひとであるはずがない。少女はただ寝る場所が欲しくて、身を投げ出しただけだ。それをじゅうぶん理解していたくせに、それでも誘惑に負けた男。
そのどこに善を見いだせばいいのか、わたしには皆目わからない。誘惑に負けたのがくやしいだの、身体を提供することでしか感謝を示せない少女にがっかりだの、14歳の子どもを相手にして、32歳の大人が、いったいなにをいっているのだとおもう。こんな戯言を聞かされてそれを善意と受け止めるなんてちょっと正気じゃない。
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ここに記されているのは親に虐待され、帰る所がなく、売春組織で過酷な生活を強いられる家出少女たちの衝撃的な生き様です。読んでいてあまりのショックにしばらくの間、何も考えることができなくなっていました。
僕が東京にいたころ、新宿の歌舞伎町や、渋谷のスクランブル交差点、池袋のIWGPなどで、おそらく彼女たちとすれちがっているのかもしれない。読んでいてそんなことを思ってしまいました。
その後、僕は物は試しに彼女たちが出ている掲示板を覗いたことがありますがまぁ、出るわ出るわ。『神』待ちの内容が。(ここでいる『神』とは家出少女たちをセックスなどと引き換えに泊める男たちのことです)彼女たちある意味ではたくましいとも言えますし、なんともいえませんね。
でも読んでいて一番僕の心を引いたのは、街娼、いわゆる『立ちんぼ』の娘で、頭のおかしくなった母親代わりに自分が援助交際をして3人の弟たちの面倒を見ている、という女の子の話でした。彼女は学校で『ババ(関西弁で「ウンコ」)子』といじめられていましたが、僕は一瞬、読んでいて彼女のことが『聖母』じゃないかとさえ思ってしまうほどでした。
でも、こういう少女たちを利用する『悪い大人』もいるわけで。重い読後感を残しました。
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驚いたのは、東京に来てからの地元といってもいい町田・相模原という地名が援交現場としてバンバン出てくること。いわゆる都心のベッドタウンである、ということは、こういう闇を抱えるということでもあるのだな、と思った。そういえば、転勤で上京することが決まったとき、知り合いが「町田は結構便利だよ」と聞いたなあ。あのころ忠生中学(だっけ?)の事件があったと思うけど。
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○ルポライターの鈴木大介氏の著作。
○家出少女、援助交際を繰り返す少女へのインタビューを元に、”なぜそのようなことをしているのか”という疑問への回答を通じて、その実態に迫る作品。
○鈴木氏の他の著作を読んでから本書を読んだが、一言で”すさまじい”という印象を持ち、衝撃を受けた。
○決めつけることは適切ではないが、「虐待」「貧困」というのが、大きな決め手になっていることが多いということが分かった。
○売春がこれほど身近で簡単に行われているということも衝撃的だったが、それと同様、親による虐待や貧困も、身近にあるということが、意外でもあり、自分の視野の狭さを感じた。
○「援助交際=悪」なのではなく、その原因を取り除くことが出来ず、手をさしのべられない社会こそが悪であり、改善が必要なのだろう。人ごととは思えない。
○著者の取材力が素晴らしい。
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『世界で一番幸せだった』の章に胸を打たれた。
母に虐待を受ける多重人格少女の取材の後、公園に母親が押しかける。
ライターの鈴木さんと、娘と、母と、3人での会話。
母親は幼くして、父親を自殺で失い、母に虐待を受けて育った。
だから、母親は父性というものを知らない。
それなのに、母親は「娘が父性が足りず、自立できない子になってしまったら困るから。」そう言って、娘に虐待をし続けてきたそうだ。
どうして、母親は自分自身が虐待を受けていながら気づかなかったんだろう。咀嚼できず、幼き日の記憶を封印したという言葉のとおりなのかもしれない。
家出や援交をしている少女のほとんどが虐待の経験がある。
だけど、その親自身が虐待経験者。負の連鎖。
娘の彼氏、娘、母親、ライターの鈴木さんの4人で居酒屋にその後何故かいったエピソードはすごくすごく温かかった。物語じゃないから、幸せは続かず、その後、娘は彼氏と別れた・・というのが辛い。
だけど、そうやって彼女たちはまた生きていくんだと思う。一生を共にする人を見つけるために、生きていくんだと思う。
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「最貧困女子」に比べると、少女達がどのような経緯でその環境に身を置かざるを得ないのかという考察は少ない。
しかし、その取材内容は普通ではけして知ることのできない凄まじいものである。
虐待や貧困からの、家出、援助交際など負のスパイラルが続く。彼女達も「普通」の環境で生きていく適応能力、精神面の安定などを持つことができずにもがいていたりする。
特に虐待は実の親がするだけに、本人に負わす傷の大きさはとても深く根が深い。やりきれない気持ちになることも多々あるが、これも現実なのだ。
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家出をする少女と援交の関係がよくわかった。
親は子供をいじめたり叱ったりストレス解消のためにしてはいけないと強く思った。
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日本の貧困問題について思索していたところ、この本に出会った。最初は興味本位だったが、家で少女たちの人生の凄まじさと何とかサバイブしていく力強さと互助に、強い興味を抱いた。結論としては高齢者に予算が行きがちな日本だが、未来を担う児童福祉にこそもっと予算を投じ、虐げられている少女少年たちのセーフティネットを厚くすべきだ、ということなのであるが、そういう難しい制度論はすべてあとがきに廻し、凄まじかったりたくましさに感動する具体的なエピソードにFocusしている構成がよかったと思った。
先進国なのに凄まじい貧困と差別があること、一方で、これが世界だとどれぐらいもっとすごいことになっているのかと思うと、いろいろ考えずにはいられない。
社会の一側面を目をそらさず、こういう現状があることをしっかりと認識して、何かしていきたいと思う一冊であった。
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家庭で十分な愛を受けなかった場合に、女子の方がより悲惨な事になるイメージ。
家出少女が家出をするのは
◇居続けるに耐えない家庭が増えた245
から。また、
◇家庭(多くは母子家庭)の貧困245
だという。
あとがきにおいて著者は、母子家庭の救済、並びに、児童養護施設及び、よりハードな問題を抱えた児童が入所する児童自立支援施設の充実を訴える。施設については、忍耐や専門的な知見を必要とするにもかかわらず、腰掛けの先生が多いのが実態だそう。
特に印象的だったのは、売春で稼いだ金で家族をしっかり養っていた第四章「大阪のババ子」。
◇「あんな、ウチ、小学校のときのあだ名って『ババ子』やねん。ババゆうて、大阪や、うんちのことやん。でもホンマ、ウチ、ウンチ羨ましいて思った。ウンチ流したらおしまいやん。うち、ノグソやねん。野ざらしやん。」71
◇援交でもなんでもええから、金ぎょうさん貯めて、通信で大検とる。大阪でババ子ゆうて、本に書かれたら地元のアホら、見てわかるやろ。あんたら、誰がババかよう考えぇや。心がババ付きなんは誰や82
そして、泊め男坂ちゃんの背徳感が凄い。
◇「やっぱり三十代でインポでもなくて、十代の子が目の前で下着脱いで股開いてるのを見て、我慢するのはキッツイですよ。つらかった。後悔は、その誘惑に一回負けてしまったこと。90-91
あと豆知識として、MDMAをスニる(鼻腔吸引)する時は、ペプシで鼻うがいをするものらしい。175