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商品説明
ジビエと狸汁、パンとフランス人、王室と鴨…。パリのユネスコ大使、コペンハーゲンのデンマーク大使を経て、現在、文化庁長官である著者が、文化と食をテーマに外交を綴る。『かまくら春秋』連載を修正して書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
エスプリの利いた文体
2012/01/31 12:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
2006年からのユネスコ大使、それにつづくデンマーク大使を経て長い外交官生活を終え、2010年から文化庁長官となっている著者。本書は2006年からの約4年間、月刊誌に食と外交をテーマに寄稿したエッセイ45本をまとめたもの。
エスプリの利いた粋な文体で、一般市民にはなじみのない外交舞台の裏話をまじえつつ綴られる現地の食材や食文化。読み物としてはたいへんおもしろい。ただ、食材や食文化にのみ強い関心のある人には、とてつもなく珍しい話が出てくるわけではないが、全体の雰囲気としては満足のいくものと思う。
フランスで鯛の塩焼きをメニューに見つけ、うっかり「丸のまま」と指定するのを忘れたため皮もエンガワも内臓もないものが出てきてしまった話(P.88)は、思わず笑ってしまったが、話はそこで終わらない。
裏側まで皮をとっていないはずだと背骨を外し、喜んで皮を口に入れてみた著者だが、フランスの料理人は、客が食べると思っていない皮から、鱗をとってくれているはずがなかった——。ここまででもじゅうぶんに楽しいが、いきなり話は岡山の民話に飛ぶ。それもまた楽しい。
人生は、たいていのことは努力と学習で補えると思うが、ほんとうに教養のある人、上流の世界が身についている人というのは、存在する。嫌味な意味ではなく、著者の文体からはそういった香りを感じとることができて、読んでいるとおしゃれな気分になれた。