ａｉｒ だれも知らない５日間 （講談社青い鳥文庫）

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“ぼんやりと目を開けた私は、しばらくの間、自分がどこにいるのかわからなかった。
家具のない和室に紙袋とクッションが無造作に散らばっている。その向こうのベランダの手すりにハトが三羽止まって鳴いていた。
突然、意識の画像のピントがあって、私はブルーのタオルケットをはねのけて起き上がった。
とたんに、ベランダの窓から差しこむオレンジ色の巨大な太陽に射すくめられ、私は目を細めた。
こんなに大きな朝日は初めて見た。
（ここ八階だったものね......。）
地上より太陽に近いと、こんなに大きく見えるのだろうか。
太陽と正面から向きあったのも初めてのような気がした。
夜が明けたばかりだというのに、もう太陽は、はちきれんばかりにふくらみ、熱を放射している。
灰色にくすんだ朝の街並み。
ぼんやりと見つめていた私は、突然、家以外のところで一夜をすごしたのだという実感がこみあげてきて、あわてて視線をリビングに向けた。”

toi8さんの描くイラストがしっくりきてる。
五日間の家出の話。

“夜景と向きあって、丸テーブルでコンビニ弁当を食べた。一人で食事をするのは慣れている。父も母もいない夜はしょっちゅうだったから。
お弁当のハンバーグもごはんも冷えて固くなっていたが、私は一口一口味わいながらゆっくりと食べた。
食事がすむと、部屋の片づけをした。家具もなにもないからすぐ終わる。それでも汗がにじんできたのでシャワーを浴びた。
まだ夜の八時半をまわったばかり。一人きりの時間はどんよりとすぎていく。
私はアイポッドを取り出すとオペラのアリア集を選び出した。
たまらなく人の声が聞きたかった。それも女の人のきれいな歌声が——。
イヤフォンを耳にあてる。
澄んだソプラノの歌声が流れてきて、とたんに鼻の奥がツンとしてくる。
（ほんとうにどうかしてる......。私......。）
まるでひびわれていた心に水がしみるように、あらゆることに反応して涙がにじんできてしまうのだ。
そのときだった。
私の左のイヤフォンがそっとはずされた。驚いてハッと顔を上げると——衆介だった。
はずした私のイヤフォンを握りしめたまま、衆介が心配そうに私をのぞきこんでいた。
とたん、私の目の中で衆介の表情がにじんだ。”

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#エア
#名木田恵子
#青い鳥文庫
#YA
#読了
家出せざるを得ない少年少女をかくまうシェルターでの5日間の話。
私は主人公エアより、サーコとかチヒロみたいな危なっかしい周りの子たちの方に感情移入しました。いずれにせよ生きづらさって誰でも持ってるものなのかも。特に１０代は。

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今の時代を反映してよかったけれど、ちょっと都合よく作られていました。
ヒリヒリするような気持ちはよく書かれていました。
自分が中学生なら夢中で読んだと思います。
もともと中学生向きの作品なので、多くを望むことは贅沢かもしれない。

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学生の頃に図書室で借りて読みました。
内容はあまり覚えていなくて、真っ青な表紙と、主人公の名前がとても印象に残っていました。
大人になって思い出し、もう一度読んでみたくなって購入しました。
ページ数が少なくて、とても読みやすかったです。
主人公達のその後が、とても気になる作品でした。