紙の本
本の原点は「これ、おもしろいから読んでみて!」だ
2011/07/14 15:37
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「僕は新刊書店で本を買う。
古本屋で本を買う。
図書館で本を借りる。
一箱古本市で本を売る。
ブッククロッシングで本を旅立たせる。
ラジオで本の話をする。」
財津さんの日々は本に囲まれている。
しかも取次が8年、書店経営が8年、印刷営業が2年、出版社営業と出版営業代行が12年目…と、長年出版業界で働いている。
アメリカで誕生した世界的な読書普及活動、ブッククロッシング・ジャパンも立ち上げた。地元の広島ではブックフェスティバル「ブックスひろしま」の実行委員長も務めている。
本に対する情熱は人一倍熱いのだ。
そんな彼が、これまでの体験をふまえて、本と出版をとりまく世界について、大いに熱く語る一冊だ。
読みながら、ほとんど知らなかった本の流通やおぉぉ!と驚き、書店の現状を知って書店経営って大変なんだなと思う。
懸命に働いている書店員さんに頭が下がる。いつも通っている書店を思わず思い浮かべたりして…。
財津さんの言葉で、共感するところが多かった。
ちょっと書き抜きますね。
読んでこその「本」。
たくさんの人に読まれてこその「本」じゃないか。
本は家に眠らせておかずに、誰かが読んでこその本にしてあげたい。本の原点は「これ、おもしろいから読んでみて!」だ。
ブッククロッシング・ジャパン立ち上げのエピソードのところです。すばらしい本の存在、本から受ける感動そのものを、多くの人の共有したい。まさにこの思いが、いろんな活動に繋がっているのでは、と思いました。
書店が多様化して、ネット書店が増え、電子書籍が誕生して、本と出版をとりまく世界は様変わりしようとも、すばらしい本自体が持っている力は変わりがないはず。だからこそ、大事と思える一冊、一冊を誰かに手渡していきたいと…、私自身もその想いをあらたにしました。
ライターの北尾トロさん、書評家の岡崎武志さん、ライターの南陀楼綾繁さん、作家の見延典子さん、歌手の玉城ちはるさんとの興味深い対談もありましたよ。
最後に、財津さんから簡単に読書癖をつける三つのコツをご紹介しましょう!
1、おもしろくなければ、途中で本を閉じる。
2、飛ばし読み上等。
3、アウトプットしよう。
面白い本だけ読めばいいという財津さん。ほんとうにそう!と切実に思います。だって、本の世界は果てしなく、無限に広がっているのですから…。
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図書館で読んだ。書店で働く身として興味があったことに少し触れられた。
自分が如何に末端の末端の末端であるのかよく分かる。
直販の心意気に漠然と憧れていた理由を文章にしてもらえてはっきりすっきりした。
世の中には場繋ぎのためだけのどうでもいい書籍で溢れまくっており、書店がそれをお客様に届け切れていない状況は、取次ぎ問屋や流通システムなど多岐にわたる問題があるとはちゃんと理解できたと思う。そしてなかなか脱しきれない現状、理由もよく分かった。
本屋に勤める自分も売ってるのか、売らされてるのか分からなくなっていた。書店員の時給についても言及されていて、確かになと思う。こんな低時給でもやろうって書店員。仕事だって楽じゃない、重労働あるし覚えることも多い、パソコンの検索技術もないとだめだし。やっぱ本が好きだから働こうって思ってるんだと思う。そういう人らをレジにだけ押し込めときゃいいと思ってたら、なんだか詰まんない目にあう気がしてきた。
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書店経営、出版社、取次営業、印刷業、常に本に関わる職業を続けた著者。本に囲まれた生活の中で、考える本の将来、希望などなど。
本について考えれば考えるほど、沈みそうになる気持ち。それを奮い立たせようと本好きの著名人たちと語り、さらに本を好きになっていく。そんな繰り返しの生活が著者の幸せだ。
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近所の本屋さんに積んであったので手に取ったら、ちょっと気になっていた「ブッククロッシングの日本代表の方の本だという。新刊かとおもいきや6月刊行。こんな本出てたの知らなかったな~。
さてなかみはブッククロッシングのことというより、出版業界全体の話や、対談で占められている。業界の問題点が書店、取次、出版社、作家など様々な視点から手際よく指摘されていて良い。
北尾・岡崎・南陀楼氏との対談は、対談の冒頭に抜書きされた文が、ずばりの一言。
お手に取られた方、たぶん、うんうんとうなずきながら読めるだろう。
さて、じゃどうしたらいいの?
すごく無責任に、私的な意見を言っちゃうと、この業界に限った話じゃないけど、やっぱり大手出版社が得しっぱなしの制度をかたっぱしからやめるべきなのでは。本文で触れられている、「新刊委託に対する翌月の支払いをやめる」とか。利権とかこの際かまわず合理的な構造にあらためるべき。そして、折衷でいいから部分委託みたいな形のものを増やしていったり、流通も多様化させて、弾力的にやっていくしかないと思う。そういうことができる人材を充実させるのにまた年月もかかるし。
十把ひとからげではいけないんだよな~
でもそれどうやって変えるの。他人事じゃいけないのに。本読みとして、書店の末端に座を占める者として。具体的に何すればいいかはわからない。悶々とする。
活字離れとか読書率低下とかいうのも、大手の売上不振から言われているのであって、図書館ユーザとか友人同士の貸し借りとかカウントしてないでしょ?ってことなんだよね。
そもそもすべての人が本を買う必要はない。
本を読むことは高尚でもない。好きな人が読んでるだけ。それが役に立つことも社会の中ではあるっていう、それだけ。あんま神聖視しないほうが良い。
ああ、ブッククロッシングだった。結局、これについては実態がよくわからない。Webページも見たけど、大阪ではまだゾーンも少ないみたい。ナチュラルリリースは本当に拾われるのだろうか…。おいおいやってみたいと思っていますが。
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業界不況不況と言われ続けて食傷気味やったけど「過剰にビビリすぎ!」と開き直れた。
「紙か電子か」は二者択一ではない。むしろ相乗効果を狙うべき。ピンチはチャンス。ピンス。
電子書籍がニュースになってるおかげで、紙の本も注目されてるやん。この機に便乗しない手はない。
死んだような目で、雑誌付録の紐かけしてる場合ではない。
出版流通の制度疲労については勉強になった。素人の意見としては、「新刊委託の翌月払い辞める」って策はあるのに何故やらないのか不思議。国が出版社を援助すれば出来るんちゃうん?アカンの?
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「日本中を図書館に」という運動を行っているブッククロッシング・ジャパン代表の財津正人さんが書いた本。
日本の出版業界が抱える様々な問題を、本に関わる様々な人とのインタビューを交えて書かれている。
書店でアルバイトをしてたので、書店の問題点が分かりやすく書かれててとても面白かった。何で、本屋のバイトの時給がこんなに忙しいのに安いのかも分かった(笑)そうなんだぁ!の連続。
読者は間違いなくいる。しかし、本が溢れてて、求められている本がきちんと読者に届いていない。
みんなが、本ってやっぱりいいなって思ってくれる世の中にするために、様々な動きがある事が分かって良かった。 もっともっと、みんなが本を好きになるように。
私もその運動に関わりたい。
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ブッククロッシング・ジャパン代表。この人は「本を楽しむ人」。「どのように紙の本を守るか」、等の本全体の問題に対して具体的に攻め込む。本を救うにはどうすればいいか。この人の本を読んで勉強していきたい。
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本をめぐる話。
てっきり読書の話ばかりかと思ったが、書店事情や出版流通事情もあり、
業界人による電子書籍に対する意見も面白い。
再販制度と返品の仕組みもあって、
出版から書店の業界はどうにも腐ってるようだが。
もっとユーザーのためになるように、
出版は良いものを作るように、
書店は良いものが人に渡るように努力して欲しいな。
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図書館の新刊で手に取った本。本好きとまではいかないし、二度以上読まないかどうかわからないがなんとなく共感した部分があった。この本は飛ばし読みして最後の章(?)を少し読んだだけである。
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自分が勤めている店で気になり、手に取った一冊。
出版業界の色々な問題が分かりやすく書かれており、何度も読み直したい一冊となった。
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出版について書かれた本。実は著者が以前働いていた会社に今自分が働いていることに驚いた。著者が取次を経験し、書店経営に失敗し、現在出版社の営業代行を仕事としているのて、一つの視点ではなく、多角的に出版の現状を捉えている。その上、様々な人との対談もとても読み応えがあった。
現在の出版業界の状況を出版不況ではなく、出版業界不況であることを再認識し、出版社や取次は新たな施作をするべきだと感じた。
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2011年に発売された本ですが、現在の本や出版をめぐる状況、その全体像をざっと把握できる本だと思います。
本の世界を元気にするための試みをされている方へのインタビューと、著者自身が行われているブッククロッシングについての取り組み、「本の流通」をめぐる問題状況に関する議論は特に、現在、本や読書について考えていこうとする人は理解しておくべき内容だと思いました。ただ、電子書籍については、電子書籍元年と呼ばれた2010年から2年たってかなり状況が落ち着いてきたところこがあるので、いま読むと「黒船が来た!」という感じの混乱感にはあまり共感できないかもしれません。
いずれにしても、2011年という出版された当時における、本や読書をめぐる業界に見取り図としては良いかもしれません。本や読書に関する試みに関心のある方は読んでみると良いかもしれません。
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アマゾンがやっているのは、昔の街の小さな書店がやっていたこと。
万引きは書店を倒産に導いてしまう。
本屋ではマージンは売上の22-23%程度しかない。
万引きを売上の3%程度が損害金としている。
読書が趣味だと学生時代は真面目だとバカにされるなんて風潮はいつの時代だ。私はずっと読書ばっかしやってきた。
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商用的には結論から言うと大変厳しい。現状、大手の出版社、取次、書店等が流通自体を支配しているため、なかなか変わることができない。最近本の世界を変えるのではといわれている電子書籍は、冊子の本とは全く違うものであり、どちらかといえば、辞書類や自己啓発本には適していると思うが、それ以外は紙の媒体が読みやすく逆に価値が見直されるではと述べている。実際に本業界の未来が見えてこないのが悩ましい。