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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.7
- 出版社: 東洋経済新報社
- サイズ:19cm/254p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-492-22313-0
読割 50
紙の本
米国製エリートは本当にすごいのか?
著者 佐々木 紀彦 (著)
スタンフォード大学大学院に留学した著者が見た、エリートたちの真実とは? 米国の一流大学で行われている「エリート育成システム」を紹介。米国製エリートたちの強みと弱みを検証し...
米国製エリートは本当にすごいのか?
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商品説明
スタンフォード大学大学院に留学した著者が見た、エリートたちの真実とは? 米国の一流大学で行われている「エリート育成システム」を紹介。米国製エリートたちの強みと弱みを検証し、これからの日本が進むべき道を示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐々木 紀彦
- 略歴
- 〈佐々木紀彦〉1979年福岡県生まれ。スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。東洋経済新報社『週刊東洋経済』編集部に所属。「30歳の逆襲」などの特集を担当。
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著者/著名人のレビュー
質の高いリーダーが日...
ジュンク堂
質の高いリーダーが日本にいない、それを改めて感じさせられます。
東日本大震災後の日本のトップの姿に何度失笑させられたことでしょうか。
日本では知性あるリーダーの不足が深刻さを増しています。官僚=エリートとは言いがたい現実。
そもそも日本にも、歴史をさかのぼれば強い現場を仕切る強いリーダーは存在しました。現在もユニクロの柳井正氏、ソフトバンクの孫正義氏など、自ら企業の顔となり現場を統率する民間企業のトップもいます。
しかし、国を動かすリーダーがいない。
著者は日本がリーダーに恵まれない理由のひとつとして、アメリカのエリート育成教育に近い、教育の場が日本にないことをあげています。
本書の目的として、米国の一流大学のエリート教育とはどのようなものかをレポート、その教育システムとそれが生み出す学生の強みと弱みを検証、日本人はそこから何を学ぶべきかを論じています。米国製エリートについての良し悪しを丁寧にまとめた1冊。
仙台店 社会担当 三塚
書店員レビュー
震災以降、危機に右往...
ジュンク堂書店福岡店さん
震災以降、危機に右往左往するだけの政治家をニュースで目の当たりにし、日本のリーダー不在を嘆く声も大きい。優秀なリーダーやエリートといえばアメリカ、というイメージがあるが、ではなぜ日本には優秀なリーダーが生まれないのだろうか?今、日本がアメリカから学ぶべきことは何だろうか?と考えさせられる一冊。
著者のアメリカ留学記も含め、米国高等教育のいいところ悪いところ、英語学習のコツ、歴史認識など幅広いテーマがうまくまとめられている。ぜひ、これから大学を目指す若い学生さんにも読んで欲しい。
電子書籍
「戦う」為の知識
2012/06/05 13:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toto2243 - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容:著者のビジネススクール留学時に感じた「米国製エリート」への評価
感想:指摘には個人的な感想も多く、必ずしも賛同出来ない点も多いが、
「なぜ歴史や地理(地政学)を勉強しなければならないのか?」についての
考察には頷けるところが多い。
単に「日本(の「エリート層)」との対比で考えるのではなく、
「米国」対「他の全世界」という図式で、米国(製)エリートがどういう視点を持って、
どう判断をして、どう行動しているか、を見ていくのが重要だと思う。
しかし、日本の政治家(=指導層)や経営者(=経済エリート)が
単なる腹芸や人あしらいでマネジメントを進めようとしているのを間近で見ていると、
「(実態はともかく)論理的思考で科学的マネジメント手法を使って」ものごとを
進めようとする「米国製エリート」が頼もしく見えるのは確か。
ビジネス書というより「エッセイ」に近いので、軽く読み流せる一冊です。
500円くらいの価値はありそう。
紙の本
本書はタイトルこそ「米国製エリートは本当にすごいのか?」と、あたかも米国エリート論であるかのような印象を受けるが、米国製エリートの実体についての記述は思ったほど多くない。中身の大半は慶應大学湘南藤沢キャンパスの総合政策学部を出た著者が東洋経済新報社に入社後、休職して留学したスタンフォード大学院留学体験記と、そこで感じた日米差異論、留学体験を通じて著者が感じた日本論となっている。
2011/09/06 13:34
18人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「米国製エリートは本当にすごいのか?」という問いについては、著者の結論はあいまいだ。確かに大量の書物を読まされることで「知的体力」「知的筋力」が「平均的に」エリート大学の学生に施されるという点で「すごい」ということになるのだが、それ以上に「すごい」という点は、どうもあんまり見当たらないようだ。また日米のエリートの資質については、はっきりと「大差はない」「特にトップ層の資質は概ね同じ」と結論付けている。英語で早口で自信たっぷりに(傲慢に)自己主張するから、最初のうちは気圧されるが、耳が英語に慣れ、よくよく聞いてみると「たいしたことを言っていないことに気がつく」のだそうだ。
学生の資質、とりわけ日本のトップ大学の学生の資質には日米ともに大した差異は無い。そういう意味で、日本の受験戦争はしっかりと機能しており、優れた学生を選抜する役割をしっかりと果たしていることが分かる。それでも日米の大学格差、とりわけ日米の政治リーダーの資質には大きな懸隔がある。これには、むしろ大学を取り巻く空気、社会全体を覆う価値観の差異が大きいと著者は言う。とりわけ米国のすごいところは「自身の過ちを素早く把握・分析し、それを知識として後世に引き継いでいく力だ」という。これは野中郁次郎氏の名著『失敗の本質』でも指摘されていることだが、大いにうなづけるところだ。米国では2008年の時点でイラク戦争を大学の講義で取り上げ「なぜ占領政策がうまくいかなかったのか」「大量破壊兵器がイラクに存在するという誤報がまかり通ったのか」などがジャーナリズムのみならずアカデミズムでも盛んに取り上げられ、膨大な資料や論考を読みこんだ上で侃々諤々と議論が重ねられ、そこから教訓を導き出そうとされていたそうだ。日本ではこうした議論はなかなか起こらない。まず身内のかばい合いの意識が強すぎて「これを話すとあの人を傷つけることになる」と考えるのか、ヤバイ話は墓場まで持ってい行くことになって誰も真相を語らないし、まして失敗から教訓を学ぶことなんて出来なくなってしまう。こうした日本の風土を象徴する人物として著者は瀬島龍三をあげる。大本営参謀として日本の戦争指導の中枢にいて全てを知悉する立場にありながら、最後まで「美しい自慢話」だけして肝心なことを一切語らずに鬼籍に入った瀬島を、自己弁護に傾きがちながらも懸命にベトナム政争の失敗の教訓を語ろうとしたロバート・マクナマラと対比させる。日本の大学でも是非「日本はなぜ第二次世界大戦に負けたのか」「大蔵省はなぜバブルの処理に失敗したのか」「なぜ日本は20年も失われたのか」な、日本の将来の教訓になるようなテーマを学生たちが徹底討論出来るような機会を作って欲しいと訴える。
日本では議論というものが成り立ち難い。そもそも論者が批判を受けつけようとしない。日本では批判はそのまま「人格攻撃」と受け取られ、一旦相手を批判すると相手が根に持ち、以後、面談すら敵わないとなりがちだ。だから議論は常にすれ違い、相手を正面から論破するような対談はそもそも成り立たないし忌避される。議論がかみ合わないから結論は出ないし、「痛み分け」「喧嘩両成敗」となる。しかも源氏と平家に分かれて双方の陣営を罵倒し合う(ただし特定個人を対象にすることは、なるだけ避ける)から、議論は往々にして「神学論争」になりがちだ。現実から遊離した神学論争が日本で頻発するのは、相手のメンツを保ち双方気づ付かないようにする為の知恵なのではないかとさえ思われる。
先に著者が訴えた「大蔵省がなぜバブルの処理に失敗したのか」という議論さえ、日本ではいまだに決着がついていない。そもそも大蔵省も日銀も忌憚のない意見を述べる人がほとんどいない。しゃべっているのは榊原英資のような電波学者だけだ。最近では不良債権処理そのものが間違いだったとする元興銀マンの自己正当化の居直りとしか思えない『不良債権処理先送りの合理性』などという本さえ出ている始末だ。「批判をむしろ歓迎し自分の議論の欠陥をそれで補強する」と考えるのが一般的な米国との落差は歴然である。」
良い議論を展開する能力を料理人の能力に例えて1)良質な知識と情報(良質な素材)2)知識・情報をまとめてクリエティブかつ論理的にまとめるセンス(調理能力)3)対話のスキル(出来上がった料理を批評してもらい改善に生かす力)とする著者の視点も秀逸だ。とりわけ重要なのは「良質な知識と情報」で、料理の出来栄えの9割が素材で決まるように議論の優劣もベースとする知識・情報の質が左右すると著者は言い切る。この点で寂しいのが、ネットウヨのスター元航空自衛隊航空幕僚長の田母神俊雄で、著者は田母神論文を「信頼性が高いとはいえない文献から、自分のイデオロギーに合う、都合のよい記述だけを盛り込んだ作文」にすぎないと喝破し、「自衛隊の高官が、こんな杜撰な主張をしていては中国韓国に歴史を歪曲するなと言えなくなる」と切って捨てる。SAPIOや正論、WILLに掲載されている論文の大半は著者が言う通り「あまりにもクオリティが低い」と私も思う。
他にも著者の指摘には面白いものが多い。例えば全共闘世代のジジイが最近の日本の若者の米国留学生数が減少傾向にあることを指して「日本の若者が内向きになっている」などと説教するが、著者は「それは違う」と言下に否定する。なぜ日本の若者がアメリカに留学しなくなったかと言えば、少子化の影響が一番大きいのだが、それに加え「日本が豊かな成熟国家になって、アメリカの生活を羨ましいと思わなくなたから」が一番大きいという。実際、スタンフォード大での2年間の生活について「田舎なので勉強するにはもってこいだが、死ぬほど退屈」と言い切っている。
韓国人がなぜ米国に留学したがるのかの原因分析も面白い。韓国には良質な就職先(医師、弁護士、高級官僚、サムスンなどの一流企業)に就職できるのは同世代の5%のみで、後は月収88万ウォン(7万円)のフリーターみたいな仕事しかないそうだ。いわば韓国にはソニーとトヨタと新日鐵以外会社がないみたいなもんで、だから上の上からあぶれた準秀才たちは祖国を捨ててアメリカに走るんだそうだ。
著者は日中関係の将来を楽観していない。「経済相互依存が高まれば戦争は起きない」などということはありえない。むしろ人間関係と同じで親しくなればなるほど相手の嫌な面も見え、反発も高まるものとし、もし経済関係が深まれば戦争をしないのであれば、なぜ日本が米国に宣戦布告したのか説明できないと喝破する。
ネイティブ並みの英語を目指すのではなく、ノンネイティブの英語を目指せとか、文章を暗記して英作文能力を磨けとか参考になる話も多い。一読をお勧めする。