紙の本
“無料ビジネス”を体系毎に解説しており、今の日本の経済背景まで加味されている
2012/02/08 23:35
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SUOMI - この投稿者のレビュー一覧を見る
ケインズが指摘した「完全投資」=「どんな種類の耐久財についても、これ以上の増加からはもはや取り換え費用以上の収益を期待することができなくなるほどの投資の状態」、はたまたマルクスが言った「利潤率の傾向的低下」、また、リカードやミルが想定した「定常状態」。現今の日本経済が陥っている資本主義経済が成熟すればするほど資本主義経済が滅亡に近づくというパラドックス。
そんななか、各企業は、消費不況に立ち向かう価格戦略として「無料ビジネス」という新たな戦略の下、日々実践を重ねている。
企業にとって一番の消費者であった「政府」ももう消費するだけの余力はないし、官が関与すればするほど余計に墓穴を掘ることも露呈してしまっている。
真の無料ビジネスとは?
インターネット時代において脚光を浴びる「無料ビジネス」。
しかしながら、無料ビジネスは今に始まった経済モデルではないことも著者は明らかにしてしまう。
デフレ不況に立ち向かう企業関係者。そして、真の無料ビジネスの果実をゲットしたい生活者必読の本である!
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<感想>
無料ビジネスの目的や仕組みを、自分の様な経済初心者でも理解しやすく説明した本。だが、ところどころ、経済の枠の外にある部分で筆者の個人的な考えや経験を中心に論ずるなど、矛盾点・疑問点も多く見受けられた。
<要点>
・無料ビジネス=値引き+販売促進+個人向けファイナンス機能(ローン型 OR 株式型)
・現在のような硬直的な経済状況下では、無料ビジネスが消費を拡大させ、経済を刺激する役割を果たすことができる。
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「スタバではグランデを買え」の著者による、消費者の行動変化とそれに対応した価格戦略の解説本、良書です(なお、副題が本書の本質)。
◆価格戦略の考え方 ~ 顧客に合わせて設定し極大化を図るのが理想
本書では、まず、消費者を「時間に余裕アリ/ナシ」「お金に余裕アリ/ナシ」に4分類し、
顧客属性に合わせた価格戦略で利益最大化を図るべしと説く。
秀逸なのが、USJの価格戦略の紹介。
USJは2011年に入場料を値上げ(仮に1千とする)。
この影響は、①地方客には旅行全体の一部値上げ(30千の旅費が31千になる)であるのに対し、
②近郊客には値上げ割合が相対的に大きく見える(5千の娯楽が6千に)。
従って、②は①よりも大きく減る。
しかし、USJは値上げの一方、年パスを値下げ(これは①には刺さらないが、②には刺さる)。
副作用として②増加による混雑(=①の満足度低下)が想定されるが、ファストパスの販売により、
①の満足度を維持(一方、②は年パス持ちなので、乗れない分には次回乗ればいいと思える)。
つまり、相対的に値上げに鈍感な①からは値上げ+ファストパスで、
値上げに敏感な②からは年間パス(値引き)+来訪増で収益極大化を図るというもの。
◆無料ビジネス ~ 「対価を取れる」利用者からの収益を極大化する仕組み
次に、著者は無料ビジネスについて「③個別採算型」から「④総合採算型」への転換を主張。
③の代表例はゼロ円ケータイ・実質無料スマホで、初期費用を抑え、月額使用料で
「強制的に」費用回収を図る(中途解約にはペナルティ)。
④の例としてはモバイルゲームで、基本は無料、一部ユーザーの「自発的な」有料サービス利用で、
全体の費用回収が成り立つ(フリーミアム)。
③は同一顧客での採算を見るのに対し、④は利用者全員での採算を見る。
バブル前のような右肩上がりの給料が約束されていれば③で十分だが、
そうではないこのご時世、④ができればビッグヒットのチャンス。
無料で圧倒的な規模の見込客にリーチし、一部の顧客からしっかり代金をもらえる仕組みを考えるべし。
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無料ビジネスについて基本的なことが書かれている。
2011年9月発売で、発売後数日で購入。
はじめに
無料ビジネスの動機に着目
第一章 無料ビジネスとは?
無料ビジネス=最初はゼロ円+利益を追求
第二章 共同購入型クーポン対無料ビジネス
顧客情報(双方向)
顧客を「お金」と「時間」のあるなしで分類
第三章 TDLとUSJのアトラクション無料
限界費用の観点
客が近いか遠いかで戦略違う
第四章 予算制約VS時間制約
消費者→時間→労働、余暇
予算
第五章 ケータイと無料ビジネス
金融とは交換のタイミングのずれ
ケータイ本体→ローン型の個人向けファイナンス
ケータイ向けの無料ゲーム→株式型の個人向けファイナンス
第六章 消費不況と無料
デフレや不況に無料ビジネスが何ができるか
第七章 電子書籍と無料ビジネス
2010年は電子書籍元年
無料ビジネスの失敗例の一つが電子書籍
なぜなら、出版業界は再販制度によって本の価格戦略に慣れていない。価格の自由化が一番の変化!
本屋自体が、立ち読みということで無料ビジネスをやっている。
コラムより
本にリンクをつける
アップロードする
値下げはもちろん値上げもできる
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久しぶりに読んだ、社会学(笑)的観点の新書。FREEに通ずる所もあってなかなかに面白かった。一杯目が無料のコーヒーショップとおかわり自由のコーヒーショップの比較など、つかみが上手な本だと感じた。考えればわかるような事だが、意識的に読むことですんなり頭に入ってきた。他にも、Groupon、ディズニーとUSJ、ケータイ本体実質負担ゼロ円トピックを図解で示していたりでわかりやすかった。途中、ディズニーとUSJが地方の客、ハレの日で来た客から大金を取る仕組みを構築してると気づいた時に、嫌悪感を感じてしまった。途中はディズニーとUSJの社会学という感じだった。元銀行員の作者で経済学の話の部分がやや難解だが読みやすい。最後の最後には、電子書籍と図書館を無料ビジネスとからめてはなしており、タメになったり。
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クリス・アンダーソン「フリー」のインスパイア系。
消費には時間とお金が必要。
最初を無料にすることで、まず時間制約を突破することを狙うのが「無料ビジネス」
コーヒーと紅茶は「代替」
コーヒーとケーキは「補完」、紅茶とケーキも「補完」
そのため、コーヒーを値下げすれば、ケーキの売り上げは上がるが、紅茶は下がる。
対して、ケーキを値下げすれば、コーヒーも紅茶も売り上げが上がる。
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無料ビジネスの成功と失敗について述べられている。無料ビジネスでは「顧客にとって価値の高いものを無料」とすることで、その店のファンになってもらう。もしくは無料商品を通じて顧客の情報を得ていくことが重要となる。無料ビジネスを始めるにあたり、補完と代替を意識しなくてはならない。何かを値下げすると代替の売上が下がり、補完の売上が上がる。価格のバランスを上手にとるのが大事なのである。また電子書籍ビジネスにおいて、無料で一章読めるというのは大した価値はないというのは納得させられた。本屋に行けば全章が立ち読み可能だからである。本書においては特に3章のTDLとUSJのビジネスモデルがおもしろく読めた。
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以前吉本さんの書いた「スタバではグランデを買え」を読みました。身近なところから経済(つまりは世の中も)のしくみを知るという私の目的に合った内容でしたから、今回も普段からどうしてタダになるんだろう・・とちょっと不思議でいたことを取り上げていたので、早速読んでみました。
そもそも経済学という学問は難しいようですが、難しいことをそのまま説明するならこれは専門に勉強している方なら、あまり苦労しないかもしれません。しかし、素人相手に分かりやすく説明するのは至難の業だと思います。
吉本さんは今度も今どきのビジネスの展開を分かりやすく説明しようとかなりご苦労されたようです。それは私も含めてですが多くの人が興味を持つ無料ビジネスのしくみ解き明かす部分、”トリック”に重点をおくのではなく、動機を中心にして「なぜ無料ビジネスが流行するようになってきたのか」に焦点をあてて書いたからのようです。
よくあるケースとしてコーヒー1杯無料とコーヒーおかわり無料の場合が引き合いに出されるのですが、この例題なんかは「スタバ・・」を書いた吉本さんならではですが、一度インパクトの強い本が売れると次に書くとき大変だったのでは・・と想像しました。
消費不況という現在の日本を覆うデフレ状態は、手持ちの金がないのにお金を借りてまで物を買う(たとえばサラ金からの借金)ことや、宵越しの銭は持たないなんていう気質の人に、どちらかというと厳しい目を向けがちな日本人の消費者気質を美徳と考えてしまうと、哀しいかなこの状態はまだまだ続いてしまうのでは・・と思いました。
デフレの正体という本を読んだ時も思ったのですが、富裕層の高齢者などがもっとお金を使ってくれないと、(または使うように仕向けないと)結局は下手な値下げをせざるをえない企業が出て、人件費に響き賃金が減るという負のスパイラルから抜け出せないのではないかと考えます。
このデフレによる不況から抜け出すためにも、無料ビジネスをうまく企業の価格戦略として取り入れてほしいという吉本さんの願いがこの本には込められています。
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6章までは退屈で我慢しながら読んだが、6、7章は著者の意見が全面にでて面白い。日本の不況とデフレについての解説と、それに対する無料ビジネスへの期待が新鮮だった。
天下の周りものが周らない時代、どの様に消費を作り出すか? いろいろと考えながら読了。
書籍の扱いについては、やはり再販制がネックか。業界として、長く話題にはなってきたが、しっかりした議論にならず感情論になりがちなところ。改めて日本の書籍の未来は考えないとなぁ。
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無料ビジネスの構造ではなく動機に着目した作品。
共同購入型無料クーポン、TDLの価格戦略、本体無料携帯と無料携帯ゲームなど...企業がどんな消費者をターゲットにしているのかを見据えた上で自ら「ターゲット」となり有効に活用するのか、ギリギリのラインで踏みとどまり無料サービスを堪能するか。
消費者も消費者として、自分の購買スタンスをきちんと決めていくべきだと思いました。
「そんなうまい話ないだろう!」とは決めつけずに、なぜ「そんなうまい話」があるのかを考えて利用してしまうような、一枚上手な消費者になりたいなぁと思いました。
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無料ビジネスのことが主題の本だが、それよりも価格戦略における価格差別という考え方がとても興味深かった。人がその価値をどう判断するかによって、同じ商品を違う価格で提供する。無料ビジネスに限らず価格戦略というものは奥が深い。(田中大輔)
▼『ジセダイ』140文字レビューより
http://ji-sedai.jp/special/140review/20111020.html
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様々な無料ビジネスが書かれている。なお、この書籍で無料ビジネスと呼んでいるのは、最初無料である。例えば携帯の本体無料のようなものだ。
1章のコーヒー1杯無料とおかわり無料の違いはわかりやすい。1章にこの話をもってくると、後の話がわかり易くなると思う。
クラブ(女性が接客する方)とSNSの共通点や書店が無料ビジネスであることなどは、自分が気付いていないことだったので、勉強になった。
また、Tポイントカードの話も勉強になった。Tポイントカードの話は電子マネーにも共通するだろう。
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不況を改善するために生まれた無料ビジネスをケイタイ、USJ、電子書籍などを例に挙げ、解説している。無料ビジネスをうまく利用する消費者でなければいけないと感じた。
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最初からぼったくりに近い定価を設定している店でない限り、共同購入クーポンを利用して販売する商品では、大幅な赤字になりやすい。
顧客情報が重要なのは、効率よく売り上げ(金額)と利益を増やしてくれること。
無料ビジネス=最初はゼロ円+地益追求
=値引+販売促進+個人向けファイナンス機能
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ケインズが指摘した「完全投資」=「どんな種類の耐久財についても、これ以上の増加からはもはや取り換え費用以上の収益を期待することができなくなるほどの投資の状態」、はたまたマルクスが言った「利潤率の傾向的低下」、また、リカードやミルが想定した「定常状態」。現今の日本経済が陥っている資本主義経済が成熟すればするほど資本主義経済が滅亡に近づくというパラドックス。
そんななか、各企業は、消費不況に立ち向かう価格戦略として「無料ビジネス」という新たな戦略の下、日々実践を重ねている。
企業にとって一番の消費者であった「政府」ももう消費するだけの余力はないし、官が関与すればするほど余計に墓穴を掘ることも露呈してしまっている。
真の無料ビジネスとは?
インターネット時代において脚光を浴びる「無料ビジネス」。
しかしながら、無料ビジネスは今に始まった経済モデルではないことも著者は明らかにしてしまう。
デフレ不況に立ち向かう企業関係者。そして、真の無料ビジネスの果実をゲットしたい生活者必読の本である!