投稿元:
レビューを見る
映画監督の柚木真喜子と彼女の周りにいる6人の女たち。
女同士の中にある好きと嫌いの微妙で不安定な感情が、6人の語りだけで浮かび上がる。
読みながら自分の気持ちもあっちへこっちへと傾く、まるでシーソーに乗ってるように。
投稿元:
レビューを見る
女性映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭で賞に輝いた。
かつて柚木の映画の脚本を書いていた志保(「転がる石」)、柚木の恋人を奪って結婚したさつき(「トウベエ」)、ラジオ番組の取材を受けることになった実妹の七恵(「チューリップ・ガーデン」)、それぞれの実家が近所で柚木に心酔する亜紀美(「光」)、柚木に息子が惑わされていると心配する事務所社長の登志子(「伸びやかな芽」)、柚木の目に止まり映画出演することになった十和(「流れる風」)らが彼女について語りはじめ、そして最後にシナリオ風にそれらをまとめ、印象的なラストシーンへつれていく(「リフレクション」)。
6人の人物の話を読むうちに、柚木真喜子という一人の女性の姿が浮き彫りになってくる感じです。
手法としては、三浦しをんさんの『私が語りはじめた彼は』に似てるかな?
でも中身は大島さんらしい、心理描写が緻密に繊細に描かれた作品に仕上がっていました。
投稿元:
レビューを見る
http://sgk.me/n1vuVZ 6人の女性の視点で、ひとりの女性の生き方が描かれる実験的連作小説集です。
ラストにはシナリオを配した構成の、著者渾身の最新作!
連作短編小説というスタイルにやられました!!
投稿元:
レビューを見る
+++
女性映画監督に翻弄された6人の女性の物語
映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭で賞に輝いた。OLを辞めてまで柚木と一緒に映画の脚本を書いていた志保。柚木の友人の後輩で当時柚木の彼氏だった男性を奪い結婚したさつき。地元のラジオ番組の電話取材を受けることになった年の離れた実の妹の七恵。柚木が出入りしていた画家の家で柚木と特別な時間を過ごしたことがある亜紀美。息子がどうやら柚木に気があるらしいと気を揉む柚木が所属する芸能事務所の女社長である登志子。柚木に気に入られ彼女の映画「アコースティック」で主演を演じた十和。柚木に翻弄された6人の女性たちのそれぞれの視点で描かれた連作短編小説。ラストにはシナリオを配した構成の、著者渾身の最新作!
+++
「転がる石」 「トウベエ」 「チューリップ・ガーデン」 「光」 「伸びやかな芽」 「流れる風」 「リフレクション」
+++
柚木真喜子が鍵となる連作であり、彼女のことが語られているのだが、柚木真喜子自身の主観はまったくと言っていいほど判らない。語るのは柚木真喜子の周囲にいて彼女の行動や作品に深く関わった女性ばかりである。すぐ近くで接しており、柚木真喜子をよく知っているはずなのだが、しかし柚木真喜子の核心はほぼわからない。映画監督として海外の賞を取ったが、メジャーというわけでも華やかさがあるわけでもなく、その作品もよくわからないと評されるようなものである。だが映画に掛ける熱は並大抵ではないものがある。という風に表面的なことはわかっても、柚木真喜子という人の内面はまったく見えてこないのが不思議なほどである。読者は痒いところの遠くばかり掻かれているようで、どんどん柚木真喜子のことを知りたくなって自分から手を伸ばして掴もうとするのである。不思議な読み心地の一冊である。柚木真喜子が一人称の物語を読んでみたくなる。
投稿元:
レビューを見る
現在活躍している女性の映画監督がいるので、そういう人たちとどこか重ねて読んだ。一見頼りない目立たない人が、映像に対してだけは確固とした自分なりのイメージがあって、世評も気にせず撮りたいものを撮っていく。
周辺にいる、巻き込まれたり、巻き込まれなかったりする人たち。
それでも彼女は歩き続けるのだろう。
投稿元:
レビューを見る
通のみが知る女性映画監督が海外の賞を受賞する。
彼女に関わった人達がそのニュースを知った時の物語。
周りの人の話だけで当人を浮かび上がらせるのかと思ったら
あっさり本人も登場し
各短編のキャラ達が関わるのかと思えば
それほどでもなく
最後のシナリオで全て繋がるのかと思えばさにあらず。
う〜む…。
各短編は面白かったが
連作にした意義があまり感じられなかった。
【図書館・初読・11/3読了】
投稿元:
レビューを見る
一人の女性の魅力を、周りの人間模様から描ききった連作短篇集。結論、いまいち伝わらないのだけど、世界観の中心点にいる女性のメインストーリーが別にあれば、これはおもしろいとおもう。
投稿元:
レビューを見る
「小説すばる」に連載されてきた短編読みきりのシリーズ6編に、これらの物語の集大成とでもいうべき書き下ろしのシナリオ「リフレクション」1編を加えた短編集。
いずれの作品も、柚木真喜子という映画監督でもある一人の女性との出会いによって、生き方を変えざるを得なくなった人々の物語。
どの作品にも影の主人公とでもいうべき柚木真喜子本人はほとんど登場しない。あくまで影の主人公というべき立場で、それぞれの物語は、人生を変えざるを得なかった他者(女性)からの視点で語られていく。
最後の書き下ろし作品「リフレクション」は、いわばエンドロールのようなもの。それまでばらばらに登場していた人物たちと場面場面の関係性がくっきりと明らかになっていく様子が、いかにも映画監督である柚木真喜子をめぐる6編の物語の解決編らしい仕上がり。
ただし、これはあくまでもシナリオなのだけれど、、、
投稿元:
レビューを見る
女性映画監督を、彼女に関係する人々の目を通して炙り出そうとする本です。
残念ながら、ベールに包まれた感じが、最後まで拭えませんでした。きっと魅力的な監督のはずなのに。ちょっと残念です。
投稿元:
レビューを見る
女性映画監督・柚木真喜子がどこか海外の映画祭で何かの賞をもらったらしい・・というところから始まるこの連作短編集。
全然メジャー系ではない、ほとんど自主制作の映画、という設定なので、賞をもらってもたぶん、柚木本人の日々は変わらないのだろうけど、受賞の知らせに気持ちを揺らせる柚木を取り巻く女たち6人の話、という設定が面白い。
彼女たちは、かつての仕事仲間、柚木の恋人と結婚した主婦、妹、実家のご近所さん、事務所の社長、以前柚木の映画に出たことがあるライター。受賞をとても喜ぶ人あり、苦々しく思う人あり、それぞれの心の動きが多層的に描かれて、どんな場合でも一筋縄ではいないかない「女」というものを浮かび上がらせ、しかも、その姿が決して露悪的すぎないところ、うんうん、わかるよ、と素直に思わせられるところが大島さんだなぁ、と。
柚木本人はどういう人なのか?
映画が好きで、そのためにだけ生きていて、周りの人は知らず巻き込まれてしまう、ということはわかるのだけど、彼女を好きか、嫌いか、ということになると、う~~ん、わからないなぁ。彼女と出会わずに生きていける方が幸せなのでは、という気はするのだけど、どっぷり彼女に惹きつけられてしまった人たちもまた幸せなんだろうな、とも思う。
投稿元:
レビューを見る
読みやすくてさらりと読めてしまった。
最後の話を読むまで、引っかかりが無さ過ぎるなぁと思っていたけど最後で認識を改めた。
びっくり。
なんとも不思議な小説。
語り手は6人の女性。
ほとんどが語り手の回想で、その回想は語り手の人生の分岐点であると同時に柚木真喜子という女性との思い出でもある。
語り手同志には接点がなく、それぞれ別々に柚木真喜子とその頃の自分を回想している。
その思い出は後悔だったり、懺悔だったり、救いだったりと様々。
でも語り手の回想の明暗に関係なく、どの話も読後は爽やかで前向きになれる。
「それでも彼女は歩きつづける」というタイトルに納得。
投稿元:
レビューを見る
ひとりの映画監督(ユズキ)と関わりのある人たちの物語。
“関わりのある人たち”が主人公なのであって、
映画監督が主役ではないのだけれど、
“関わりのある人たち”の物語から、ユズキが
どんな人なのかが見えてくるという、面白い連作でした。
決して華々しくはないのだけれど、
ちゃんと自分の世界を生きてる人って、
有り体なのですが、素敵です。
何も語らずとも、ユズキの中に広がる思いや、
映画と向き合う真摯な姿勢が、“関わりのある人たち”の
未来を動かしていってる様子が、よくわかる。
大島さんの好きなところ、満載の一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
浮世離れした女映画監督・柚木に影響を受ける6人の女の人の物語。
女6人がそれぞれ、あたしの人生これでよかったのかしら?と、やりたいことだけをやってきた柚木の人生と比較したりしつつ過去を振り返り、今を生きるお話。肝心の柚木真喜子の視点からの物語は語られないのがミソ。いるよね〜こういう才能あるけど迷惑な人、と思いながらさらさら読んだ。
表紙の網中いづるさんの絵、清潔感があって好き。
投稿元:
レビューを見る
一ヶ月も読書から離れていた。次々と本は届けられるけどその気分になれなかった。目の前に、《それでも彼女は歩きつづける - 大島真寿美》という本が出されたら手に取る気になって気がつくと半分読んでいた。
ピエタの作家さんだ!
ピエタは、始めは淡々と話がすすみ、ふんふんと読んでいると「なんか、歴史ロマンが展開される予感」でどんどん引き込まれ、大きなスケールで終わったけど、この本は、逆かな?
主人公の女性映画監督は、一度も一人称で登場することなく、その周囲の人が彼女と自分の関わりを順に語る。
初めから、なにやら凄い人物かな? と思っていると何事もないヤンワリした空気が何気に彼女を取り囲んでいるだけ、・・・。
その雰囲気にやられました。
構成力は流石です。
何気なさに感服しました。
また、編み物でなくて読書で暇つぶしすることになるかなー♪
次も楽しみな作家さんです。
投稿元:
レビューを見る
映画監督 柚木真喜子
彼女が、どこか海外の映画祭で受賞をした。
そんなことから始まるけど、作品の主人公は柚木真喜子ではなく
彼女にまつわる6人の女性たち、それぞれが歩きつづけるお話。
おもしろい読ませ方
柚木真喜子と共同で映画作成をしたが途中で挫折したライター
夫が柚木真喜子の元恋人である主婦
柚木真喜子の妹
柚木真喜子の実家の近所の酒屋の娘
柚木真喜子の事務所の社長
柚木真喜子の昔の映画に出演した元女子高生
そして最終章・・・
映像が目に浮かぶ
そう、ラストシーンはやっぱり海がいいでしょう♪