紙の本
アフリカでボランティア活動をする日本人女性にエールを!
2012/07/26 10:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
毎日新聞、夏の読書特集で紹介されていた一冊です。
心に沁みる一冊に…と小学校低学年から、高等学校まで、それぞれの年代に応じていろんな本が表紙写真とともに、あらすじが書いてありました。
その数、40冊!夏休みの本(緑陰図書)とあって、どこか高原の大きな木の下の日陰で、さわさわと気持ちの良い風に吹かれながらの読書…そんなイメージがぐんと湧きました。
で、こちらは高等学校のオススメ欄で見つけました。アフリカでボランティア活動を続けて6年が過ぎた日本人女性の話です。プラ子ちゃんこと、栗山さやかさん!
日本では109のショップ店員をしていた渋谷系ギャルだった彼女が、親友の死をきっかけに「まだ生きている私は、残りの人生をどう過ごすことがいいのか考えるように」なりました。ちょうどその頃読んだ本『犬も歩けば英語にあたる』に影響を受けて、海外に出てみようと思い立つ。そうしてたどり着いた先がアフリカでボランティアをすることでした。
無防備に飛び込んだアフリカの医療施設で、彼女が目の当たりにした現実。それは読みながらも言葉を失い、続きを読むのが辛くてたまらないような過酷な世界でした。HIVや末期がん、貧困に苦しむ女性たちに、さやかさんは体当たりで、誠心誠意で向き合います。「チャラカ(さやか)」と呼ばれ、現地の女性たちに頼られている姿を見て、ただただ凄いなと思いました。
彼女は「アフリカの方たちのことを書いていただいたお金を、アフリカの方たちにそのまま返そう」と多くの協力者の力を得て、協会アシャンテママを立ち上げます。活動内容は本書をじっくり見ていただくとして、私は彼女のこの言葉に心打たれました。ちょっと書き抜いてみますね。
「色んな知識を一緒に得ていくことで、物とかは人に盗まれちゃうけど、得た知識は誰にも盗まれることはないし、ずっと役に立つことだから、いつくになっても何かを学ぶことや、子どもたちを学校に通わせることはとても大切と伝えています。」
彼女のアフリカボランティア生活は現在進行形、現地から発信するブログ「プラ子旅する」を読んでみたところ、つい最近のこと、現地の看護学校に合格して、また新しい第一歩を歩きはじめた様子です。
こんな素晴らしい活動をしている日本人女性がアフリカにいるのだ。いつにも増して暑さを感じる夏に、アフリカでボランティア活動を続け、さらには看護学校にも通うという彼女に心よりエールを送りたいと思いました。
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いやぁ~、すごい。
一気に読んでしまいました。
ギャル系ファッションの業界にいた著者が友人の死をきっかけに、バックパッカーに変身。
やがてエチオピアの施設でボランティアを始めます。
この本の内容はエチオピアでの活動がメインになっているのですが、この施設に入っている人たちが、HIVポジティブは当たり前で、頭くらいの大きさの腫瘍ができている人がいたり、組織の中に産み付けられた卵から孵った幼虫が孵ったり。でも、著者の栗山さんは、丁寧に対応をしてあげるのです。失敗や後悔もたくさんあったようですが、患者達に慕われているようすは、読んでいて羨ましいくらいです。
この施設の子たち、つぎつぎに死んでしまうんですよねぇ...。命ってしたたかな側面があるけれど、はかないものなのだと感じます。
「運命だから」と言ってしまえばそれまでなのだけれど、同じ地球に生まれて、この差は何なんだろう。日本に生まれた自分はどのように生きるべきなのか、いろいろと考えてしまいます。
それにしても、こんなに元気のある女の子がいるなんて、日本の若者、やるなぁ!
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元109の店員が、世界放浪の旅へ。
訪れたアフリカでボランティアをした体験記。
文章は下手なんだけど(編集さんもあえて手を入れなかったのでしょう)、その分、生の声が聞こえた気がします。
病気で、皮膚がただれ、血まみれになり、異臭を放ち、排泄物まみれの子供たちを献身的に看護してきた著者。
他のボランティアが音をあげた患者さんたちをも、看病し続けた著者。
とても真似できることではないと思う。
読み終わって溜息がでました。
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109のショップ店員の渋谷ギャル。適当に通った大学、外見磨きに忙しくて周りが見えなかったショップ時代…そんな時出会った一冊の本と友人の死。残りの人生をどう過ごすか考え、一人アフリカへ。そこで見たのはHIVや末期ガンに苦しむ女性たちの姿。何もできないけど、自分だったらどうして欲しいか考え、孤独からは救ってあげたいとそばに寄り添う…読んでいるうちに、いかに自分が恵まれ、無力かということを感じました。そして読んでいるだけで痛々しい病状、私なら目も当てられないだろう人々にただただ献身的に手当てを施すさやかさんに尊敬の念をを抱きました。109のショップ店員の大変さも知りました。人は見かけではないということ、改めて感じる一冊でした。
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ふと借りてみたジュニア新書。返却期限のちょっと前にぴらっと読みはじめて、そのまま最後まで読んでしまう。
こんがりと日焼けサロンで焼いた肌のコギャルで、渋谷の109で服を売っていたプラ子こと栗山さんが、世界放浪の旅に出る。たまたま立ち寄ったアフリカで、自分と同じかもっと若い女の子たちが、HIVや末期ガンでぼろぼろになって苦しむ姿を知る。生まれた場所が違うだけで、こんなにも生きられる可能性が違う。そのことにショックを受けながら、栗山さんが「なんにもないけどやってみた」ボランティアの日々が綴られる。
知識も経験も力もないけれど、アフリカでいま目の前にいる人たちのために心をこめて取り組む栗山さんは、25歳のときに亡くした親友の心情に思いをはせ、自らを振り返り、生まれた場所が違うだけでこんなにも違う同時代の現実を思い知る。
栗山さんがモザンビーク北部の小さな町で知り合ったマラウィの男の子の話。
▼彼は一人で現地の人たちを雇いながら村の子たちを救うための活動をしていて、トタン屋根の六畳くらいの大きさの小さなオフィスだったけど、彼は大学を南アで二つ卒業していて、たぶんエリートに入る人なんだと思う。
それでもこの小さな町で、貧しい子たちのために自分も最低限の生活をして、仕事をしている彼に、話を聞かせてもらいながら、すごいなって思いました。
…
私が今まで見てきたアフリカのエリートや裕福なうちの子は、上を上をどんどん目指すし、やっぱりどこでも良くも悪くも同じかもしれませんが、お金を手にしたらもっとお金を手にしたくなる人が多い中で、こんな風に自国や隣国の悲しい問題に向き合えて。
…
小さい頃、病気で痛くて苦しくて泣き叫んでも誰も耳を貸してくれなくていつも差し伸べてもらえる手がなくて、そのことをずっと忘れられずにいて、今こうして働いているよ。やっぱり子どもは一人で大きくなれないからね」って暑い中、お豆のお昼ごはんを準備してくれながら教えてくれました。
人に二つの手があるのは、一つは自分を守るため、もう一つは、人を助けるためって張り紙で見たの思い出しました。(pp.170-171)
「やっぱり子どもは一人で大きくなれないからね」という彼の言葉が強く印象に残る。
この本は、プラ子さんのブログ日記が元になってできたのだという。その若い言葉のいきおいが伝わる。今書かれているブログは、「プラ子旅する。---まだアフリカです。」
(3/4了)
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何気に手に取ってみた1冊。
まず、表紙のギャルの写真と内容のギャップに驚かされた。
元109のショップ店員がアフリカにボランティアに行く・・・
どうせ、冷やかし程度のもんなんじゃない?って思って読んでみると
いい意味で予想を裏切られた
人は見かけによらないっていうけど、・・・確かにそうだった。
自分も、ボランティアに興味あるけど、ふらっとアフリカに行って医療施設でお手伝いなんてそうそう出来るもんじゃない
しかも、今まで聞いたことないような病気や医療用語に囲まれて、かつ、自分の身の安全もままならい状況での生活。。。
スゴイ、タフだなぁ。純粋に、そう思った。
見たことがないから、本を読んでいても想像もできないような体の状態の患者さんを丁寧に対応する作者の心遣いに、ただただ感心するだけ。
自分が当たり前のように生活できていることは、本当はいろんなものに守られているからであって、当たり前に暮らせないひとたちがたくさんいることをもっと知らなきゃなぁって思わせる1冊だった
この1冊に出会えて良かった。
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特別な技術があるわけじゃない若い女の子がアフリカでボランティアをするノンフィクション。
これを書くために行ったのではなく、行って知って感じたことをまとめたもの。
文章はあまりうまくない。でもわかりやすい。
すんごい技術の達筆よりも、一文字一文字丁寧に書いた小学生の文字のほうが読みやすい、というのに似ている。
素直に直球で装飾がない。というか飾る余裕なんてないくらい本気の言葉なんだと思う。
そして、飾る必要なんてないくらい中身がちゃんとある。
騒ぎ立てたり自分に酔ったりせずに言葉を綴るだけで足りる。
はたから見ればすごいんだけど、本人的には「できないからできるまでやる」だけ。というタイプなんだろうと思う。
それはアフリカでのがんばりだけじゃなくて、日本にいたギャル時代にも、すごい努力をしてる。
努力をすることが特別なことやパフォーマンスや、まして目的などではなく、手段だと理解している人の走り方だ。
「できることをしよう。」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4103638028と同じ空気。
すごいけど超人じゃない、できることを手抜きなしに本気で全部やる人のすごさ。
「平熱のままで、心からありがとうと言う」ってやつはこれかー!
頑張ってる人ほど「まだ足りない」って言うよなぁ…
著者のブログhttp://purako.jugem.jp/
関連
フィクションだけど、暑苦しい努力信仰ではなく、今できることに全力を注ぐ姿勢に「憧憬カトマンズ」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4532171075を連想した。遊べるうちに遊んで、働くからにはやれることをきっちりやる。
「世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4560049629
「ハイチ 復興への祈り」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4002707946
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坂東市の図書館【蔵書紹介(児童書)】渋谷のショップで働いていたひとりの女の子が,あるきっかけから世界を旅し、アフリカへ向かった日記。設備の整っていない病院でHIVの人々への献身的な活動をする様子はたんたんとした文面にもみえますが、彼女の気持ちが心の奥にしみました。
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アフリカの過酷な現状と著者の行動力にショックを受けた。
たまたま高級な食材をもらったが、食べるのに罪悪感を感じた。とりあえず、著者の作った団体アシャンテママに少しだが寄付した。
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出先で何気なく目をやったTVで、著者である栗山さんがモザンビーク共和国で活動している姿が紹介されていた。ほんの10分か15分見ただけなのに引き込まれ、本を出しているのを知り読んでみた。
これはストーリーに遊ぶ本でも、言葉の美しさを楽しむ本でも、ただ現実を学ぶだけの本でもなく、人間そのものを読む本だ。たった一人で海外、しかも言葉も知らないアフリカの貧困国(本作ではエチオピアがメイン)に飛び込み、貧しさと孤独の中なすすべもなく死んでいく人々の最期にせめて寄り添おうとする著者。生半可な"ボランティア精神"の持ち主であればすぐに逃げ出すような壮絶な現場でただ献身する姿に、聖母マリアやマザーテレサを思う。どうしてああしなかったんだろう、どうしてああしてしまったんだろうと後悔し罪悪感を持ち、自分のしていることは本当に誰かのためになるのかと常に内省し、誰かを看取る度に嘆き、それでもまたひたすら患者さんに愛情を注ぐ著者の魂の美しさに目を開かれる思いがする。
その後さらに数カ国での経験を経て、現在は私がTVで見たモザンビークで、現地の女性に様々な知識(衛生・栄養からモラルまで)や糧を得るための技術(畑、編み物等)を伝える活動をされている。さらに最近、現地の看護学校への入学試験を受け、一言も知らないポルトガル語を一から勉強し1000人近い受験者の中から合格者30名の中に入ったそう。脱帽とはこのこと。そもそもモザンビークへ渡ったのは、アフリカの中でも最貧だから、とTVで言っていた(と思う)。治安も非常に悪く、襲われて殺されてしまうことも日常的にある場所を敢えて選び、女性たちをサポートしようとしている。
本作の中に『人に二つの手があるのは、一つは自分を守るため、もう一つは、人を助けるためって張り紙で見たの思い出しました。』という一節があるが、著者はまさにそれを体現している。
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読み進めるのが、辛いくらい胸が苦しくなる。この世界で起こっていることだというのが、悲しくなるくらい、自分の住んでいるこの場所が、環境が幸せすぎるんだろう。
ボランティアって、簡単に始められるけど(ちょっとしたことから)それが周りに与える影響をよく考えないといけないんだろうな。
本の中で、物は盗まれちゃうけど、知識は盗まれないから少しでもHIVに関する知識などを身につけるんだよって的なことを現地の子に話したというのを読んで
自分のやっていることを少し肯定的に考えられそうになった。
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アフリカのエチオピアの現状がリアルに伝わってくる。
生まれた国が違うだけで。。。
何もできない自分に無力感を感じる。。。
とても心に響く言葉でした。
エチオピアの現状をそのまま描いているから、その悲惨さで途中で本を閉じたくなるかもしれません。
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んー、凄まじい経験されてる。然も現在進行形ってんだから更に凄い。
なかなかこの環境に飛び込んで行く勇気はないなぁ。
自分の両親看取っただけでへこたれてんだから、私には無理だなぁ。
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著者は元109のショップ店員。そんなバリバリのギャルだった著者が、アフリカに渡り、HIVやガン患者、貧困に苦しむ人たちに寄り添いながら、今なおボランティアをし続ける中で感じたことやそこに至る経緯が書かれている。
あまりにもリアルな描写に目を背けたくなるが、これがまさに今地球の別の所で起こっていると考えると、自分はいったい何してんだろう、自分はこのままでいいのだろうか、と思ってしまう。同じ時代でも、生まれた場所が違うだけでどうしてここまで違うのだろうか。日本に生まれた意味って何なんだろうか。あらゆる疑問が自分に降りかかってくる。悪い意味ではないが、心をかき乱される一冊である。
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日本にいてもしんどいと感じる瞬間はいくらでもあって、無力だと感じる瞬間もいくらでもあって。本のタイトルのなんにもないってフレーズは共感できるけど、実際のところ自分は大体のものはもってるんだよな、と思った。とても読みやすかった。