紙の本
クール!
2021/05/27 11:32
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投稿者:TAROLEB - この投稿者のレビュー一覧を見る
1950〜1960年代のSF短篇アンソロジーだが、全く古臭さを感じないし、直球のSFからSFっぽいものまでバラエティに富んでいて、久しぶりに面白いSF短篇集を読みました。表題作品は題名通りクールな作品、短いですが、映像が頭にい浮かびます。裏表紙に荒筋あり、ネタバレしないようにストーリーは記載しませんが、ともかく格好いい。これと、邦題がちょっとダサすぎですが、「危険!幼児逃亡中」はまさにキングの某作品やその他の超能力者モノ映画の元ネタとしか思えない、とっても面白い作品でした。「ふるさと遠く」は詩のよう、アシモフの「信念」もSFとも言い切れない優れた小品です。
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どれもこれも
2015/12/19 07:44
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投稿者:のきなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
名作揃い。
特に表題作にもなっている冷たい方程式は文章のうまさとストーリーの切なさが相まって何度読んでもその度に涙する。
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やや古めかしいSF短編集
2011/12/31 11:57
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投稿者:マシュー - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯には「初心者に最適なSF入門書」とある。どれもまずまず読みやすく、長さも短めなので、そうかもしれない。ただ一つ一つの作品はそれほど面白くないものも混じっているし、ちょっと古めかしいので、星は3つ。訳者はあとがきで「とりたてて古いと思わせる作品はないはずである」なんて書いているが、「1950年代に発表されたものでかため」て、古臭さを感じさせないなんてSFでは無理。これを古いと思わないのは訳者の年齢の問題? どの作品も娯楽色はやや薄めだが、それぞれテーマを持っている。エンターテインメント性を重視する人はやめた方が良いかと。全部で9篇。以下、そのうち3篇のあらすじ。ただし、何が各作品のテーマかは私の主観。
『徘徊許可証』:地球における戦争により、地球との通信が200年途絶えた植民地ニュー・デラウェア。たった1つの村しかないそこでは長期にわたりけっこううまくやってきた。ところが急に通信が回復し、地球から居留地調査官が派遣されるという。しかも、厳しい規律を守らなければ、異星人として扱うとの命令。急遽、昔の書物に示されている地球の有様を忠実にまねるため、それまでなかった教会、郵便局、刑務所を広場に建て、舗装道路をつくり、警察署長を任命した。犯罪者がいないので、市長は漁師のトム・フィッシャーに徘徊許可証を与えて、殺人も含めた犯罪を犯すよう指示する。文明化に対する皮肉がテーマ。
『危険! 幼児逃亡中』:シルヴァートンという町に8歳の人形好きの女児ジルが迷い込む。実は強力なサイコキネシス、テレポート、パイロキネシスなどとんでもない超能力を持つ子供だった。軍は放射性の塵をまきちらす爆弾が落ちたとして、町の人を強制退去させ、町を取り囲み、バティン大佐をリーダーとするチームを送り込む。事情を知らずチームに紛れ込んだジャーナリストゴードンがそこで見たものは、・・・。超能力と子供の幼い精神のアンバランスが生み出す悲劇がテーマ。
『ハウ=2』:人間が週15時間しか働かなくてすむようになった未来社会。時間を持て余した人たちは自分で家を建てたり、虫歯を治療したり、メガネを作ったりするようになっていた。ゴードン・ナイトは生物コンポーネントを組み込んだ「ハウ=2組み立てセット」を買い、ロボット犬を作ろうとする。しかし、誤って、最高級モデルのロボットが届く。しかも、このロボット、アルバートは、ロボット製造会社(ハウ=2セット社)の試作品で市販する意図のなかったもの。母性本能が植えつけられたロボットを造れるロボットで、次から次へと新しいロボットを産み出していく。返還を求めるハウ=2セット社との訴訟で、ゴードンは友人の弁護士リーとアルバートの造った弁護士ロボットの協力により、ロボットは財産ではなく、盗みの対象にはならない、ロボットは人だという判決を勝ち取る。アルバートはこれからどうするかを最後に語る。機械生命による世界の乗っ取りというターミネーターでおなじみのテーマ。
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二冊目の「冷たい方程式」
二冊も「冷たい方程式」を出すなら
日本で大人気「たんぽぽ娘」も再度出して欲しい。
「徘徊許可証」
皮肉の効いたドタバタもの
「ランデブー」
リチャード・マシスン、トワイライトゾーンを思い出させる
「ふるさと遠く」
ちょっと分かりにくい幻想劇
「信念」
常識に反する不思議な物事を解決する一方法
「みにくい妹」
有名な御伽噺
「オッディとイド」
全能となりうる人間が存在する理想と落とし穴
だからモンスター
「危険!幼児逃亡中」
タイトルのコミカルな感じからは想像できない惨劇
「ハウ=2」
穏やかで人間の精神的なターミネーター
そして「冷たい方程式」
ひとりの罪無き命と多くの命が天秤にかけられ
SFの舞台を利用して強烈な悲劇を描かれていれば
どうにか解決策を模索する「方程式もの」が発生するのも
理解できる。
動機の純粋さ、人の心がもたらした
何気ない行為が、払わされる思いもよらない代償を
短い物語の中で重厚に描いており
「燦然と輝く記念碑的名作」という言葉に異議なし。
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例によって会社にあった一冊を拝借して読む。
発表以来数十年もの間、「方程式もの」というジャンルが生まれるほど、
日本では愛されている一作をタイトルに持って来た作品集。
どれも秀逸なまさに珠玉の作品集に、ためいき。
古いストーリーなはずなのに、古めかしさよりも品を感じる。
特にやはり、タイトルの一作は驚きに近い感激だった。
あらすじは、おそらく数十文字で書き終わってしまうレベル。
乗組員ぎりぎりを片道しか運搬できない条件で宇宙船が、
遠く離れた惑星で起きた疫病のワクチンを運んでいる。
自分が行かなければ惑星で待っている人が全員死んでしまう。
そこでなんと、密航者が発覚。
規則では即、密航者は船外に強制退去=宇宙空間で瞬殺される。
ところがその密航者が、その星で病に倒れた兄を一目見たかっただけの、
しかもたかだか罰金だろうと考えていた10代の少女だったとしたら?
特に目新しくはないのにキラキラ輝くのは、
そのシンプルな状況と、無駄のない文章と、
そうして最後の、突き放したかのような客観的かつ殺伐とした表現につきると思う。
「冷たい方程式は満足され、彼は艇の中でたった1人になったのだ。
何か形のつぶれた醜いものが前方をとんでいた。
なんのことはない短編なのに、なんどもなんども読み返してしまった。
やられた。
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SF短編集。中でも有名な『冷たい方程式』は「人数分の燃料しかないロケットに、可愛く純真な女の子の密航者が!さあどうする?」というお話。その他も設定・話のテンポ・オチともに良質で、短編なのでSFが苦手な人にもおすすめ。
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表題作。母船から離れ辺境惑星に救援物資を運ぶ小型宇宙船。悪戯心から密航を試みる少女。しかし小艇には操縦士1人分の重量を運ぶ燃料しか積まれていない。少女を宇宙空間に遺棄することで救助を待つ6名の命を救うか、直接手を下さないことにより結局少女と自分を含めた8人全員が死ぬかの決断を迫られる男。場面設定はSFだが映画化というより二人で演じる状況劇にピッタリのテーマ。どんな奇想天外な解決策が用意されているのかと頁を捲るのももどかしく読み進める。その結末は… 善意と悲嘆の記憶。この小品を復刊する為に編まれた短編集か?
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さいごの『ハウ=2』が面白かった。王道のロボットものに税金、裁判という生々しい要素をくっつけて、非常に皮肉の効いたユーモアを醸している。
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『徘徊許可書』、『冷たい方程式』、『みにくい妹』、『ハウ=2』が面白かった。『信念』、アシモフはヒステリックでやはり好きではないと思った。
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また読めた。という理由だけで5点。
表題作はもちろん良かったけど、今回収録された作品はどれも好き。
ランデブーとか。
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SFアンソロジー。古典的名作「冷たい方程式」がメインの短編集だ。2011年に新版が出たからうれしくて借りた。
オープニングは 「徘徊許可証(ロバート・シェクリイ)」。ファンタジーっぽいお話だ。可もなく不可もなく。続いての「ランデブー(ジョン・クリストファー)」はホラーチック。オチが読めるからイマイチ。長短編の「ふるさと遠く(ウォルター・S・テヴィス)」は面白くなかったし、巨匠「信念(アイザック・アシモフ)」もどうかなぁ。
やはりお目当ては表題作「冷たい方程式(トム・ゴドウィン)」。この圧倒的に絶望的なエンディングはとにかく読み手に強い印象を与える。
そして面白くない「みにくい妹(ジャン・ストラザー)」、「オッディとイド(アルフレッド・ベスター)」、「危険!幼児逃亡中(C・L・コットレル)」、「ハウ=2 (クリフォード・D・シマック )」と続いて終わる。
要するに表題作だけのアンソロジーだが、もちろん読む価値はある。
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図書館より。
SFとファンタジーのアンソロジー。
面白かったのはロバート・シェクリイ『徘徊許可書』
大昔地球の植民地だった平和な星に、いきなり地球から調査団がやってくることとなり、人々は星が地球と同レベルであることを示すため慌てて、地球にあるらしい「郵便局」や「教会」さらには「犯罪」までつくろうとする話。
犯罪という概念がない世界で、犯罪者になるよう命令された主人公の思考のめぐりや、それに興味津々らしい市民の様子などユーモアの感じられるホラ話となっています。
犯罪に対してどこまでも真面目な住民たちの様子が面白いです。そして主人公が本当に犯罪を犯してしまうのか、とドキドキしながらも読めました。
クリフォード・D・シマック『ハウ=2』は間違って届けられたロボットを作るロボットをめぐっての大騒動を描いた話。
ロボットの人間性をめぐっての裁判や、優秀、有能なのだけどどこかずれているロボットの雰囲気がおかしく感じられました。
ラストは機械化されている社会への警句にも感じられます。
表題作の『冷たい方程式』は宇宙船に無断で密航した少女をめぐる乗組員の決断の話。
宇宙空間での人の無力さや残酷さ、人の無力さを感じさせる短編です。SFという世界観だからこそ描ける決断と感情が描かれます。
SF要素の強い作品はあまり多くなかったので、SFに興味がある人にお勧めできそう。逆にがっつりとSFを読みたい人には少し物足りなく感じてしまうかもしれません。
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本書は、同題アンソロジーの再編集版であり、旧版からの2篇に新たに7篇を加えた以下9篇が収録されている。個人的に楽しめた数作に簡単なあらすじと感想を添える。
・『徘徊許可証』 ロバート・シェクリイ
・『ランデブー』 ジョン・クリストファー
最愛の妻を失った主人公は、傷心旅行の帰りの旅船で老女シンシアと出会う。絶望の淵に居た彼ではあったが、シンシアの知性とウィットに富んだ人柄に自然と慰められる。やがて、シンシアの過去を知った彼は一縷の希望を胸に抱くことになるのだが、その理由とは…
僅か20頁に満たないながらも完結した物語です。ランデブーという表題が絶妙ですなぁ。
・『ふるさと遠く』 ウォルター・S・テヴィス
・『信念』 アイザック・アシモフ
・『冷たい方程式』 トム・ゴドウィン
緊急救助のため、ひとり辺境の惑星へ向かうバートン。燃料はもちろん片道分。決して余分な燃料は積んでいない。それがEDS(緊急発進艇)の規則だ。予期せぬ密航者が居たら、艇外遺棄だ!それがEDSの鉄則だ。だが、どうしてその密航者が年端もいかぬ少女なのだ…
似たようなプロットを抱える(テーマは正反対だが)ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著『たったひとつの冴えたやりかた』から感じた"極限の信念"なるものは存在せず、感じるのはただ無力感だけ。そして、"何か形のつぶれた醜いものが前方を飛んでいた" という言葉におおきな背徳感を覚える。そこにはひとつの悪も存在しないのだが…
宇宙の無慈悲さを、究極の形で黙示する本書は、確かに"SF史上に燦然と輝く記念碑的名作"と豪語されるべきであろう。
・『みにくい妹』 ジャン・ストラザー
ある有名なお伽噺の裏エピソード。しかし、表題は皮肉がかって笑えるなぁ。
・『オッディとイド』 アルフレッド・ベスター
・『危険! 幼児逃亡中』 C・L・コットレル
とある街に遅発爆弾が誤って落とされてしまう。爆発物の回収に出動する軍に付き添う記者ゴードンであったが、どうも様子がおかしい。その違和感は、最悪の事態への前兆であった…
手に汗握るハラハラドキドキもの。
・『ハウ=2』 クリフォード・D・シマック
以上9篇。
ロバート・シェクリイやアイザック・アシモフ、アルフレッド・ベスターなど見知った面々の作品を読めて楽しめましたよ。
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9月の8冊目。今年の150冊目。
150冊目にふさわしい1冊。SFの短編集なんだけど、すごい良かったです。この前読んだSF短編集と比べると、いろいろわかりやすい。伝えたいテーマもわかる。ともすると、日本のSF大丈夫か?と素人ながら安易な疑問が浮かんでしまうほど、この本に収められているものは、何かしら感じるものがあると思います。
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んんん? 何で新刊? と思ったら旧版と同じで、いくつか新しい話を追加しての新装版だった。 まぁどれもSFの王道的な作品で、紹介文通り入門にも良いのじゃなかろうか。