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紙の本
20世紀をつくった経済学 シュンペーター、ハイエク、ケインズ (ちくまプリマー新書)
著者 根井 雅弘 (著)
シュンペーター、ハイエク、ケインズという20世紀経済学の3巨星に的を絞って、彼らの思想や理論をわかりやすく解説するとともに、それらが21世紀を生きる私たちにどんな示唆を与...
20世紀をつくった経済学 シュンペーター、ハイエク、ケインズ (ちくまプリマー新書)
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商品説明
シュンペーター、ハイエク、ケインズという20世紀経済学の3巨星に的を絞って、彼らの思想や理論をわかりやすく解説するとともに、それらが21世紀を生きる私たちにどんな示唆を与えるのかについて考える。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- まえがき
- 第一章 二十世紀のあけぼの−資本主義の本質を求めて
- ケインズとシュンペーター/シュンペーターが育った世紀末ウィーン/マルクス主義の刺激/ワルラスの一般均衡理論/「静態」から「動態」へ/「新結合=イノベーション」とは何か?/旺盛な知識欲−ベルクソンからの影響/独特な不況観/ベルクソンの「内的自我」と「外的自我」/「企業者」の資質/ニーチェの影響も
- 第一章の参考文献
- 第二章 社会主義の壮大なる実験−ハイエクの異論
- 「マル経vs近経」という図式の消滅/社会主義下での経済計算は可能か?/ハイエクの知識論/マルクス経済学はなぜ知識人を虜にしたのか?/「真の個人主義」と「偽の個人主義」/社会主義こそが「反動的」だ!/ハイエクの徹底した自由主義/「計画化」は全体主義につながる…/道徳的問題と物質的問題/シュンペーターの「企業者機能」の変質/資本主義は衰退するのか?
- 第二章の参考文献
- 第三章 資本主義の賢明なる管理を求めて−ケインズの思想と理論
- ひときわ著名なケインズ/「自由放任主義」の終焉/ケインズは「古典派」とどこが違うのか?/有効需要と「非自発的失業」/実は「修正された自由主義」の支持者/サムエルソンの「新古典派総合」/「抽象的な正義」よりも「実質的な便宜」を/ムーアの「有機的統一の原理」/ハイエクの誤解/「不確実性」とは何か?/「貨幣」が将来の「不安」を鎮める
- 第三章の参考文献
著者紹介
根井 雅弘
- 略歴
- 〈根井雅弘〉1962年宮崎県生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。同大学大学院経済学研究科教授。著書に「現代イギリス経済学の群像」「経済学の歴史」「経済学はこう考える」など。
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紙の本
この国を正すための知
2012/02/10 04:17
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
このような本が「ちくまプリマー新書」という児童書にも分類される種の本として出版されることは喜ばしいことである。
大人でも経済学の基本が理解できていないことが、政府や日本銀行の思惑にまかせた政策運営を許し、つまるところ、現在の長期的な停滞状況を生んでいる。
もっと国民から声があがるべきであり、そのためには、幼少の頃からこのような書に馴染むことは非常に重要である。
20世紀は多くの経済学者が排出し、多くの経済理論が、時により支持を奪い合いながら勢力を大小させながら繰り広げられてきた。
中でも、代表的な経済学者であるシュンペーター、ケインズ、ハイエクを知ることは、確かに今後のこの国のあり方を考える上で有用であろう。
イノベーションという言葉も、今では結構聞き慣れるようになった。言葉の意味が注書きで書かれることも少なくなってきた。
イノベーションを追い求めることが、将来的に持続可能な社会をつくっていく上でも重要であることは間違いない。しかし、われわれはシュンペーターが想定したような本当の意味でのイノベーションが理解できているか。
シュンペーターの言う「新結合=イノベーション」について、本書では次のように解説される。
1 新しい財貨の生産
2 新しい生産方式の導入
3 新しい販路の開拓
4 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
5 新しい組織の実現(例えば、トラストの形成や独占の打破)
そして著者の解説。
『「イノベーション」をあまり狭く解釈してはならないことがわかるでしょう。というのは、わが国の一部に、「イノベーション」の訳語として「技術革新」という言葉をあてる人たちがいるからです。「技術革新」では、五つのうちせいぜい二つ(1と2)くらいしか網羅できないことに注意してください。』
本当に求められるイノベーションの意味するところを、もっと手広く感じ取る感性を養う必要がある。
そして、われわれの今後の社会はどこに向かうべきなのか。われわれが進むべき社会は、資本主義、社会主義といった二分法で選択するのではなく、おそらく、その中間を、時代の状況に応じて漂いながらつかみとっていく必要があるのではないか。自由と計画の中間を。
そのためにも、ケインズとハイエクの理解は欠かせない。そして両者の間には、われわれが安易に認識しがちなほど両極端の対立はない。
本書より。
『ケインズの場合は、「計画化」とはいっても「総需要管理」というマクロ経済の分野での穏健な経済管理を意味することに注意しなければならないのですが、ハイエクの『隷属への道』を読んだ感想を著者に書き送った手紙のなかには、次のような趣旨の内容が書かれていました。-「自由」を尊重するかどうかは「道徳的」な問題であり、この点では、自分もハイエクと同様に「自由主義者」といってよい。しかし、大恐慌やその他の「物質的」な問題は、市場の自由な働きに委ねるだけでは解決することができず、政府による慎重な経済管理(ハイエクの言葉では、「計画化」)が必要である。ただし、経済管理を担う者は、ハイエクが尊んだ「自由」の価値を誰よりも理解しておかなければならない。さもないと、「計画化」が「隷属の道」へとつながるというハイエクの心配が現実のものとなるかもしれない。要は、「道徳的」な問題と「物質的」な問題を混同しないことであると。』
自由の価値を十分に理解し認識し把握したうえでの、管理された計画化を柔軟に選択できる手腕が求められているのだ。