投稿元:
レビューを見る
著者は自閉症ではあるが、実績のある動物学の研究者。その筋では有名人とは、読了後にぐぐって判った。
人間と接する、あるいは一緒に暮らす動物がどのように感じているのか、動物学の最新の研究成果と、著者の鋭敏な観察力から上手くまとめている。特にイヌのアルファリーダーというものは、もともとの狼では不用のものであって、血縁関係が無い狼やイヌ達が何らかの理由で群れを形成したときに必要なもの、と説明しているのは新鮮だった。
投稿元:
レビューを見る
テンプル・グランディンは『動物感覚』の著者。
自閉症であり、本書の中にも自閉症の人が抱える問題などにも触れている(少しだけ)。
犬、猫、牛などがどのように環境を捉えているのか。彼らの性質と人間の性質の違いはどこにあるのか。これらに対する答えを書いています。
動物に対する著者の繊細な感覚が伝わってきます。
投稿元:
レビューを見る
ペットのみならず、家畜への福祉という考え方自体を持っていなかったので、まず、驚いた。確かにストレスが溜まり、恐怖に怯えているような環境で育てられた牛、豚、鳥の肉が美味しくはないのだろうし、私たちが与えた命であるにもかかわらず、粗末に扱うとはあってはならないことだろう。
犬や猫については、そのいずれもを同時期に飼っていたので、本当に興味深く読むことができた。特に、犬は幼形成熟であり、猫はそうではないこと。それによる両者の違いについて学ぶことができたように思う。
動物が感じることをここまでわかりやすく、詳細にまとめられていることが驚きで、作者の思いとパワーを感じることができた。
投稿元:
レビューを見る
やはり動物福祉に関しては、アメリカの方が進んでいると感じた。欧米によく見受けられる過激な動物愛護ではなく、動物がいて初めて人間が豊かな暮らしを享受できること、その上で動物が受ける苦痛をどうすれば最小限にし、「共存」できるかを論じている。日本でもこのような分野の実用化が進めばいいと思う。
投稿元:
レビューを見る
動物の常同行動が必ずしも動物の幸福度が低いことの証明ではないことや、オオカミの群れはリーダーアルファにより統率されているなど、これまで当然と思っていたことが次々覆されるスリリングさ。動物とうまくつきあってゆきたいと思っている動物好きな者にとって、勉強になることが多い1冊。
投稿元:
レビューを見る
2012年6月27日の新聞に上野動物園のパンダの妊娠の兆候の記事
「飼育係が『カチッ』と音をさせ、それを合図にパンダは檻の穴から前足を差し出すよう訓練する。上手にできれば、ご褒美のリンゴを与える。この訓練により、シンシンが進んで出した前足から、スムーズに採血できた」
以前は麻酔を使って採血したり、こぼれた尿を吸い取って検査したりしていたそうだ。
この本の内容の一部とパンダの事例が丁度かぶって 記事に釘付けになりました
この本にもあったが、動物の扱い方で動物にとってよいorわるい環境に変えられるのを見事に体現した事例な気がした
あと、パンダの扱い方は中国のノウハウを取り入れたそうだ
中国のほうが動物の扱い方が進んでいるのかな?
投稿元:
レビューを見る
今まで読んだ本では感じられない動物に対する接し方の疑問が解決できて納得出来た。
特に、家畜と人間との関係は大変興味深く同感出来た。
投稿元:
レビューを見る
「動物感覚」や自閉症に関する活動で著名なテンプル・グランディン氏の新作。脳、特に本能・情動を司る脳幹の視点から、動物にとっての「幸せ・QOL」とは何かということを、犬・猫、野生動物と動物園、家畜・食肉用動物の三つについて論じている。犬や猫を飼う上では、何に「幸せ」を感じるのかは知っておいた方が良いと思った。また、食肉用動物の「幸せ」はどうあるべきか、ということはすごく考えさせられる。まあ、食べるけど。前作「動物感覚」とあわせてお勧め。
投稿元:
レビューを見る
原題はAnimals Make Us Human(イギリス版ではMaking Animals Happy)
動物の情動について主に探索と恐怖・怒りに焦点を当て解説している。イヌ・ネコなどのペット、動物園の動物、また牛などの家畜について、どのような環境が動物にとって幸せなのかを説いている。
動物に感情があるという立場は過剰な動物擁護に走るという印象だったが、筆者の考えは違う。飼育されている動物と人間は共生の関係にあり、人間はその動物を飼って何らかの利益を得ている以上はできる限り動物が良い環境を提供する義務がある。
アメリカでは家畜の飼育施設の監査の動きが広まってきてるようだ。動物がかわいそうだという感情論ではなく、動物の情動に配慮することが生産性の向上などの実際的な利益をもたらすことが広く認められれば、この動きはさらに拡大するだろう。
投稿元:
レビューを見る
一番印象に残ったのは
•犬は大人になりきれていない(幼児性が残ったままの)狼
•猫は超小型の虎
なるほど
投稿元:
レビューを見る
猫と暮らして、猫に幸せをもらっているが、猫は幸せなのだろうか?と思っているので興味深く読んだ。
犬の章はすごく参考になる。犬を飼いたい人はまずここを読むべき。どんな犬がどんな特徴を持っているのか、多頭飼いはどうなのか、よくわかる。犬がもとは狼であることからその違いと共通点に触れたところも面白い。
猫に関してはあまり参考にならなかったが、牛、馬、豚などの家畜や動物園の動物などにも書かれている。
馬は非常に臆病であり、恐怖心を抱かせてはならない書かれているところを読むと、その馬を戦場に連れていく、鞭や拍車を当てるということを行ってきた人間の残酷さを思い知る。
それにしてもこんなに臆病な生き物が戦場で人間の要求に簡単に従うものだろうか?そこのところを研究している本があれば読みたい。
どんなに痛みに強く、肝の据わった生き物でも「負の強化」(罰や暴力で従わせること)で躾に成功することはないというと繰り返し書かれていると、人間だって動物だもん、子どもの躾も同じだな、と思う。
だから、子どもを育てる人にもいい参考書だと思う。
投稿元:
レビューを見る
T・グランディン、C・ジョンソン『動物が幸せを感じるとき』NHK出版、読了。人間がよかれと思うことが動物にとってそうなのか。本書は一つの解答。苦痛や不安を避けたいという情動は人と動物に共通する。動物たちが幸せに生きるための条件、人間がそれを理解する為の要点を分かり易く紹介する一冊。
投稿元:
レビューを見る
……子犬の性格を見分けるテストで私がよく使うのは、子犬をそっと仰向けにして、それからその胸を手で軽く押さえつけるものです。……手を胸に軽く乗せていると、やがて子犬は起きあがろうとしてもそもそしはじめるので、このとき、起きあがれない程度の圧力をかけます。……手を離したときに子犬がどうするか、よく観察しましょう。寝返りをうち、「射すくめるような」目つきでこちらをにらみつけ、二度と近寄ってこない子犬もいます。そのような犬は、あまりおすすめできません。何ごともあまり深刻に受け止めない犬がいいでしょう。ストレスを受けて、恐怖で目をかっと見開く犬も考えものです。……このように扱われても、ちょっとした遊びのようなものと受け止める犬がおすすめです。
イルカが強姦するって話がしょうげきだった。
投稿元:
レビューを見る
動物が幸せでいるために必要なものは、身体と情動を満足させる環境と、好ましい精神状態を保つための努力。
人間は動物の一種に過ぎない。自殺する動物は他にもいる。ニアラは臆病な動物で、些細なことで恐慌状態に陥り、恐怖から逃れるために自殺することがある。
『マールのドア』テッド・ケラソテ
投稿元:
レビューを見る
理想主義に行き過ぎない、現実を見据えた動物愛護。筆者は犬猫の飼い方以外の、家畜の屠殺処理等についても多くの章を割き、動物が幸せを感じながら生き、生を全うする方法ついて真摯に考えている。