投稿元:
レビューを見る
大震災・原発事故関連の本だが、これは東京新聞原発事故取材班がまとめたもの。
内容的には一般的な構成で、事故発生と政府・東電の対応、原発安全政策、原子力政策の歴史、原子力船むつの失敗、最終処分場を巡る動き、と云う章立てで原発事故を契機に随所で指摘されている話題を一通り網羅したものとなっている。が、一方では東京新聞だからという独自の視点や目新しさは特に無い。強いて言えば記憶の彼方に去っていた原子力船「むつ」の話題くらいだろうか。
それにしても事故から一年が経つこの時期に各新聞社の取材陣から原発事故関連の出版が相次いでいるようだが、何れも自社媒体以外の出版社から出ているのは何故だろう?「メルトダウン」は朝日新聞系列アエラの記者の著作だが講談社から、「プロメテウスの罠」は朝日新取材班作で学研パブリッシング、そして本書は東京新聞取材班作で幻冬舎から。自社出版局では事故発生一年後のこのタイミングで出版するには時間的に対応が出来なかったと云う事なのか、それとも自社出版局では出せない何か理由があるのだろうか、ちょっとばかり気になるところだ。
それとまた上述の各書籍に共通なのだが、事故後の報道は「大本営発表の垂れ流し」という批判も随分有る訳だが、それに対する検証または自己分析は皆無である。新聞社として自らの報道姿勢・編集の過ち等を検証する本は出ないのだろうか?政府・東電・各省庁の作為・不作為を検証するものはあっても報道を検証しないのは片手落ちのような気がするのだが、日本のマスコミにそこまで望むのは無理かな。
投稿元:
レビューを見る
東京新聞の原発事故に関するレポートの総集編。一年たって、やっとこういう風にまとまった形での本が出てきた。読むと、テレビやPCの前でニュースを追いかけてた、当時の緊張感が甦ってくる。
次は朝日新聞の「プロメテウスの罠」を読む予定。
投稿元:
レビューを見る
3月11日の事故後の初動の検証はもちろんのこと、原発導入に至った経緯など導入時期からずさんだった原発の管理について書かれている内容は非常に興味深い。
やっぱりこんなものは許してはいけない、とつくづく感じた一冊だった。
投稿元:
レビューを見る
ドラマで見た。
ずーっと何なの?って感じが続いて楽しい。ほんとにあり得ることかもーと思うと怖いけど、最後は期待を裏切らない感じで終わってる。
ある記憶喪失の男女が知らない部屋で目覚める。手元には大量の札束と拳銃と血のついたタオル。近くで起きた拳銃による強盗殺人事件。そして腕にあるlevel7の刺青。
とりあえず逃げ回る二人はある男性に助けてもらい、記憶を取り戻す助けをしてもらう。
しかしそれはすべて男性の筋書き通りで復讐であった。たどり着いた黒幕の病院の院長はある薬を開発し、故意的にアルツハイマーを起こし、老衰という形で合法的な殺人を行っていた。その最終段階がlevel7であった。二人はその薬を打たれていたのだ。記憶を取り戻した二人は元の恋人に戻った。
投稿元:
レビューを見る
本書は、東京新聞取材班による福島原発事故の本であるが、その迫真性は凄い。
昔タワーリングインフェルノというパニック映画があったが、本書の「福島原発の一週間」は、それをはるかに超える迫力満点のパニックドキュメンタリーだと感じた。
その詳細のなかでSBO(ステーション・ブラックアウト.全電源喪失)という事態を多くの専門家の誰もが想像もしていなかったことが明らかにされてる。
また、非常用バッテリーがつきる中で弁を開けることすらできずに、車のバッテリーを集めるシーンや、想定されていない事象の連続にマニュアルがまったく役に立たないシーンの描写には、愕然とする思いがした。
中央制御室での6人の運転員の308~678ミリシーベルトの被爆(今回の事故に限って特別に引き上げられた被曝限度は250ミリシーベルト)を読むと、まるで特攻のような犠牲に感動すら覚えるが、そもそもこれは地震と津波を「想定外」とした東電の「過失」ではないのかとの思いを持った。
本書で取材した多くの人々が、ありえない現実に愕然とした様子が本書でわかる。
多くの専門家と政治の責任者の皆が誤った「安全神話」を信奉していたことは、一体なぜなのかという思いを持ったが、「国策推進の陰で」を読むと、「原発」を地方に設置するために国が札束で頬をひっぱたくようにして地方自治体を懐柔する様子が詳細に描かれている。
本書は全体として、原発に否定的なトーンが高いようにも思えるが、これは現実に起きた事故を素直に取材すると否定的にならざるを得ないのだろうと思った。
本書を読むと、人間はこれだけの巨大技術をまだ制御しきれないことは明らかであると思えた。
「福島原発の一週間」の最後には菅のインタビュ-として「ファースト1ウィークは、本当に日本の国がある意味、国家として成り立たなくなるか、成り立つかの瀬戸際にあったと思っている」とあるが、国家的危機が起こるようなリスクがある原発はそれだけの価値があるのだろうかとの思いも持った。
ただ、後半の「安全神話の源流」や「X年の廃炉」は、ちょっと内容のツッコミが浅いようにも感じ、物足りない。
投稿元:
レビューを見る
この本はかねてから気になっており、ずっと読みたいとは思って おりましたが時間ばかりが過ぎてしまい、読むのがすっかり遅れてしまいましたが、こうして読み終えております。東京新聞の取材にかける執念を感じます。
この本はかねてから気になっており、ずっと読みたいとは思っておりましたが時間ばかりが過ぎてしまい、読むのがすっかり遅れてしまいましたが、こうして読み終えております。前回、ここで挙げた朝日新聞の取材班の書いた「プロメテウスの罠」も読み応えがありましたが、東京新聞の総力を結集して書かれた本書は「重み」が違うなと読み終えた後の印象でございました。
「3・11」―あの惨禍である2011年3月11日に戻ったような気持ちになり、まずは高さ15メートルの津波にはじまり、震災直後には既に発生していたといわれる大量の放射性物質漏出、全電源喪失…。そしてメルトダウン。すべての危機は警告され、握り潰されたという事実を丹念な取材によって、事実を重ねていくという手法によってあぶりだされていく筆致に読みながら引き込まれてしまいました。僕は東京新聞の読者ではありませんが、伝え聞いたところによると本紙は震災直後から、絶大な力を持つ東京電力や「大本営発表」連発の日本政府におもねることなく「ありのまま」ノ原発事故の真実を報じ、国民からの絶大な支持を得たといわれております。
僕は東京新聞連載当時の「レベル7」を大幅に加筆して単行本化されたのでしょうが、どこがどう加筆、訂正されたのかは僕にはよくわかりませんが、読み応えのある内容に偽りはありません。第一部「福島原発の一週間」では福島第一原発の危機や周辺自治体の混乱。東電本店の修羅場とも言えるような世界。そして首相官邸の緊迫の一週間を同時進行でリアルに再現され、読みながら改めて「あの日、何が、起こって、いたのか?」ということをまざまざと思い知ることができました。
さらに第二部以降では、事故直前から日本に原発が導入された1950年代にまでさかのぼり、東京新聞の執念の独自取材によって明らかにする「国策」のなのもとに原発が導入され、54基の原発が日本に建造され「トイレのないマンション」とまでにいわれるようになりながら「現在」までその恩恵を享受してきたという。事実が記されており、改めて自分の無知さに気付かされました。
福島第一原子力発電所の破局的な事故は決して「みんな」のいうところの「想定外」ではなく、多くの矛盾を抱えたまま突き進み、起こるべくして起きた。そういう結論しか僕は出てきませんでした。本書は原発と日本人の関係を描き切り、先の見えないいまだからこそ多くの方に読まれるべきであり、現代の歴史に刻まれるべきノンフィクションのひとつであると、個人的にはそう思います。
投稿元:
レビューを見る
反原発メディアの旗手である中日東京新聞の原発事故連載。後書で反原発スタンスを明確にしているものも、内容は理性的。
投稿元:
レビューを見る
福島第一原発事故の新聞連載記事をまとめた作品は数冊読んだが、
本書が一番まとまりがいいかも。
第一部は「福島原発の一週間」とし、事故発生からの第一原発の現場、
東電本店、周辺自治体、官邸の動きをドキュメントで追っている。
第二部は「汚染水との闘い」。原発から溢れ出る汚染された水。それを
いかに止めるか。そして、いかに浄化するかの試行錯誤。
第一部・第二部共に、東電のテレビ会議システムでの現場とのやり取り、
作業員の証言を絡めて迫真のドキュメントとなっている。
第三部は「想定外への分岐点」。これは各種メディアでも取り上げられ
ているが、大津波の想定がいかされなかった経緯を追っている。
東日本大震災は、地震・津波・原発事故という複合災害だった。誰も
そんな事が起こるとは想定していなかった。
第四部は「「国策」推進の陰で」、第五部は「安全神話の源流」、
第六部は「X年の廃炉」。
前半の福島第一原発事故の部分は他の作品でも丁寧に描かれている
が、本書は後半の三部が読みどころだ。
原発立地自治体や最終処分場へ名乗りを挙げた自治体への接待攻勢、
日本に原子力発電が誕生する過程、アメリカ・スリーマイル島原発事故
以降の廃炉までの経過を綿密に描いている。
特に日本での原発導入の過程は必読。そもそもの初めから安全よりも
政治的に利用されたんだなぁ、正力松太郎によって。
研究者からは安全性を重視する為に「まず実験炉を」との声が挙がる
ものの、「とにかく早く導入しちゃえ!」って感じだ。
これまで研究者のみにしか公開されなかった資料や、情報公開請求
までして丹念に取材された内容である。
スリーマイル原発は廃炉までに10年かかった。福島第一原発は廃炉
までに30~40年とも言われている。
廃炉になっても「核のゴミ」は残る。それは福島第一原発だけではない。
現在、「反原発・脱原発」を叫ぶ運動が各地で繰り広げられているが、
原発を停止しても大量に残る核のゴミの問題がある。
そして、商業炉に比較すると規模は小さいが実験炉も各地にあるのだ。
そこから出る核のゴミをいかにするか。原発事故が収束しても、日本に
はまだまだ大きな問題が残っている。
投稿元:
レビューを見る
『私たちが連載「レベル7」で目指したのは、あらゆる議論の前提となる正しい情報を伝えることだった。何が起きたのか分からなければ、是非を判断しようがない』 少し長いあとがきより。第一部「福島の一週間」では、その緊迫した事態に、真夏なのに、背中が凍りつくような恐怖を覚えました。事故はまだ始まったばかり。これからのエネルギー問題を、考えるための一冊として。
投稿元:
レビューを見る
全体的にあおりと主観が多い本。
ほかの本と併せて読むことを進めします。(あまり参考になりませんでした…)
投稿元:
レビューを見る
科学的な根拠に基づいた説得力のある訴えで警鐘は鳴らされていたのにも関わらず中途半端にされた安全対策の結果が福島原発事故、と殊更に感じた。新聞連載時にも読んでいたけど、まとめて読むことによって新たに感じることもあった。「福島原発の一週間」「汚染水との闘い」「想定外への分岐点」「「国策」推進の陰で」「安全神話の源流」「X年の廃炉」
投稿元:
レビューを見る
章によるが、段落とかの繋がりが悪くて読みにくい。事前知識がないと読むの大変だと思う。情報資料としては役立つと思う。良い所もいくつかあったけど、読み終わって時間が経ってしまって忘れてしまった。
投稿元:
レビューを見る
現場の混乱ぶりに
緊張しながら読んだ。
かなり分厚い本。
隅々まで読んだ。
おそろしすぎる現実だった。
フクイチは
収束してなんかいないのに
再稼働に動く・・・。
また同じ事故がおこったら
どうなるのか…
投稿元:
レビューを見る
新聞社による信頼性が高い情報がまとめられた一冊。
安全指針が、対策を実施しないための口実として利用され、事故後は「想定外」「責任無し」の根拠とされた。
投稿元:
レビューを見る
学生時代に読んだ宮部みゆきさんの同名の小説では、『レベル7まで進めば、もう戻れない』という言葉が書かれていたように記憶している。福島原発事故のルポルタージュである、本書を読んでいる途中に、何度この言葉が脳裏に浮かんでは消えたことか。
第1章の『福島原発の1週間』は比類ないほどの緊迫感がみなぎる。淡々としたドキュメントは日本の存続がかかった激しい現場だった。
同じ時間を三重県で過ごしていた私にも強く伝わってくる。
風向きと逆の方向に逃げるしかないとラジオがアナウンスを繰り返す。
絶望的な状況の中でアンパンマンのマーチが流される。その時、進行する事態と向かい合っていた人々の様子が伝わってくる。
迫力のあるルポルタージュが読めることはルポ好きにとって幸せなことだと思うが、最悪の事故をテーマに読むことは不幸なことだったんだと思う。
最終章『X年の廃炉』を読むころには、『もう戻れない』の思いは頭の中でぐるぐる回っているだけではなく、口をついて外に飛び出す。