紙の本
時間封鎖の続編
2014/03/04 18:21
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投稿者:k - この投稿者のレビュー一覧を見る
複数の視点と複数の時間で並列して話を進行してく。技術的には本編よりも上がっているが、エンディングが見えてしまったので本編のThe Sense of Wonderは維持できなかった。壮大な構想と緻密な作品構成はSFファンであれば楽しめます。
紙の本
本格的SF
2017/11/11 13:56
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投稿者:オレンジ猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三部作の1作目「時間封鎖」の世界にどっぷりはまり、2作目の「無限記憶」では少し肩すかしをくらった感があったが、3作目のこの「連環宇宙」では、しっかりとその世界観を楽しめた。エンディングのシーンはまるで、宇宙への限りない憧れが文章になったような、アーサー・C.クラークの「3001年終局の旅」の読後感に近いものがありました。大満足の1冊です。
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「時間封鎖」「無限記憶」ときての3作目!
遠大な時間の流れを上手く使っている。
1万年の時を経て繋がる2つの物語。
SFというものを存分に楽しませてくれる。
イーガンも面白いが、こちらの方が個人的には読みやすい。
完結編としても納得のものであったと思う。
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スピン三部作完結。仮定体に対してどうしても期待してしまっていた、知性のようなものはすでに存在せず、そこにあるのはただのシステムにすぎない。ネットワークに接続された人々の集合的な良心であるとされるコリュパイオスも結局はただの仕組みに過ぎず、一人の人間が身を心を削りながら選択して来た生こそが尊い。宗教やシステムに依存せず、しんどくても自分の選んだ道を信じろって事なのか。
でも、それに対して最後アイザックがタークに与えた他の可能性って言うのは、矛盾しないのかな。クロノリスもそうだけど、ウィルスンは時の流れをいじる事で人の生を描くのが上手い。
PBを先に読んでいたけど、英語だと話は追えても細かい機微が読み取れてないのを実感。
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首を長くして待っていた3部作小説(「時間封鎖(SPIN)」、「無限記憶(AXIS)」)の最終作です。原題のVORTEXという単語からすると邦題のニュアンスが若干違うように思えますが、今回の3部作の舞台と結末の宇宙観から考えると「連環宇宙」というのは納得いきます。今回に限らず3部作に共通して、邦題の付け方には何となくセンスの良さを感じますね。
今回の舞台もスピン封鎖が解けた地球が舞台で、第二部より少しだけ時間が進んでいるパートと、1万年後の地球でのストーリーが交差する構成で物語は進んでいきます。1万年後の世界は、2部で登場した主人公の一人であるターク・フィンドリーの手記として語られており、それが地球の時間軸とどう絡むのかは最後まで分かりません。内容は舞台はもちろん1万年後の地球という設定も十分にSFなのですが、どちらかというとどちらの舞台においても主人公の人生ストーリーの面があり、単純なSF小説にはない厚みがあると思います。これは3部作を通じての共通点なのですが、この作者の特徴であり、単なるSF小説で終わっていないストーリーとしての面白さが強みなのでしょう。
最後の仮定体の謎というよりは正体は、ここまで読み進めるともう大体が想像ついてしまっている内容の反復なのですが、それでも宇宙の気の遠くなるような広がりとそれを克服しようとする文明の希望みたいなものが集約されている感じが分かります。そこら辺が仮定体という存在を持ち出した作者の狙いであり、3部作を通してのテーマという感じがしました。
最初の時間封鎖から本当に長い旅をしてきた感じがしますが、久し振りに楽しめた長編SFでした。この3部作の最後で描かれているアイザックが俯瞰する宇宙の終わり(始まり?)は、現代宇宙物理学に基づいた宇宙の終焉と思われますが、いつも思うのはこの宇宙も気の遠くなる時間の果てに消滅するのかと思うと何とも複雑な気分ですね。
ロバート・チャールズ・ウィルスンはまだまだ日本ではマイナーなようですが、他に翻訳されている長編もあるようなので、また楽しみにしたいと思っています!
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今の物語をしっかりと読ませてくれるから充実感がある。
クライマックスでは、超マクロな SF 的カタルシスへ誘われる。
この 3 部作は個人的な殿堂入り決定。
素晴らしかった。
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三部作の完結編。時間封鎖の出来がよすぎて、無限記憶でトーンダウン。連環宇宙でなんとか着地といったところ。
最後、タウ・ゼロやディアスポラっぽかったけど、しゃーなしですね。
うまくまとめてあった。
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大期待の三部作完結編。
最初の「時間封鎖」はかなりはまってしまい、これはすげぇと思ったのだが、続く「無限記憶」は人間ドラマ臭さが鼻につき意気消沈。そこでこの完結編の登場を待望していたわけ。
結論から言うと、「時間封鎖」の感動はないものの、謎に包まれていた「治世体」のひとつの会社がなされたことが一番の収穫だろう。クラークらが書くオーバーロードやオーバーマインド、最近ではバクスターが書く魁種族とは違ったアプローチだ。かといって、イーガンの世界でもない、なんか悪く言えば中途半端な、うまく言えば絶妙のバランスにたつ知性体像かな。
本シリーズにおいては、ある意味で知性体は存在しない。単なる科学技術の末裔。自意識を持つことはない。それを知性体とは呼ばないという方向の道筋。その解釈好きだなぁ。大風呂敷っぽく時間のコントロールとかが四次元の行き来などが出てくるのが少し幼稚な感じがするのだが、それでも機械は機械で知性体ではないというスタンスが好きだ。
長い本だが、1日で久しぶりに読みきったことからも、物語としてはかなり読みやすくテンポも良い。登場人物が少ないから筋が理解しやすいし、傑作とはいえないにしても読んで損はないと思う。
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三部作を1冊として評価5.楽しかった。軽すぎる(スケールは大きいのに)きらいはあったものの、エンタテイメントとして良質。孤高を選んだ新機械有機生命体アイザック少年は仮定体の切り離された自我と呼んでもいいかも。アイザック(涙)
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どういう設定か、3部作の最後で、やっと、理解できました。
最近のSFの最後の設定として、
やはり、この宇宙の上の次元に行くと言うことになっていました。
なんか、少し、荒唐無稽が、現実離れが強い感じがあり、
少し、ばからしい感じも持ってしまった。
また、最終的には、既存知生体が主導権を握るというのも
ハッピイエンドで、ちと、幼稚で、ある感じも持った。
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2012年12月 02/95
3部作の3作目。難しくてよくわかんないところもあるけれど、おもしろかった。作家って頭良いなぁ。
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ネタバレ注意:面白いよ~最後の壮大さももう目が眩みそう・・・仮定体の機械的ネットワークの集合知という正体も凄いですね。小さな蝶となりヴォックスを食い尽くす場面もいいな~。ヴォックスの人体にノードを埋め込んだネットワーク社会の空恐ろしさも面白かった。悠久の時の流れに思いを馳せることができました。世界の流れに立会いたいという願望が少し満たされる体験ができる本でした。三部作通して傑作だと思う。これで2013年版SFが読みたい海外編ベスト10中9冊読んだ。あとは「心のナイフ」なんだけど・・読んだ方が良いですか?
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仮定体三部作の完結編。とはいえ前二作についてはほとんど覚えてない。でも十分楽しめた。最後のほうの辻褄合わせは別に無くてもよかったかなとは思ったけど。
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時間封鎖・無限記憶 からつづく三部作の最終巻。
宇宙の創造とは何を意味するものなのか?どのような恩寵なのか?全てを識ることを翹望する末にたどり着いた応えは、正にその裏返しのような羨望でしかなく無限に続く意識の探求でしかありえなかった…。
しかしそれを知覚できるのは正に1個の知性であり、またそれにちいさな波紋を残せるのも1個の良心なのだろう…納得できる終わり方でした。
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『時間封鎖』三部作の第三部。
正体不明の知性体である仮定体により時間の流れを減速する障壁で覆われ、40億年後に障壁が解除されるとともに、他の星系の居住可能な惑星に通じるゲートが開かれた地球。『時間封鎖』の結末から30年後、『無限記憶』の舞台よりは前の時代。
ホームレスの精神障害者を保護する施設の精神科医サンドラのもとに、警官ボースによって連れ込まれた少年オーリン。彼は奇妙な手記を持っていた。それは仮定体の暫定ゲートに飲み込まれ、1万年後に再生させられた男の手記である。そんなとんでもない内容の手記を少年が自分で書いたというのだ。あたかも未来からの通信を受信したかのように。
1万年後の男とは『無限記憶』の主人公タークである。彼はそこで幾多の惑星がゲートによって連環された世界の中、地球を目指して進む都市国家ヴォックスに保護される。ヴォックスの人々は地球に行けば仮定体と合一できるという宗教のようなものを持っている。そしてまた人々は脳とコンピュータを直接接続するネットワークによる民主主義を実現している。しかし皮質系を結ぶ皮質系民主主義者と辺縁系を結ぶ辺縁系民主主義者とは対立しており、ヴォックスは攻撃を受ける。しかも彼らの目指す地球は環境汚染ですでに人の住めない惑星になっているという話もある。
他方、サンドラはオーリンの担当をすぐに外されてしまう。サンドラの上司はオーリンの扱いについて何かの利害を持っていてサンドラを遠ざけようとしているように見える。オーリンに対して関心を抱くボースは味方のように思えるが、彼も何か隠された意図を持っているらしい。
話は1万年を隔てたカットバックで進む。仮定体に翻弄される人類の行く末が大きな物語。1万年のあっちとこっちで、集団と個人の対立が描かれているのが、小さな物語。SF的にはコンピュータに接続された民主主義というディストピアが現代的な問題意識を孕んでいて面白いが、仮定体の正体はおおむね『時間閉鎖』で推測されており、どんでん返しがあるわけではない。終盤向けて話を大きくしていくのも、似たような話があったなあという感じ。1万年を隔てた物語がどのように絡んでいくのかだんだん見えてくるとともに、双方の時間軸で事態が緊迫性をましていくというプロットのうまさで読ませるのではあるが。