紙の本
訳がこなれていて読みやすい
2013/10/17 22:09
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マリア・ゴメス - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前他の訳者でこの小説を読んだことがあります。そのときは難解でなかなか読み進むことができず、思わせぶりなくせに怖くもおもしろくもないなーという感想を持ちました。
ところがこの新訳では、前回とはうってかわって読みやすく、なんと一晩で読み切ってしまったのです。日本語がこなれているためでしょうか、情景をまざまざと頭に描くことができ、ストレートに怖さ、おもしろさが伝わってきました。
光文社古典新訳のシリーズを読むのはこれが初めてですが、なるほど、噂にたがわぬ読みやすさでした。
投稿元:
レビューを見る
ひええ。おそろおもしろい。イギリス。お屋敷。家庭教師。ひたひたと忍び寄る恐怖。恐ろしいのは、亡霊か、人間か。みんな大好きイシグロ作品でお馴染みの信頼感がある土屋訳。圧倒的に美しい日本語。読書会の課題本にしたい。
(再読)一日で二回も読んでしまった本は久しぶり。
投稿元:
レビューを見る
訳:土屋政雄、解説:松本朗、原書名:THE TURN OF THE SCREW(James,Henry)
投稿元:
レビューを見る
なんだろう、天使のような子供たちが一転、悪魔のような振る舞いを見せ始める、というモチーフはこの作品からなんだろうな。
確かに恐怖を感じるかも知れない、先生なような潔癖そうな人物は特に。
子供の不気味さを感じる。
幕切れはあっけない。
恐怖を感じるのは、あくまで子供の悪意にであり、底知れなさ。
2人の幽霊には恐怖は覚えない。
巻末の解説で詳細に語られるが、2人の幽霊の怖さは、社会的にタブーな領域に踏み込む怖さらしい。
恩田陸が大好きそうだが、恩田陸は怖いと言うより賢い子供が出てくるし、子供視点で話が進む。
投稿元:
レビューを見る
死者は生者を束縛する。ある者は永遠の情愛の対象として、またある者は尽きぬ憎悪の対象として。19世紀のイギリス、幼い兄妹が住まう屋敷に家庭教師として雇われた私が体験した怪奇譚は、会ったことのない死者の話に振り回され、語られぬ謎を多数残したまま唐突に物語は終わる。語られ切らぬ物語はだからこそ想像の余地を残し、それは死者のように私の中へ侵犯する。だからこそ、語り手の私は既に死者である必要があるのだがーええと、一言で表せば、残された者の死者に対する「ふざけんなよ!」という感覚、それを適切に表現していると思います。
投稿元:
レビューを見る
不協和音。出てくる人がみな、半ば口を閉ざしている。話が妙にかみ合わない。語り手も妙だ。いまいち信用できない。どんな展開でも起こりえそうだ。フィナーレへの期待感で読ませるが、最後まで神経をひっかかれるような、もやもやのまま終わる。
明るい田園に美しい登場人物。しかし全員が重大な暗さを抱えている。もはや完全な白さは存在しないということか?いろんな読み方ができる。そこが1番のおもしろさかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
東京創元社のよりは分かりやすく訳されていたと思う。ゴシック小説であり、たぶたび2人の幽霊が出る部分は読んでる側とし緊張した。最後マイルズの告白部分ではかなり息が詰る展開でしたが、結局フローラはあの後どうなったのかが気になるところです
投稿元:
レビューを見る
優れた心理描写のホラー小説……という認識で間違いないのかな?
『少年ノート』経由で出会いましたが、うーん。
もともと、海外文学には苦手意識があったのですが、やっぱり苦手だなぁと思いました。
確かに、「私」と子ども達の間で交わされる会話のかけひきには面白いものがありましたが、物語の芯を掴む前に話が終わってしまった印象です。
翻訳の過程で生じる誤差が、どうしても体に馴染まないんですよね……
残念だなぁ。
投稿元:
レビューを見る
やっぱり、ダグラス=マイルズに思えて仕方ない
と、なると最後、マイルズに起こったことは、何かの比喩なのかもしれない
幽霊もヒロインの幻覚だったのだろう
それに、マイルズとヒロインの間には何かを感じさせる
人によって全く違った物語になると思う
読み終わったら、冒頭の、暖炉の前で話されている内容に注目してみると良いかも
投稿元:
レビューを見る
何回読んでも後味の悪い作品だぁ(誉めてます)
物語はクリスマスイブの真夜中に行われたイギリス版百物語を発端として始まります。
その中の一人が、その中で語られたどの物語よりも恐ろしい話を知っている。しかも手記があるということで、場を改めてその手記を朗読することに……。
その手記はある屋敷に住んでいる兄妹の家庭教師になった女性が語ったことを記録したもの。
天使のように美しく愛らしい、そして聡明な兄妹。それは本当の姿なのか、そして家庭教師が見た不審な人物は兄妹とどんな関係なのか?
薄気味が悪いというのが初めて読んだ時の感想でした。
改めて読み返すと、うむむ、という感じで視点を変えると全く違う考えも出来るなと……。
彼女が見たものは妄想か、それとも現実か。真実はどこにあるのか、考え始めるとものすごく怖い^^;
投稿元:
レビューを見る
霊を見た人の手記を他者が朗読するという形式の物語。ゆえに現実と虚構の境界がゆるゆるで、この本が多層的に理解可能になっている。いろんな気づきがあった面白い本です。
投稿元:
レビューを見る
出だしが面白い。いったいどんな話が、とそそられる。
内容も最後まで読める。今とは価値観がが違うので、そこはちょっと障害。
投稿元:
レビューを見る
サスペンスだろうか。
1世紀以上前の小説だというのに、結末を握り続ける著者が妬ましい。
訳もわかりやすく、いわゆる古典はこちらを頼ろう。
投稿元:
レビューを見る
# ねじの回転
クリスマスの夜に怪談を語り合う会で、「わたし」はダグラスという男が、彼の妹の家庭教師であった女性の手記を読み上げるのを聞く。物語の本体は、この手記を「わたし」が書き直したものである。
家庭教師が田舎の屋敷に赴任するとそこで二人の亡霊を目撃する。女中頭のグロースに特徴を伝えると、屋敷の従者と前任の家庭教師らしい。生徒の兄は学校を退学になって屋敷に戻ってきているが、兄妹とも亡霊が見えているのかはっきりしない。グロースにも見えているのか分からない。何しろ家庭教師の一人称なので、その辺がとても疑わしい。
最後に兄は死んでしまうが、この兄が手記を読んだダグラスのはずなので、辻褄が合わない。「わたし」の創作部分なのだろうか。
ダグラスは家庭教師に恋心を抱いていたという仄めかしもある。グロースの物言いは常に中途半端で何が言いたいか分からない。家庭教師が思い込んでいるだけとも考えられる。家庭教師は雇い主である兄妹の叔父に惚れているという読み方ができないこともない。
そんな感じで多様に解釈できる要素がたくさんあるので、非常にもやもやする。
独自の読み方をするのが好きであればよいが、答え合わせを望む僕のような読者にとっては消化不良感が否めない。
投稿元:
レビューを見る
うー。素敵な本だな。お屋敷に家庭教師として雇われた若い女。子供らの美しさ、住み込みの生活に満足するも、前任者の幽霊らしき物を見てしまう。あの二人は子供達を連れ去ってしまう!幽霊はいるんでしょうよ。描写も間違ってないようだし。そのストレスによる神経の揺らぎが話のメインであり、海の堤防が決壊するのを今か今かとハラハラするように、頼りない彼女の精神状態の描写が素晴らしかった。ナニー(子守り)のグロースさんがいい人すぎ。自分だったら主人公にキレる。