紙の本
優しいだけじゃぁ
2016/05/10 11:53
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投稿者:maki - この投稿者のレビュー一覧を見る
優しいだけじゃぁだめなんです。
嫌なことにもちゃんと真っ向から向き合って、解決しなきゃぁだめなんです。
でも、自分ひとりじゃどうすることもできない事もあるわけです。。。
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父の切腹をめぐる事件を機に古橋笙之介は、事件の裏に隠された陰謀と、父の死の真相を探るため江戸へ出てくる。
長屋や知り合う人々との関係を軸にいくつかのストーリーを経て、事件の真相を探っていく。
著者の時代ものは好きなのだが、現代もの・時代もの共にいつも感じるのはどうも回りくどく感じていまうこと。細かいディテールなども楽しいのだが、読み進めることに焦れてしまうこと…。
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とにかく装丁の美しさに心を奪われる「桜ほうさら」。
淡い桜色の表紙、本を開けばすべてのページに桜の花びら、そして「桜ほうさら」の優しい語感のタイトル。電子書籍派の自分も、この作品にばかりは紙の書籍の底力というものを見せられた気がした。
作品そのものももちろん秀逸。
装丁からイメージするような淡くて優しいストーリーではなかったが、主人公の笙之介を取り巻く厳しい現実も、時代物というオブラートにきれいに包まれて、桜が舞い散るような爽やかな読後感へと昇華している。
さすがの宮部みゆきさんの職人技。
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上総国とうがね藩から江戸に出て来た笙之介。
笙之介が大きな流れに巻き込まれて成長していくななし。
長屋のみんなの心があったかいんだ。
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やっぱり宮部みゆきは、人情時代物(ちょっぴりミステリー)が真骨頂。読み終えるのがもったいないぐらい、物語も優しい挿画も楽しめました。
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時代物。武士。長屋。代書屋。親子。陰謀。嘘。ささらほうさら、いろいろあって大変だ。テレビで「名もなき毒」を見ているせいか、笙之助さんが小泉孝太郎さんで浮かんできちゃうなぁ。
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表紙の色合いとイラストに釣られて
軽い気持ちで読み進めると痛い目に遭う。
パッと見草食男子の笙之介だが
とある陰謀に巻き込まれた父を亡くし、兄を溺愛する母には愛されず
兄には腰抜けと疎まれる、というなかなか重たいものを背負わされている。
奥州の浪人を助けたり、実は狂言だった誘拐事件を解決したり
途中ちょっと横道に逸れたりするのだが
話が本筋に戻ってからの笙之介は肝が据わるというか、
少しずつ男前になっていったような気がした。
最初から追っていた謎は全てを詳らかにはされず煙に巻かれた感あり。
とはいえ笙之介と押込御免郎との遣り取り、
更に坂崎重秀と古橋兄弟の遣り取りは、その解り合えなさ加減が納得できず
(というよりは理解の範疇を超えていた、という方が近い)モヤモヤ感が残った。
自らの血を呪い、親を恨み、弟を疎ましく思いながら生きて行く勝之介と
世のすべてを、誰かの不幸をも面白がって生きる押込御免郎。
このふたりの心中はどう想像してみても推し量れない。
あまりにも辛くて、途中で推し量る努力を放棄してしまった。
こういうときに、自分は人間としてまだまだだということを痛感させられる。
そういう意味ではかなり痛い話だった。
その一方で笙之介が何気にモテモテな辺りが微笑ましい。
まだまだ子供の太一ですら察してしまえるほど判り易いおきんちゃんに対して
和香さんのツンデレっぷりは見ていて歯痒くて面白かった(爆)。
手放しでハッピーエンドとはいかない結末ではあるものの
最後に庭の楓を見ながら話す笙之介と和香さんの遣り取りが救いだったかな。
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舞台は江戸深川。
主人公は上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊・笙之介。
大好きだった父が賄賂を受け取ったと疑いをかけられて自刃。
兄が蟄居の身となったため、江戸へやってきた笙之介は、父の汚名をそそぎたい、という思いを胸に、深川の長屋に住み、事件の真相究明にあたる。
父の自刃には、搗根藩の御家騒動がからんでいた。
野心を抱く者たちに押しつぶされそうになる笙之介は、思いを遂げることができるのか。
人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語です。
「桜ほうさら」とは……
「ささらほうさらだねえ」とは、南信州や甲州で「酷いめにあいましたねえ」ということ。「桜ほうさら」とは、この「ささらほうさら」に物語に象徴的に使われている桜をからめた言葉です。物語の中でどう使われているか、ぜひ読んで味わってみてください。
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やっぱり宮部みゆきの時代物は面白くて、ちょっと切ない。そして“優しいことは強いことだ”と思う。
贈収賄の罪で切腹した父の無実を晴らすたいと思いながら、江戸の長屋で暮らす笙之介。剣術はからきしだし、気も弱いけど、優しい人だと思います。
『孤宿の人』を読んだときも思ったけど、いつも犠牲になるのは弱い人たちで、でも弱い人たちはみんなで助け合って生きている。
権力者はどんどん目が曇っていく。
本当に江戸時代から根本は変わってないなぁ、ニッポン
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良かったんだけど、細かい部分が
はしょられている感じがして所々引っかかった。
特に、終盤の展開の発端となる本の書き直しの件。
具体的にどうとまでは説明されなくても良いけれど、
笙之介がどういう心持ちで書き直しにあたったかとか
そういう記述がなかったから、あの人がなぜそんなに
いきりたったのかがどうしてもしっくりこない。
最初にダメ出しをされた以降、書き直し完了&納品を
していたとも思っていなかったのでびっくりしたのもある。
で、いつ頃納品されたかもわからない本の出来が
どの程度のモノかもイメージできないのが大きい。
作中で笙之介は様々なものの捉え方を知っていくけれど
それと書き直しが繋がっていく表現がもう少しあれば、
まだ掴めたかもしれないし、そうではなくとも例えば
納品しに行く場面で一言二言会話をさせておいて
くれるだけでも良かったのに。
「悩みましたが、こうしてみました」とか、ほんとに
何を語っているわけではないことばでも良いから。
なんだろうな。良い作品だと思っているし、読んでいる
あいだも楽しかったし、終わり方も悪くなかったのに、
なんだかもやもやする。
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もう少し掘り下げてこってり長くてもよかった気がする。特に主人公の心情の変化とか。
多分ソロモンの偽証のあとだからそう思うのだと思うの。
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お武家様の勢力争いと、貧乏長屋の人情と。綿密で優しく丁寧な描写は宮部みゆきならでは。図書館の返却期限を過ぎてしまってたので飛ばし読みしたけど、もっと時間をかけて楽しみたかった。
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スティーブジョブズがハーバード大の卒業式でスピーチした中で
「connecting the dots」のくだりがあります。
なんかそれが浮かびました。
主人公の笙之助さんは、目的をもって江戸に出てきますけど、
その目的とは一見全く関係ないような物事があれよあれよと発生して
とりあえずそれを片付けていくんですけど、最後の最後には
全部が収束して目的の達成に結びつく。
読んでる側は「今それやるの?え?でも関係なくない?」
とハラハラするんですけど、だんだんと「あ、でも今やってるのも面白いね」
って一緒にのめりこんでいくんですね。
最後に、パズルがピタッピタッとはまり始めた時の心地良さはたまりません。
先が読みたいけれど、知りたいけれど、この世界が終わって欲しくない。
そういうジレンマがいつも付きまとうんですねぇ。宮部さんの作品って。
父を愛する笙之助さんのココロに涙しました。
強い芯のある凛とした女の子もちゃんと出てくるし、ちゃんと宮部節。
春はまだ少し先ですが、タイトルにある桜のような、
終りは見事に、でもすこし切なく余韻のあるお話でした。
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読み口は軽いが、重い内容の本だった。
江戸時代、家族の悲劇に、藩の御家騒動が絡んで展開する物語。
どうしても分かり合えない親子や兄弟が哀しい。一人一人違う人間なのに、「親兄弟」という切れない縁で結ばれてしまったが故に、憎しみ、苦しむことになってしまった人達。更に江戸時代には、藩やお役目、身分という囲いの中でも生きなければならない。
「置かれた場所で咲きなさい」というタイトルの本があったように思うが、自らの運命に抗い、もがき、咲く場所を自分で決めようとした結果、咲くことの出来なかった人達の姿が、身につまされる。決して、運命を諦め受け入れることを推奨しているわけではなく、ただ、自分が咲くために他人を踏みつけにするのは違うということ。人生で大切なのはどこで咲くかではなく、どう咲くかということなのだと思う。
自分の手で書くことの少なくなった昨今、代書屋という職業がクローズアップされているのも興味深かった。
残念ながら、全体的に、少し纏まりに欠けていると思った。
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心が違えば、物事を見る眼も違う。
同じものを見て育った兄弟でさえ、何を信じ大切にするのか、どんな嘘のつき方をするのかに、差が生じてしまう。
いつの間にやら嘘に囲まれながらも、どこまでも正直に生きようとする笙之介の姿が凛々しい。
嘘は釣り針。名言。