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1963年から2012年まで毎年１作、計50作品を、作家の重複なしで収録するという、なかなか縛りの厳しそうなアンソロジー。第１巻は63年から72年まで。半分ぐらいは既読の作品だったけど、さすが精選されただけあって再読でも問題なく楽しめる。
初読でよかったのは荒巻義雄1970年のデビュー作「大いなる正午」。冥王星の土木技術者が次元の壁を掘り抜いて高次元の知性と接触し、彼らの超時空的土木（？）工事を手助けするという…。想像力とハッタリのものすごさに圧倒された。
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収録作品は以下のとおり。SF者として一度は読んでおかねば、と思える往年の名作揃いです。
「墓碑銘2007年」光瀬 龍
「退魔戦記」豊田 有恒
「ハイウェイ惑星」石原 藤夫
「魔法つかいの夏」石川 喬司
「鍵」星 新一
「過去への電話」福島 正実
「OH! WHEN THE MARTIANS GO MARCHIN' IN」野田 昌宏
「大いなる正午」荒巻 義雄
「およね平吉時穴道行」半村 良
「おれに関する噂」筒井 康隆
でも、「往年の名作」って、そのうち読もうと思いつつ結局読まなかったりするんですよね。こうしてアンソロジーとして刊行されて、読むきっかけを与えてもらえるのはありがたいです。
もぅ、冒頭の光瀬龍にノックアウトされましたよ。人類がまだ月へさえも到達していなかった50年前の作品とは思えない、鋭利な刃物のようにエッジの効いたドライな世界観と茫漠としたニヒリズム。氏の代表作「百億の昼と千億の夜」に通ずる独特の世界観を有する、この先もきっと古びない傑作だと思います。
半村良「およね平吉時穴道行」も良かったですね。いわゆるタイムスリップものですが、時間SFの売りであるタイム・パラドックスの解明であったり錯綜する時間理論であったりといった派手な演出は一切ありません。江戸時代の少女が現代にタイムスリップするに至った経緯を第三者の視点から丹念に描き出し、SFという手法を借りて当時の江戸の「時代の風」を描くことに挑戦した、地味ながらも端正な佳作です。時代小説家としても名を馳せた半村良らしい、いかにも日本的なSFです。
もう一つ、インパクトがあったのが荒巻義雄「大いなる正午」。ジャンル分け不能、鴨ごときの理解力では何が何だかほとんど判りません(^_^;が、描き出されたヴィジョンの鮮烈さ、ワケがわからないながらもとにかく前向きで力強いラストシーン、「読む」というよりも「感じる」と言った方が相応しいかもしれない快作もとい怪作。この時代でなければ、たぶん存在し得なかった作品ではないのかと。
何分にも古い作品ばかり集めているので、作品によっては正直今読むのは辛い作品もあります。が、この時代のSFの雰囲気を捉えるには必要充分ですね。
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はっきりいって21世紀になってまで、他を差し置いて読むだけの意味のある作品は少ないなあ。
星新一のクオリティが光る。それ以外だと半村良デビューできたのは良かった。なんで今まで読まない作家に分類していたの意味がわからない。個人的大鉱脈発見。
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SFに夢中になりだした頃を懐かしく思い出しました。偏った読み方だったので再読はあまりありませんでした。それでも４編は再読。すっかり忘れているので全部楽しめました。なんか若返った気がします。ほんと傑作揃い！荒巻義雄の作品はあまり読んでないのですが、これは凄いですね。架空戦記があまりに有名になりすぎててイメージが違ってました。初期の作品を読みたいです。福島正実も編集者としての顔が強すぎて、作品は印象なかったのですが、面白いです！勿論、他の名前をあげてないのも！！今後が楽しみ！
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「退魔戦記」だけは読んだことがあったかな？
流石にちょっと昔の話で、タイトルしか知らなかった話ばかりですね。
「ハイウェイ惑星」のいかにも SF って感じが楽しかったです。
「およね平吉〜」はタイトルは知っていたけど、こんな話だったんだ。割と意外。
全体的に結構古さを感じませんでしたが、これは編者の手柄かな？
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1963年から1972年までのSF短編アンソロジーの第１巻。光瀬龍、豊田有恒、福島正実、半村良、筒井康隆、等々、中学高校時代に夢中になって読んだSFを読み返す。あれからもう50年か・・・随分月日は経ったようだが自分は何にも変わっていないような気がする。光瀬龍の「墓碑銘2007年」、2007年はもう過去の年となってしまったが、この短編が書かれた50年前には、宇宙に飛び出して木星まで探検することが想定されていたんだと思うと、大して世の中、進歩していないんじゃないかとも思う。
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荒巻義雄「大いなる正午」は、昔からいろいろ評判知っていたが、これが初読。ウワサに違わぬ面白さ。すごいハードなSF。あまり一般受けはしないかもと思うが、こういう骨太のSF、まだ未読の作品あるなら読みたい。
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日本ＳＦ作家クラブの選者による1963年から年に1編を選出してのアンソロジー。冒頭の「墓碑銘二０００七年」、光瀬 龍ってこんなに面白いんだっけ？ＳＦにのめり始めた中学生のころが思い出されてきて、なんだか胸が熱くなってくる。
戦中が舞台の「魔法使いの夏」の異様な迫力。福島正実のいやにシニカルな「過去への電話」、おちゃらけ話かとスルーしていた「およね平吉時穴道行」の以外な面白さ。懐かしの「ハイウェイ惑星」の頭からこびりついて離れないイメージ。
エネルギーに満ちていながら、どこか虚しさや哀しみをたたえた昭和の雰囲気が漂ってきます。ううう、猛烈に小松左京とか読みたくなってきた。昭和リバイバル！
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光瀬龍「墓碑銘二〇〇七年」
豊田有恒「退魔戦記」
石原藤夫「ハイウェイ惑星」
石川喬司「魔法つかいの夏」
星新一「鍵」
福島正実「過去への電話」
野田昌宏「OH! WHEN THE MARTIANS GO MARTCHIN'IN」
荒巻義雄「おおいなる正午」
半村良「およね平吉時穴道行」
筒井康隆「おれに関する噂」
ハイウェイ惑星と過去への電話が好きだった。
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楽しみなＳＦアンソロジー
ハードボイルドな「墓碑銘二〇〇七年（光瀬竜）」は絶望と執着がとても良い作品。
「退魔戦記（豊田有恒）」は古文書というオープニングからひきこまれる。蒙古って設定の善し悪しはともかく、なさなかおもしろかった。
古い作品の「ハイウェイ惑星（石原藤夫）」は以前から読みたかった作品。とても良い！ シリーズわコンプリートすべきと思う。満足。
抒情的な「魔法つかいの夏（石川喬司）」は美しい作品だが、ワクワク感は皆無。おもしろくないな。
大御所作品「鍵（星新一）」はなんともロマンチック。絶対に既読のはずだが記憶はない。いつもの『星節』に触れることができて満足。
少し難解だが、時のロマンを描く「過去への電話（福島正実）」もいい。もう少し短くてもいいんじゃないかなと思うのは、星作品の次に読んだからだろう。
「ＯＨ！ＷＨＥＮ ＴＨＥ ＭＡＲＴＩ ＡＮＳ ＧＯ ＭＡＲＣＨＩＮ’ ＩＮ（野田昌宏）」はウェルズ作品の発想を逆にした楽しい作品だが、私にはフィットしなかった。
「大いなる正午（荒巻義雄）」は凝り過ぎて読みにくく、イマイチ。
「およね平吉時穴道行（半村良）」はいい作品なんだろうが、苦手な江戸時代だけに、ほぼパス状態。
楽しかったのが「おれに関する噂（筒井康隆）」。スラップスティックなんだが、とにかく楽しい。一気に展開する不条理な世界ときれいに決まるオチが短篇の醍醐味を堪能させる。スティック系はあまり評価しないんだが、これは良かった。
総じて満足かな。
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日本SFビッグバンとも言える時期の作品集。
自分が中学のころ読み出したときにはすでに古典的な位置づけであった物が多いが、今読んでみると古さは全く感じないどころか新鮮さを覚える。
この期に及んで初めて読んだ物もあるが、中でも荒巻義雄「おおいなる正午」はゼロ年代ＳＦとしても通用しそうだし、半村良「およね平吉時穴道行」は想像していたよりもはるかに細やかな考証で舌を巻く。
むろん石原藤夫、星新一、野田昌弘、筒井康隆といったＳＦ筆おろしのお世話になった作家の作品も色あせない。
久々にあのころのＳＦワクワク感を思い出させてもらった。
若い人はどういった感想を持つのだろう。
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色々なジャンルのSFが、作家クラブ50年間の一年毎に一作ずつ読めます。
何とも面白い企画です。
最初の10年分10作ですが、年代と照らし合わせてみるとより楽しめると思います。SFと言えども時代を映していることが良く分かります。
読んだことのない作品も、読んだことのある作品も楽しめました。
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日本SF作家クラブ50周年を記念したアンソロジー第一弾は、クラブ発足の1963年から1972年までに発表された以下10作を収録。
1963年：墓碑銘二〇〇七年 光瀬龍
1964年：退魔戦記 豊田有恒
1965年：ハイウェイ惑星 石原藤夫
1966年：魔法つかいの夏 石川喬司
1967年：鍵 星新一
1968年：過去への電話 福島正実
1969年：OH! WHEN THE MARTIANS GO MARTCHIN'IN 野田昌宏
1970年：おおいなる正午 荒巻義雄
1971年：およね平吉時穴道行 半村良
1972年：おれに関する噂 筒井康隆
日本人作家のSFをあまり読んだことがなかったので、いい機会だと思い購入したところ、一作目の「墓碑銘二〇〇七年」から、その格好良さに感銘を受け、続く「ハイウェイ惑星」に度肝を抜かれました。
正直、この「ハイウェイ惑星」のスマッシュヒットのおかげで、確かに面白いはずの他の作品が霞んでしまうほど。
それほど大当たりした本作の舞台は、ハイウェイが縦横無尽に張り巡らされた未開の惑星。探査に訪れたヒノとシオダは、ハイウェイ惑星に奇態な生物の進化を見付けます。その奇態な生物とは…
本作では、「誰が、何のためにハイウェイを設置したのか」という疑問が解決されることはありません。しかし、そういった疑問は野暮であって、本作には必要のない情報です。本作の面白さは、そういった起承転結にあるのではなく、天真爛漫な設定と、その設定をあたまの中で自由に思い描くことにあると思うのです。想像することが楽しいと、純粋に思えた作品でした。一方で、想像力を膨らませる科学的描写に長けている点にも注目。さすがハードSF作家と呼ばれるだけありますね。
「ハイウェイ惑星」がどうしても頭に残ってしまってますが、全体を通じて、とにかくパワーがある！フロンティアを開拓せんとする力強さは、やはりSF黎明期だからこそでしょうか。第二段以降が楽しみです。
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記念碑的なアンソロジー。巻末のＳＦ作家クラブの顔ぶれを眺めて、この中から五十人かあ、うーん、誰を選ぶかなあ、一人一作、一年一作という縛りはなかなかきついなあ、などとあれこれ考えるのが楽しい。ＳＦ作家クラブにモト様（萩尾望都）の名前があったり、山尾悠子さんは入ってないんだと知ったり、物故会員のところにある伊藤計劃さんの名前にしんみりしたり。
第一巻は１９６３年から１９７２年なので、さすがに古い。というより、あえて言うと古臭い。「日本ＳＦ全集」も第一巻はそうだった（第三巻がまもなく出るってほんと？）。ＳＦにも不朽の名作はあるけれど、全体としては新しいものほど面白いというジャンルのように思う。特に「未来」を扱ったものはそうじゃないかな。
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日本SF作家クラブに所属するSF作家の作品を1年1作品、作家の重複なしに選ぶという企画。1963年からの10作はさすがに豪華な顔ぶれが揃っている。
