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怪談というより幻想的な連作短編集。
それで「幻坂」、か。
怖いのもありましたが、涙腺を刺激されるような話が多かった。
急いで読んだので、いずれ再読したい。
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アリス先生ですがミステリでなく幻想短編集。
大阪、天王寺界隈の歴史ある7つの坂をモチーフにした、不思議なお話を集めています。
しっとりはんなり。
「怪」だからホラーに入れたけど、そんな怖くないよ。
アリス先生の文体、このしっとりさ加減が好きやわあ。
関西弁ネイティブならではなのかなあ。
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『赤い月、廃駅の上に』に続く怪談短篇集。『赤い月〜』と同じく『幽』掲載だが、今作はストレートな怪談ではなかった。大阪市天王寺区を舞台にした、不思議&いい話。
ミステリ色の強い『源聖寺坂』と、怪談色の強い『口縄坂』が好き。
あとがきの冒頭に『大阪は怪談とはあまり縁がないと思われがちで、また事実そうである』とあって、言われてみればそうだなぁ……と思った。『心霊スポット』と呼ばれる場所には幾つか心当たりがあるけど、そういうのは怪談とはまた違うしw
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発売を心待にしていた作品です。
とは言え『幽』掲載作は既読なのですが、書き下ろし短編1編を加えての刊行なので楽しみにしておりました。
大阪の天王寺七坂を舞台とした9編の短編集です。
紡がれる物語は心淋しさとほのかな温かさが同居していて、どこか秘めやかでもある空気に誘ってくれます。
どのお話も味わい深く、決して似たり寄ったりでは無いので楽しめます。『口縄坂』の物語の閉じ方がとても私好みです。
『枯野』『夕陽庵』が突出して秀逸。
心に深く残る作品です。
大阪にはご縁が無いのですが、いつかこの天王寺七坂を訪れてみたいです。
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天王寺七坂をモチーフとした短編集
怪談・・・というには、恐怖よりも切なさを喚起させる物語群でした。
正直、話の展開などは、どこかで読んだことがあるような、さほど新鮮みもあるものじゃなかったけど、でも、どこか心に染み、通勤途中うるっと来そうになるのを慌ててこらえたりしてました。
結構最近、あの界隈に遊びに行ったのだけど、坂を登ったのは清水坂ぐらいだったか。
また、改めて散策に行きたいと思いました。
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大阪の天王寺七坂を舞台にした怪談短編集。ミステリ作家の有栖川有栖の新境地を拓くような、「物語」を読ませる作品でした。以前にも怪談集が出ましたが、それよりも一層熟れた感じでした。
大阪を舞台にしているとはいえ、所謂戯画化された「大阪」でない大阪がそこに描かれており、最も古い大阪である上町台地から見た大阪の歴史や文化も記され「大阪小説」としても楽しめます。また怪談特有の様式美的な語りの妙もあり、哀愁に満ちた読後感の爽やかさがいいです。
特筆すべきは松尾芭蕉の終焉を描いた「枯野」。時代小説というこれまでの有栖川作品になかったもので、今後の作品の広がりが楽しみです。でももちろん本格ミステリも書き続けて欲しいんですけどね。
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幽BOOKSなのでちょっと怖い話かなと思って読み始めたが、怖いというよりはちょっと悲しげな不思議な感覚を呼び起こさせる作品でした。
短編なので読みごたえはないですね。
ここに登場した坂に実際になじみのある大阪の方が読んだらもっと面白かったかもしれません。
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怪談物。
こわっ!というものではなく、有栖川先生風の不思議なお話が入った本。坂に纏わる怪談だけど、先生の雰囲気が好きな分「きゃーきゃー」言いながら読んでました。
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大阪の天王寺七坂を舞台にした7編と、時代もの2編のノンシリーズ短編集。
あとがきに”怪談”とあるが、怖いというよりは不思議で切ない話が多い。いつもとはちょっとちがう有栖川有栖。
大阪にはなじみがないので舞台となった坂については全然知らなかったが、各短編の最初についている写真が素敵で、一度訪れてみたいと思った。
ベストは「真言坂」。
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さあ、今から関西線で天王寺へ出て坂道をぶらつこう。そのあと上町の大槻能楽堂で「道成寺」を観るねん〜。
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大阪天王寺七坂を舞台にした怪談集。
「清水坂」「愛染坂」「源聖寺坂」「口縄坂」「真言坂」「天神坂」「逢坂」「枯野」「夕陽庵」の9編収録。
怪談というか、なんというか。
なんとも切ない、しんみりとしたお話たちでした。
つくづく、有栖川さんってロマンチストだなぁ。
怪談というイメージに一番近いのは「口縄坂」。
さすが!ここでこの謎解きですか!?といった感じで、一番ミステリしていたのは「源聖寺坂」。
抒情的であの光景がとても印象に残った「清水坂」。
まさかの時代小説、しかも翁!な「枯野」。
などなど、バラエティに富んだ短編集で、意外に楽しめました。
ただ、地図が・・・。できれば巻頭にあってほしかったです。
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幼い頃、清水坂でよく遊んだ幼いヒナちゃん。不慮の事故で亡くなったヒナちゃんを偲んで、清水坂を通る人に語りかける。坂の傍らにはあのころと同じ、山茶花が咲いています。ーー「清水坂」
作家志望の美咲と愛染坂で会い、恋仲になるが、新作に苦悩する新進作家の私。いつしか二人の関係に亀裂が入り・・・。亡くなった美咲の四十九日に愛染坂で再び二人は会えるのか…切ない悲恋を描いた「愛染坂」。
七坂を舞台に歴史的因縁や文化的背景を織り交ぜながら、大阪の人々をリアルに叙情的に描いた傑作9編。
傑作と話題沸騰の、大阪で頓死したといわれる芭蕉の最期を怪談に昇華した「枯野」。怪談雑誌『幽』に連載された8篇に加え、難波の夕陽に心奪われた平安時代の歌人・藤原家隆の終焉の地となった「夕陽庵」を悠久の歴史とともに描いた書き下ろし傑作。
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「清水坂」 「愛染坂」 「源聖寺坂」 「口縄坂」 「真言坂」 「天神坂」 「逢坂」 「枯野」 「夕陽庵」
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大阪の天王寺七坂が舞台の少しばかり妖しい物語集である。大阪に抱いているイメージとは全くと言っていいほど違う坂の趣と、そこに流れる不思議な時間と心の動きに、惹きこまれる。坂というのは、違う時間や空間をつなぐものなのではないかと、つい思ってしまいそうになる一冊である。
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有栖川さんて、こんなお話も書けるのかー。とても雰囲気があって、好みの短編集でした。七坂、ぜひ歩いてみたいものです。
自分に関わりのある事件で殺されてしまった、優しい先輩と逢える「真言坂」、迷う魂をなぐさめる探偵と、大変美味しそうな料理屋が出てくる「天神坂」が、特によかったなあ。
「枯野」での、芭蕉の最期の境地にも、なんだか共感。死への恐れと、やり残したことへの未練とが、それでも最期の旅へ向かう期待へ収斂していく心情に共感。こんな最期を迎えたいもんだ。
ラスト「夕陽庵」も、オーソドックスながらいい雰囲気。男性てロマンチストだよなあ〜と思ったり(笑)。熊野はそのうち行かなくちゃね。
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【収録作品】清水坂/愛染坂/源聖寺坂/口縄坂/真言坂/天神坂/逢坂/枯野/夕陽庵
ホラーもあれば、哀しいファンタジーもある。
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大阪の「天王寺七坂」を舞台にした短編集。はじめて有栖川有栖の作品を読んだが、単なる怪奇小説、推理小説ではなく人物描写やテーマにしている天王寺七坂をうまくあわせながら叙情のある読後に心地よい余韻を残す作品集だと感じた。この天王寺七坂、下寺町あたりはその名の通りお寺が多く、父の菩提寺もその中にある。小さい頃からお墓参りに訪れ続けている場所であるが、なかなか個別の坂を「歩く」ということはしたことがない。ただこの界隈の大阪の古くからある情緒ある雰囲気は家族や親戚から話を聞く機会も今までに多々あったので、訪れるたびに肌に感じることはできる。観光客として大阪を訪れる人はもちろんのこと、大阪に住んでいる人でも用事がなければなかなかこの界隈には足を踏み入れることはないだろう。しかしこのあたりの古き良き時代の上品で情緒ある町並みや雰囲気はできるだけ残してほしいと思う。
作品の中で印象深かったのは「真言坂」。男女の心の機微(ひとりはこの世の人ではないのだが)を会話や行動でにおわせながら話が進んでいき、最後に登場人物の優しさを感じ、涙しそうになった。