方丈記 （マンガ古典文学）

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水木しげる先生が、方丈記から何をまなぶことが、今、利となるのか。その迷いというか、葛藤というか、そこまで堪能できる、奥深い一冊です。

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水木先生が出征する前に読み共感したという『方丈記』を漫画化。
鴨長明は源平争乱という政治が大いに乱れた時期、さらに自然災害の多い時代を生きた人物で、その人生の無常観を生々しく伝えてくれる作品であると思う。
負のパワーが蔓延する乱世に、「無常」という生き方は潔いといか救いある生き様だったのかもしれない。

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　水木しげるが、『方丈記』をベースにして、鴨長明の生涯を描いている。多くの文献に当たったことも、巻末の参考文献リストから窺える。南方熊楠の評伝『猫楠』では猫を狂言回しに登場させていたが、この作品でも、水木しげるが鴨長明にインタビューする場面をはさみながら物語を進行させるという手法を使っている。これにより、水木しげるの批評性も加わって、方丈記で描かれた世界が単なる過去の話ではないことがストレートに伝わってくる。
　しかし、今も変わらないのは、自然の持つ破壊力と人間の愚かさだけではなく、、優しい人間が先に死んで行くという事実だ。仲の良い夫婦は、優しい方が先に死ん行く。親子では、子を思う親が先に死んで行く。善人は若死にし、憎まれっ子は世にはばかるというのも、また世の常。
　「さりがたき妻をとこ持ちたる者は、その思ひまさりて深き者、必ず、先立ちて死ぬ。その故は、わが身は次にして、人をいたはしく思ふあひだに、稀々得たる食ひ物をも、かれに譲るによりてなり。されば、親子ある者は、定まれる事にて、親ぞ先立ちける。また、母の命尽きたるを知らずして、いとけなき子のなほ乳を吸ひつつ臥せるなどもありけり」
　原文（全文）も収められていて、格調の高い文章を味わうこともできる。
　巻末の解説では、荒俣宏が、隠者の無常観では悲惨を回避できないことを知ってしまった現代人にとって、新たな課題が突きつけられていることを冷静に指摘していて印象に残る。
　「マンガ本といって侮るなかれ」

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水木さんも色んなテーマに挑戦するなあ。巻末に方丈記の全文が掲載されてるんで、結局、マンガを一章読み、巻末の該当原文を読み、の繰り返し。最後の長明の生涯の年表も合わせて読めるし、資料としてもかなりいい（もう少し地図は欲しいが）。このシリーズ、ほかのものも買ってみたくなった。ちょっと残念なのはマンガで紹介されている元暦の大地震で圧死した子供の話が、巻末の原文に無いこと。天災の悲惨さが生々しく伝わるエピソードなのだが。

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もともとが薄い本だから
水木さんとのインタビュー形式にして、ちょっと水増し

天変地異の話ばかりだと思っていたが
子供との山歩きなどがあって心和む

福原遷都とか清盛の病死
方丈記には出てこないけれど、源実朝との短い会見

時代の生き証人（死んでるけど）という感じだ

坊さんの清貧には浄土が待っているが
一般人の赤貧は餓死しか待っていない
と偉い漫画家が喝破、と解説で荒俣

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授業で習った冒頭の部分しか知らず、初めてどういった作品なのかがわかりました。
原文（巻末に掲載）を読んだのも初めて、鴨長明がどういう人だったのかも初めて。
作品に対するとっつきにくさが漫画で中和され、するすると読めました。
また、水木先生が描く災禍の様が圧巻の一言に尽きました。

中・高生の頃は「無常観？なにそれ？」とその世界観がわかなかったですが（もしかしてバブル期真っ只中だったから？？）、齢を重ねた今読んでみたら、感覚的にスッと受け入れられた気がします。
よく「子どもの頃に読んだ作品を年を取ってから読むと感じ方が違う」なんて言いますが、「方丈記」なんてその最たるものなのではないかと思います。
学生時代に習ったけどよくわかっていない作品をもっと読みたい！と、この本を読んでから強く思いました。

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鴨長明については、方丈記の出だしの文を暗記した位しか知識がない。よって、その生き様を知る事が本書で出来た。有難い。水木しげるの絵は、分かり易い。

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地震、疫病、政治の混乱。今も昔も大して変わらん。しかし、幸いなことに日本に限ってはしばらく戦争してない。このまましないでほしい。

当時と今の人間の違いでいうと、今は確実にあきらめが悪くなっている。あきらめないで！がんばって！世に溢れているのはそんな物語ばかり。理不尽や不条理への耐性がない。あきらめることができない。自意識過剰になったせいかもしれない。医療や科学技術などが大きく進展したせいもあるだろう。昔の人があきらめざるを得なかった多くのことを、今はなんとかすることができる。少なくとも、できると思っている。そのせいか、どうにもならない理不尽や不条理をあきらめることが難しくなってはいないか？それは良いのか悪いのか？あきらめるしかないことがたくさんあるはずだ。昔の人は理不尽や不条理を神や悪魔、怨霊のせいにしてきた。あきらめるしかなかった。あきらめて、祈ることくらいしかできなかった。あきらめが良くなるためには、宗教などのスピリチュアルな力が必要なのかも。

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大好きで尊敬してる水木しげるセンセの方丈記。
鴨長明は平安末期の大ニートでオタクという雑な感想は兎も角、他の人も言ってますが冒頭文しか知られてないけど、こうして漫画になって読んでみるととてもわかり易いとですね。
それにしても、人間って今も昔も変わらないな…

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難しくて取っ掛かりにくそうな方丈記も水木しげる氏の漫画仕立てでとても読みやすかったです。
一番最後に原文が掲載されていますが、マンガを読んだ後だと、原文を読んでもこういうストーリーなんだな、と不思議と比較的すんなり解析しながら読むことが出来ました。

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水木先生の漫画を読んでから方丈記を読み直すと分かりやすい。高校生とかは先にこちらを読んだほうが良さそう。