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中国では、結婚の条件は男性がマイホームとマイカーを用意することだ。金融機関だけでなく家族や親戚、場合によっては高利貸しにまで借金して「億ション」を買い、子どもの世話を祖父母にまかせて夫婦共働きでひたすらローンを返しつづけるのが平均的な中国人(都市住民)の人生なのだ。
「人生の複雑さに比べたら、金を稼ぐなんて簡単だ」アンソニーは首をすくめた。「数カ国語が話せて計算ができれば、金は苦労しなくても向こうからやってくる。勉強なんかする必要はないし、学歴や資格もいらない。それが、俺が人生で学んだいちばん大事なことだ」
ダイヤモンドと炭は同じ炭素からできている。ダイヤの指輪が貴重なのは、そこに愛情が込められているからではなく、たんに稀少だからだ。それに対して木材から簡単にできる炭は、道に落ちていても見向きもされない。
中国人の行動文法では、裏切ることで得をする機会を得たときに、それを躊躇なく実行することを道徳的な悪とは考えない。こうした道徳観はいまの日本ではとうてい受け入れられないが、戦国時代の下克上ではこれが常識だった。それがさらに1000年つづくと、ひとを信用して荷物を持ち逃げされても、非は相手にあるのではなく自己責任だという文化が育つのだ。
日本では反日が大きく報じられるが、実は中国人は日本人に対してものすごく親切だと王さんはいう(中国を旅行しているとき、私も何度も同じことを感じた)。中国人がほんとうに残酷になるのは、(自分の競争相手になって仕事を取り合う)同じ中国人に対してなのだ。
共産党という「秘密結社」が権力を握り、権限と責任があいまいで法が機能しない中国社会で生きるのは、あちこちに落とし穴のある道を歩くようなものだ。誰かが穴のある場所を教えてくれなければ、いずれはヒドい目にあうことになる。このような社会で唯一頼りになるのが「グワンシ」だ。
しかし、法治という「システムによる安全保障」を個人的な人間関係で代替させようとするのは大きな困難をともなう。結果として、中国人は日々の複雑な人間関係で消耗してしまうのだ。
かつての中国王朝がそうであったように、文化支配というのは憧れ(羨望)によって周辺国を従わせることだ。だが残念なことに、現在、「中国に生まれたい」とか「中国人になりたい」と思うひとはこの世界にほとんどいない。日本人を含め、中国にかかわる外国人のほとんどは経済(金儲け)が目的で、観光客は万里の長城のような王朝時代の遺跡が目当てで現代中国には目もくれない。中国の台頭が「強国主義」との批判を受けるのは、ソフトパワー(文化)を欠いたままハードパワー(経済援助と軍事力)で国威を示そうとするからだ。
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土地の利用権を、農民からただ同然で取り上げて、それを不動産開発会社(デベロッパー)に高額で転売すれば、その差額(地上げ利益)はまるまる地方政府の取り分になる。この濡れ手に泡の錬金術を中国全土の地方政府がフル活用するようになった。
資本主義社会ならとっくにはじけているバブルがブレーキの壊れたトラックのように今も走っている(しかしこのバブルはいずれ弾ける)
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中国の不動産バブルのすごさをテレビで見たことがあるが、そのスケールは日本のその比ではない。
なぜ、そのようなことを現代中国がやってしまうのか、歴史を遡り、中国社会が歴史的に積み上げてきたものを私論として書き著してくれている。
圧倒的な人口の多さ、他民族、そんなものを完璧に統治できるわけがない。
自分自身、家族、同胞の安全をどう構築していくのか、日本人には到底理解できない手法だ。
フットルースな「金」を扱う人ならではの分析だ。
日頃、バイアスのかかった、そして、ステレオタイプの中国情報に接しているものにとって、中国に対する新たな視点が示されて、とっても興味深く読めました(笑)。
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日本人の中に感情的な理由で、またほとんど過去の歴史(近代史ではなく)を知らず、何となくメディアに踊らされて「中国嫌い」と自負している人は絶対に読んだ方が良い1冊。
「ひとは誰も、自分の見たいものしか見ないし、自分の理解したいものしか理解しない」
その通り、実に良書。さすが橘玲さん。明快な切り口で「中国」について書いてくれている。この本のおかげで「日本」についての理解が深まった。同時に中国に対して興味が湧いた。
グワンシ
人口の多さ
国土の広さ
実に興味深い国、中国。
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もっと早く読んでおくべきだと感じた一冊。ニュースや報道だけを見ていると、
いつもハテナ?がつきまくる中国について、筆者が独自の調査、取材によって解説してくれる。
筆者によると、
日本と中国人はよく似ているからこそ、
お互いに違う部分が際立って、
違和感を感じるとのことだ。
アラブ人が我々に理解できない行動をしても、日本人が感じるのは違和感ではなく、ただ単に違うということを認めるだけだ。
しかし、日本人が中国人を見てそれが出来ない。それはもともと両者が同じ祖先、圧倒的に似ているからだ。
しかし、中国は日本に比べて人間が圧倒的に多いことや、地理的要因から長らく続いた戦国の時代の行動様式のフォーマット、また近代になって世界の列強に侵略された負の歴史などが、折り重なって中国人と日本人は、いまでは別々の行動文法を持つ国になってしまっている。
こうした両国の違いを生み出した背景を解きほぐし、最後には両国に横たわる歴史認識の問題や、今後の経済、政治のつきあい方まで、独自の視点で書ききっている。
ちなみに歴史認識について、
筆者の考えを纏めると、
結局は個人と国家を切り離して考える事が両国ともに必要で、特に日本人は、日本という国を中国、韓国に責められると、あたかも自分個人を責められたような気持ちになる人が多すぎる。
むしろ個人である自らは過去の日本国の戦争の責任を取ることも出来ないし、謝罪することも出来ない。できるのは国を代表することの出来る一部の政治家のみ。中国人との付き合いを考える上では、国家を先に持ち出さず、個人と個人との付き合いをきちんと持つことで、未来形の隣人関係を作っていくべきだ。
といったもの。
中国との関係の難しいところまでは踏み込んで無いんだとは思うが、
いつも我々を悩ませるこの難しい問題を、
ここまで冷静に処理した話を読んだことはなく、思わず読みながら拍手をしてしまった。
歴史問題に限らず、
こうした中国との間で、
我々日本人が感じるモヤモヤを、
幾分とスッキリさせてくれる特効薬になる一冊だと思う。
ぜひ御一読を。
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中国についての各種雑多な考察
非常に面白い。
いくつか上げると、
1.中国のように社会の利害集団が分裂している巨大な国では民主主義は良い結果を生まない。
2.中国の急激な成長は、人口ボーナスの終焉とともに終わりつつある。
3.中国は、制度としては腐敗に厳しいが、社会構造が腐敗を防げないという歴史。
4.中国共産党は、自国の巨大な人口を持て余している。
5.中国の歴史上の国家が日本を作り、近代日本の侵略が清朝崩壊以降の中国を作った。
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中国ってね!デカいんですよ!中国人ってね!めっちゃ人多いんですよ!みんな知っているこの事実が、中国の不思議をすべて解明してくれる。日本人が「中国人ってのはさ~」と語るときは、一体どんな人をイメージしてるの?13億人もいるんだけど。
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【近い方がいがみ合う】
中東、ヨーロッパ、日本と中国あるいは兄弟のように、近い者同士の方が仲はよくなかったりします。
遠く離れていると利権がぶつかり合うことも少なく、あまりにも考え方・文化がことなるのであきらめもつきますが、近い人種では利権がぶつかり合うことも多く、感情的にあきらめがつかないのも事実です。
わたしもそうですが、相手に対して漠然とした概念を持っているだけで、実際に接してみるとイメージとは異なることはよくあります。
東野圭吾さんの『悪意』という小説があります。その小説でも最初に植え付けられたイメージで、見事にだまされました(笑)。
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橘玲『橘玲の中国私論』(ダイヤモンド社、2015)を読む。
見も蓋もない語り口で世界の構造に迫る著者の中国見聞記。不動産バブルの遺産となったゴーストタウンの紹介から入り、「ヒトが多すぎる」ことに起因する中国人の行動原理に迫っています。
中国人の「関係(グワンシ)」と結社、内陸部と沿岸部、香港上海の結社と黒社会など膨大なテーマをそれぞれの関連に沿ってとりあげており、安能務『八股と馬虎』『中華帝国志』を思わせます。
【本文より】
◯経済学的にいえば、人権とは「人間の価格」が高くなることだ。なぜ価格が上昇するかというと、需要と供給の法則によって、労働市場に流通する人間の数が足りなくなって希少性が生じるためだ。/それに対して人権のない国では、人間の値段は限りなく安い。独裁政治とか、宗教の桎梏とか、教育が普及していないからだとか、さまざまな説明がなされているが、根本的な要因は人間の数が多すぎることだ。
◯毛沢東は文化大革命において儒教をはじめとする宗教を全否定し、科学的社会主義を説いた。ところがその文革が巨大な人災を引き起こすと、共産党はそれに代わる規範を提示することができなかった。/このようにして中国社会は、これまで馴染んできた儒教(朱子学・陽明学)と孫子、三国志の世界へと戻っていった。これに司馬遷(史記)の歴史観と韓非子の法家思想、道教の民間習俗を加えると中国社会はほとんど説明できてしまう。
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中国は隣国なのに捉えどころのない国という印象でしたが、橘さんの切り口でその存在が明快になりました。
とにかく人が多すぎる、全てはここなんですね。
一枚岩に見えて、上の意向も下に都合が悪ければ黙殺される、など、共産党支配もバランスとるのに苦労しているのが窺えます。
開発だけしてゴーストタウンになってる街をメンツの為に維持するとか、いつまでもこんなことが続かないでしょうから、崩壊した時にどうなるか、日本としても備えが必要でしょうね。
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《橘玲的中国私论》
虽然读了不少书,但能称为好书的不多。这本书算是一本吧。
作者的名字橘玲乍看还以为是中国人。其实是个如假包换的日本人。以前看他的书都是投资炒股方面的,教人怎样赚钱实现个人财富自由。手法颇有钻空子之嫌,所以对他的印象并不特别好。感觉是个亦正亦邪,飘忽不定的人物。读了这本书以后对他的印象改变了不少。至少有两点可以肯定:一是橘玲的读书量很大;而是橘玲对这个世界的洞察很深刻。
虽然大多数观点是引用别人的著作,但橘玲对中国这个国家和社会的认识之透彻,让我这个中国人看了直冒冷汗啊。
这本书一开头先讲述了作者走访中国"十大鬼城"的见闻,指出中国现在正面临人类历史上最大的房地产泡沫。哪十大鬼城呢?内蒙古鄂尔多斯,天津滨海新区,海南三亚,河南郑州(郑东地区),安徽合肥,内蒙古呼和浩特,内蒙古清水河,河南鹤壁,浙江杭州天都城,上海松江区。说来惭愧,这些地方我都没去过。是真是假也不好说。
第一章:做中国人是怎样一种体验。作者提到了中国的人口,中国的关系和帮派。有意思的是他把某党说成是中国的一个秘密结社,黑社会,跟白莲教,天地会没有本质区别。
第二章:现代的炼金术。从90年代的乡镇企业讲到21世纪初的房地产和公共投资,讲述了中国政府如何通过各种手段聚集大量财富。介绍了中国社会无处不在的"隐形财富",也提到了腐败现象。
作者预言中国的泡沫会在2020年破灭。
第三章:反日和战争责任。作者没有回避这个敏感的话题。作者回顾了中日两国几千年的历史,指出没有中国就没有日本。日本人来自中国的南方人,日本的文字,思想,文化也都来自中国。另一方面,没有日本也没有现代中国。清末中国军阀割据,混乱无比,孙中山感叹是“一盘散沙”。正是列强,尤其是日本的侵略唤醒了中国人的民族意识。没有日本的侵略,共产党早已被国民党逼得弹尽粮绝,奄奄一息。所以毛泽东在1961年曾对日本的议员黑田寿男说:“如果有必要感谢的话,我倒要感谢日本的军阀”。
作者还拿德国和日本做了比较。德国人聪明的是虽然下跪道歉,但批判的对象是纳粹德国,是希特勒,而不是现在的德国人或者德国民族。德国人聪明的把国家和民族分离起来,而这种做法也被世人所承认,是关于战争责任的“世界标准”。所以说日本的主要问题还是放不下靖国神社。很遗憾橘玲并没有分析原因。
第四章:想民主化却又无法实现的中国。
在这本书里,作者把中国问题的根源归结于人口太多。中国人实在太多了,每个省的人口都可以抵得上一个国家。因为人太多,人就不值钱,人权无从谈起。因为人太多,人与人之间缺乏信任。因为人太多,整个国家很难实现民主。
中国这么大一个国家,要统治就只能靠独裁,而独裁就势必招来人民的不满和独立运动。所以几千年来,中国历史一再重演,无非是分久必合,合久必分。
中国会成为EU吗?
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全ての物事と同じ。デジタルなものではない限り、はっきり白黒をつけられる事は、あまりない。それにも拘わらず、国と国とのことは白黒をつけたがる人達がいる。
テレビで叫んだり、暴れたりしている人ほどでなくても、一般の人達の中でも、中国や韓国に対して相手のことを良く知らずに、マスコミなどの影響で悪い感情を持っている人はいるのではないだろうか。
あくまでも橘氏の私論だが、この本は現代中国を知ることができる。そして、いつものように読みやすい。鬼城の錬金術、実は中央集権が機能していない、近代世界の中の近世を引きずっている中国。日本を含めた、周辺諸国のためにも軟着陸してほしい。
また、謝罪は国としてしっかり行い、個人同士は大人の関係でわだかまりなく、仲良くしていきたいものだ。
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中韓関連の報道、情報に接すると、常にいわれなき誹謗中傷を受け、ゆすりたかりにあっている感覚があり、神経が苛立たせられることが多い。
まぁしかし、なぜそのように振る舞うのか、振る舞わざるを得ないのか、ということを理解できれば、そして、それに対して、どう対応すればよいか、ということを整理できれば、そう苛々せずにすむ。
そういった意味で、理解と整理を促進してくれる、良著。
「ネイション・ステイトは民族(国民)と国家を一体化するから、個人と国家の同一視はどこでも起こる。だが日本では両者の区別があまりにも曖昧で、中国や韓国から歴史問題で批判されると、まるで自分個人が批判されたかのように感情的に反応する人が多すぎる。
個人主義が徹底されている欧米社会では、過去の歴史について個人的な批判に晒されるのではないか、などという不安は考えられない。もしそんなことが起きたら彼らはすごくびっくりするし、そのあと、相手を「話をする価値もないバカ者」と見なして黙ってその場から立ち去るだろう。」
日本は日本。自分は自分。ということだろうか。
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Part2までは橘さんのもつ経済・金融的視点での中国論がとても参考になり共感が持てるのですがPart3に入ると途端に近代史・歴史認識に対する意見がブレブレに、時に一貫性なく支離滅裂になっちゃうんですよね。。。よって★-1です。
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「グアンジ」の視点から中国社会や人間の考え方と、それを見る日本人のまなざしについて考える一冊。情報量も多く、広い視点から中国を一歩深く見る機会を与えてくれる。