「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- 発行年月:197408
- 出版社: 祥伝社
- サイズ:18cm/248P
- ISBN:978-4-396-20020-6
読割 50
紙の本
狼のバラード (ノン・ノベル 20)
著者 平井 和正 (著)
狼のバラード (ノン・ノベル 20)
狼のバラード
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
電子書籍
第三作「人狼、暁に死す」は傑作です
2020/08/16 20:32
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一話:「地底の狼男」:前半と後半が全く場面が異なり、二つのストーリーを無理やり一つにつなげた感じです。タイトルだけを見ると、第一巻「狼男だよ」の第三話を思い浮かべてしまいますが、それは後半部分になります。前半は切り離して、本巻の第二話の冒頭部分にしてしまい、後半部は敵キャラの内面をもっと掘り下げて膨らませたほうが流れは良くなると思います。内容的にはマッドサイエンティスト VS 狼男という感じで、映画のスパイダーマンのノリです。
第二話:「狼よ、故郷を見よ」:ようやくサブキャラが立ってきた感じで、内容もとてもいいんですが、いかんせん古すぎて、戦前の世界に昭和四十年代の狼男を放り込んだような違和感があります。発表当時であればこういう秘境も成立したのかもしれませんが、衛星写真やGPSのある現代から見ればファンタジーの世界です。致命的なのがヒロインの名前で、昭和を通り越して明治を思わせます。イフガミが乗り移ったときに「みお」と名乗らせていれば、「犬神明を産み出す」というシーンとマッチしたのではないかと思います。
第三話:「人狼、暁に死す」:漫画スパイダーマンの原作として作ったストーリーが元ネタになっており、ムダなシーンがなく、サブキャラも立っています。傑作です。アンチヒーロー北野光夫の行動は義憤ではなく私憤によるものですが、「正義の味方」はどうあるべきか、公害企業を敵と見なしたが地球温暖化の進む現代であれば誰が敵になるのか、と考えてしまいました。また、ヒーロー犬神明は、しょせんアウトローで傍観者にすぎず、たとえ回心しても人類の救済者ではなく、個人に対する救済者にしかなれないという限界が見えてしまい、シリーズ全体が袋小路に陥ってしまう要因が垣間見えるようにも思えました。