泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病 （中公新書ラクレ）

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投稿者：朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

不妊治療と言えば、すぐに女性の顔が思い浮かぶ男性諸兄はこの本を読んだ方がいいかもしれません。ある統計では、不妊の3分の１の原因が女性、あと3分の1が男性、残りが不明という統計が出ていました。

精子の数や運動率は10代後半くらいをピークに徐々に低下していきます。同時に加齢に伴って DNA の損傷も進行するので受精能力も落ちます。精子も老化します。しかし、男性優位社会のためか、そうした情報は男性社会であまり共有されません。

そして、小学生の性の教育について、女の子は体育館で学びますが、男の子はほったらかしのまま。

勃起障害は男性が最初に自覚できる健康のバロメータです。陰茎は1～2ミリの血管サイズとかなり細いです。排水パイプも血管も、細い方が詰まりやすいですので、男性の体で一番最初に詰まりやすい血管が実はペニスの動脈です。だからED（勃起障害）を早めに早期受診することで血管リスクがわかるかもしれません。

中高年男性に同世代の女性に比べてメタボリックシンドロームが多いのは、テストステロン値が低下するからなんだそうです。ま、生活要因もありますが、テストステロンは主に精巣で作られ、筋肉の成長促進脂質代謝や糖代謝、認知機能や精神面にも影響します。しかし、男性は「ラーメンとか、酒とかなぁ」って生活習慣のみに原因を求めがちです。

男性学（アンドロロジー）がなんとも不人気なのは、そのホルモンの低下が緩徐に進行するからです。大きな事件はすぐさま注目されるけど、自殺率みたいに緩徐な死者は認識されにくいんですね。だから男性学の担当も少ないし、ニーズも少ない。

女性は、閉経とかホルモンの現象が軟着陸ではないので、自覚症状として女性が認識しやすいです。じゃ、男性のホルモン、テストステロン値が高ければ高いほどいいのか？って言われると、「テストステロン値が高いほど稼ぎが多い傾向があるが、実は損失も大きかったことがわかっている。リスクを恐れず勝負に出た結果と推測される。」そうですので、何事もほどほどがいいことになります。

「床オナ禁」「刺激の強すぎる自慰はダメ」とか男性にとっては耳の痛いお話です。しかし、女性のように身体に症状が現れにくいからこそ、備えておくべき知識ではないでしょうか？

あと、TENGAの話は良かったです。ハード→ソフトって。新書でTENGAの写真を見たのは、つい噴き出してしまいました。若い諸賢は是非。