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- カテゴリ:一般
- 発売日:2015/11/26
- 出版社: みすず書房
- サイズ:20cm/356,28p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-622-07940-8
- 国内送料無料
紙の本
パクリ経済 コピーはイノベーションを刺激する
著者 K.ラウスティアラ (著),C.スプリグマン (著),山形 浩生 (訳),森本 正史 (訳)
知財の未来にはコピーが必要だ−。創造性がコピーによってむしろ活性化する場合があることを、ファッション、レストラン、アメフトなど米国で一般的にコピーが合法とされている産業の...
パクリ経済 コピーはイノベーションを刺激する
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商品説明
知財の未来にはコピーが必要だ−。創造性がコピーによってむしろ活性化する場合があることを、ファッション、レストラン、アメフトなど米国で一般的にコピーが合法とされている産業のケーススタディで明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
イノベーションとイミテーションに関する六つの教訓とは。
郊外のショッピングモールから街のビストロまで、パクリはあらゆる場所にあふれている。「コピーは創造性を殺す」「法律によるコ ピー規制がイノベーションには欠かせない」――通常はこう考えられている。しかし、コピーは絶対に悪なのだろうか?
本書は、創造性がコピーによってむしろ活性化することがあることを示す。ファッション、外食産業、アメフト、コメディのネタ、フォント、データベース産業など米国では一般的にコピーが合法とさ れている領域のケーススタディからわかるのは、知財規制がないほ うがむしろイノベーションが加速されるということなのだ。
なぜそれらの業種は繁栄しているのか? インセンティブとイノベ ーションの関係から、その6つの原因を探り、知財法と経済学のあ いだを埋める試み。【商品解説】
目次
- ■はじめに
- 料理
- コメディアン
- アメリカン・フットボール
- ■第1章:コピー商品とファッションの虜たち
- ファッション産業超略史
著者紹介
K.ラウスティアラ
- 略歴
- 〈K.ラウスティアラ〉カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)法律学教授。法務博士(J.D.)。政治学博士(Ph.D.)。
〈C.スプリグマン〉ニューヨーク大学法学部教授。法務博士(J.D.)。
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紙の本
丸善がぁ、薦めるからぁ、買ってみたよ。
2016/02/15 23:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
↑こういうの、一度、言ってみたかったんですよ。
著作権ってのは、音楽業界の著作権や、製薬会社の特許権みたいなシビアなルールのある業界もあれば、コメディや料理といったこうした独占には「ゆるい」業界もあります。
でも、フタを開けると、コピーが氾濫しても驚くくらい創造性が反映しており、筆者らは「著作権侵害のパラドックス」と分析し、多岐の業界にわたる実例をあげていきます。
知的財産権にはクリエーターを保護する目的があるのですが、規制が多すぎると、競争が少なくなります。これまでコピーは創造性の敵とみなされてきたんですが、ココ・シャネルのように「コピーされるのは成功の代価」とする人はいても、少数でした。
コピーを許すことで、洋服のブランド名はダメだけど、そっくりな柄のコピーはファッションにとってターボチャージャー的な部分もあります。料理におけるコピーだって借用することで発達がある。競争の発達でさらなるイノベーションが起こる。
アメリカの著作権保護法は「原作者にオリジナル作品で、有形の表現媒体に限定」されたものしか保護しません。だから、料理やコメディの「業界」では悪質なコピーは評判による制裁、元ネタの熱狂的ファンがパクった人の「恥さらし」動画をアップしたりしていたのですが、オリジナルへのリスペクトがちゃんと示されていたら、友好的なようです。法律的な保護が少ないゆえに、業界の社会規範が重視される世界です。
知的なアイディア、例えば、将棋やスポーツの戦法も著作権で保護しません。パイオニアは大きな改善をするけど、検証が十分でなく、改変するパクリによってエッセンスが抽出され、多様化され、もっと効果的なバージョンになったりします。これは評判が対価で、これにお金が介在すると、すぐハードル高くなってダメになります。業界自体が衰退しかねない。
私たちは創造への強い欲求があるのですが、創造とコピーはコインの裏表で、対立するもんじゃない。
最近広がってきたオープンソースは、創造的な人が持続的イノベーションのために開放的で、本質的に協力に重点を置きます。支配がないことに基づく世界。
そうしたネットワークが「ある」だけで他よりも価値を高めることができ、逆に新規参入の劣悪なコピーを排除することにもなります。その上で、コピーは「入門編」という役割を兼ねたりするので、「本家はこっちですよ」っていう道しるべにもなる。
こういう意味で既存ブランドは、評判の検索の必要なくいい品質を得られるショートカットです。だから法的権利だけが利益を増やす唯一の方法ではないし、多くの人は「自分の方が平均より頭いいし、創造性がある」という楽観バイアスがあって、コピーと創造性において、そのバイアスはエンジンになったりします。
逆に特許レースに勝ったら「一人勝ち」で僅差の準勝者には何もないというトーナメント的性質は実はコピー業界にもあって、あえて規制しない世界は意図的にフリー戦略をあらかじめとったのではなく、保護が認められなかったけど、たまたまよかったっていう結論になります。
私見です。ネットオークションが導入当初、絶対サギばっかりになるっていう悲観論が「評判」によって案外そうでもない世界っていうのを目の当たりにしたのを想起しました。
日本の強みは、ゼロからのクリエイトな部分じゃなくて、すり合わせ能力、つまり具体的な課題があって改変する能力に特化しているんですが、なんかそれカッコ悪くない?ってなっています。2番でもいいじゃない。強い部分はそのまま生かしましょうよ。