統計学：Ｒを用いた入門書 改訂第２版

投稿元：

レビューを見る

有意水準αは0.05にする慣習は多くの統計本に書かれているけど，βを0.2にする慣習についてはこの本で初めて見た。


*****
最も重要な科学的概念の1つは証拠の非存在は非存在の証拠ではないというものである。(p.3)

よくある間違いに，「データをモデルに当てはめる」と言うことがある。あたかも，データとは何か融通がきくものである一方，モデルの構造は鮮明な像として描けているかのようである。しかし，それとは逆である。求めたいのはデータを記述できるような最小十分なモデルである。モデルがデータに当てはめられるのであり，その反対ではありえない。最良のモデルとは，そのモデルの中のすべての母数が統計的に有意であるという条件の下で，説明できない変動（残差逸脱度，residual deviance）を最小にするモデルのことである。(p.6)

　自分自身で高度な統計的解析が行えなくとも，それはたいした問題ではない。実験が適切に計画されているならば，たいていは統計解析の手助けをしてくれる誰かを見つけることができるものである。しかし，実験が適切に計画されていないときには，あるいは十分に無作為化されていなかったり，然るべき管理に欠けるところがあるときには，いかに統計学に通じていたとしても，実験に掛けた努力の幾分かが（ときにはすべてが）無駄になることになる。高度に機能化された統計解析といえども，質の悪い実験を良いものへとは変えられないのである。確かにRは優れているが，そこまで求めるには無理がある。(pp.8-9)

分散が異なっているときは，平均を比較すべきではない。(p.66)

筆者はブートストラップによるもの[信頼区間]を好んでいる。少ない仮定の下で求められるからである。(p.73)

分散分析表はあまりにも仮説検定に力点を置きすぎていて，効果の大きさとその非信頼性については直接何も述べていないのである。(p.145)