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商品説明
文学、芸術、自然科学、哲学、そして家庭。人間味あふれる言葉の数々−。ドイツ古典主義を確立させた文豪、ゲーテとシラーの往復書簡集。下は、1798年〜1805年の書簡を収録。詳細な解説、索引なども掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
一次情報
2018/08/25 18:03
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:め - この投稿者のレビュー一覧を見る
行きつけの書店の棚にあるのは知ってはいたものの、ハードカバー二段組上下巻という容量に躊躇した。別に研究者じゃないしと半ばスルーするつもりになっていたけど、「イタリア紀行」読了時点で考えを改めることにした。
結果、読んでよかった。むしろ最優先で読むべき本だった。編集と翻訳を経ているとはいえ、なにしろ一次情報、なにしろ当代一番二番。天衣無縫で気ままなゲーテと、高潔で真面目な理想家シラーといった人となりも見えてくる。そんな二人が、ハイレベルな芸術談義の合間に、「ラスク」や「きのこ」や「カブ」を送り合っていたりする。
何より最高なのは、手紙の中で言及された地名、人名、二人の作品名が索引になっていること。試しに「カント」で引いてみると、わずか十数秒でこんな記述に到達することができる。
360、ゲーテからシラーへ テュービンゲン、1797年9月14日
「思いがけないことに、この地に来てカントの小さな著作に驚かされました。きっとあなたもご存じのもので、『哲学における永遠の平和についての小冊子完成の予告』です。彼一流の考察法によるたいへん貴重な作品で、彼が書いた他のあらゆる著作と同様に、きわめて優れた卓見が含まれています。しかし一方で全体の構成や文体については通常のカント風よりもなお一層カント風です。」(上巻p.414)
362、シラーからゲーテへ イェーナ、1797年9月22日
「カントの小冊子は私も読みました。目新しい内容を提供するものではありませんが、そのすぐれた着想の数々には喜びを覚えました。この老先生の中には何か真に青年らしいものがあって、哲学的な官庁スタイルとでも呼びたいようないまわしい形式に当惑させられるようなことさえなければ、それはほとんど美的と名づけても良いようなものです。」(上巻p.421)
手紙の往復は999通目、ゲーテからシラーへ、1805年4月26日か27日に書かれたとされているもので終わっている。内容は、同封した原稿に目を通してほしいといういつもの依頼。シラーからの返事は無い。理由を告げる編者からの短い一文を読む頃には、後に味わったであろうゲーテの喪失感のいくばくかを想像できるようになっている。