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読んだ読まないは別にして、80年代に社会科学を学んでいて「構造主義」の名前を知らない人はいないと思う。ニューアカブームの真っただ中、「ポスト構造主義」などといわれていたわけだから。講談社現代新書から出ている『はじめての構造主義』は読んでいた。ただ、他に適当な入門書がなく、原本にあたるのはかなり難しく、そのままになっていた。久しぶりに構造主義の名を見て、番組を見てテキストも読んでみた。難しさは変わらないが、いまの時代、西欧的な文明の行き詰まりの中、考えるべき要素が詰まっている。勉強しなおしたい。
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(2017.01.09読了)(2016.11.28購入)
【目次】
【はじめに】人類の思考を変える起爆力
第1回 「構造主義」の誕生
第2回 野生の知財と「ブリコラージュ」
第3回 神話の論理へ
第4回 「野生の思考」は日本に生きている
☆中沢新一さんの本(既読)
「チベットのモーツァルト」中沢新一著、せりか書房、1983.11.20
「宗教入門」中沢新一著、マドラ出版、1993.02.01
「僕の叔父さん網野善彦」中沢新一著、集英社新書、2004.11.22
「憲法九条を世界遺産に」太田光・中沢新一著、集英社新書、2006.08.17
内容紹介(amazon)
「野生の思考」は日本に生きている
フランスの人類学者クロード・レヴィストロースが1962年に上梓した『野生の思考』。北米大陸先住民の神話や儀礼などから人類の思考に普遍的な「構造」を発見し、20世紀の思想史を大きく転換する「構造主義」の先駆けとなった。この古典を通して、現代日本社会やそこに生きる我々の心性を見つめなおす。
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哲学から民族学へ思考の対象を移して行ったレヴィ=ストロースの55年前の著作'野生の思考'を人類学者中沢新一が解説。歴史主義的な進歩の発想に基づく考え方で、政治も経済も行き詰まり感がある現代で、改めて'野生の思考'に立ち返ることが、人類の未来を予見する上で重要になると示唆。抽象的な概念化で理解するのでなく、自然界の具体的実在で構造を把握する未開人の'野生の思考'方法に光を当てている。ポスト資本主義とは何かを考察する上で面白い考え方である。
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●野生の知財と「ブリコラージュ」
●素材を分割してレイアウトする『ディヴィジョニズム』が日本の料理を美しくしている。
→混ぜ合わせない。自然を再現する並べる発送。
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企画展示の参考資料として。
今回のテーマは「レヴィ・ストロース」を取り上げていますが、彼の代表的な著作の一つである『野生の思考』についての解説本です。
レヴィ・ストロースがフィールドワークから何を読み取り、どのように構造主義思想を確立していったのか、そしてその思想で何を伝えようとしたのか、ということが説明されています。
基本的に現代思想(哲学)系の話は得意ではないので、「読みやすい」とは思いませんでしたが、何となくレヴィ・ストロースが主張していたことがわかったような、気にもなります。
西洋の近代文明と比較して、「未開社会」が劣っているわけではない、という彼の主張そのものには共感できるのですが、では「未開社会」がもつ「野生の思考」とはいったいどういうものなのか、ということを(ブリゴラージュ、という言葉がキーワードになるように思いますが)しっかりと理解して他の人に説明できるようになるには、あと何回か読み返す必要があるかもしれません…。
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中沢新一によるナビゲート。ニューアカのスポークスマンだけあって、普通の人に分かりやすくというツカミはさすがに上手いと感じる。ただ、その手際よい料理の過程あるいは料理自体のモチーフとして中沢の饒舌なカラーリングされた世界を感じてしまう。そしてその時、レヴィ=ストロースは展翅台の豪華な蝶のように滅菌され、採集者=中沢がタイトルに迫り上がってくるようだ。
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ずっとその物語が身近に感じられる条件はキャラクターだと思っていたんだけど,それだけではなにか不十分なのではないかと思っていたけど,いい言葉が思いつかなかった。それでレヴィ?ストロースの考え方に接してみて,「構造」っていう考え方がしっくりきた。その時の意識が物語の中に再現されているかどうか,そこがキーポイントになるのだと気づいた。レヴィ?ストロース自体は大学入学してすぐに知った名前だったのに。接しておけばまた違った見方ができたのではないかと思うとちょっと悔しい。
日本は「自然を人間化する」(p93)という指摘はなるほど〜と思うしかない。でもなぜ日本はそういう文化を育んでで来たのかが気になる。話題の築地の話もあるけど,築地を作ったときにはどうだったのだろう?というところに興味がある。むしろ豊洲に「文化」が無い,もしくは反映されたものになっていないと思われていることが問題なのだろう。
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”100分de名著『野生の思考』の中沢新一さんによる解説テキスト。
4章を読んで、日本との関わりについて知れたのもよかった。
<抄録(抜き書き)>
<きっかけ>
第74回 人間塾での課題図書『レヴィ=ストロース入門』の副読本として。”
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これまでレヴィストロースの「野生の思考」を十分に理解できていなかったことがわかった。可能であればいつか原著を読んでみたい。
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私たちはいまだに新石器時代人の末裔であり、その文明も新石器時代におこった飛躍を展開し続けているにすぎない
ネットワークと情報検索による変化の兆候 再利用、シェアリング、公正な再配分 (P83)
ーーーー
野蛮だなと思ったら、ここは新石器時代か。なるほどそうなら合点がいく。
(個人的なメモ)
ヤコブソン ロシアンフォルマリズム
P13 神話の構造と音楽の構造の深い関係
P21 自然から量子にいたるまで、宇宙の進化・変容そのものがコミュニケーション
人間の言語はコミュニケーション全体系の中に出現した一つの位相にほかならない
P22 言語におけるコードは「弁別」のシステムでできている
可聴音のなかからごくわずかな音だけを有用な言語音として取り出し、それらの音を「相関・対立」させて弁別の体系をつくっている
あらゆる文化が弁別のシステムに拠っている
自然は言語でいえば、連続的な音響世界
文化はそこから少数の要素を取り出して、相関・対立させ、構造をつくる
構造を変換したり、組み合わせたりすることで、人間の文化は形成されてきた
P24
・隠喩(メタファー)や換喩(メトニミー)を通じて、全体が共鳴しあっている小宇宙をつくるのが詩
・音響と意味が一体となって響きあう 人間の言語のベース 日常言語が言語の基礎ではない
P25 人間の精神の根源で動いている構造に最も近い表現形態は、詩であり、音楽であり、神話
ーーー日本庭園は詩的
P35 具体の論理 現地人が用いる知性
P37 神話的思考によって世界の意味をとらえようとした
P38 感覚の「縮減」
物事を小さくすることで、知的理解に取り込むことの快感(ミニカー、模型)
模型を楽しんでいた人が実物、巨大すぎるものへ驚きは、宗教に近い
連続的な自然を縮減して、文化的な構造をつくる
P41 呪術的思考 呪術と科学が用いる知的操作は本来同一
新石器時代の呪術によって蓄積された知識が近代科学を生み出すもととなった
P42 科学的思考ではまず概念を組み立てる 具体的要素を取り除き、特定用途にぴったり合うように作り出された知的道具
それに対し、先住民の思考は記号を用いる
記号には概念と違って。ゆらぎやずれが含まれている
シニフィアンはシニフィエからたえまなくずれていく
あり合わせの道具材料を記号として用いるブリコラージュ
できあがったとき、計画は当初の意図とは不可避的にずれる
P43 ブリコラージュ的才能をもった人々の手になる建築物は、まるで生命をもっているかのように動く
概念ではない記号に拠っているから
P46 記号を用いてブリコラージュを行うのは、呪術も同じ 呪術、神話、儀礼
ーーーブリコラージュ、神話とつながらず、解け、調和が崩れた瞬間、統合失調的事態とかみひとえ
P47 星占いは中世に占星術として発達するまえに、新石器時代から発達していた
占星術や錬金術のような呪術的思考は、科学の母体
新石器時代に呪術的思考が体系化されていたからこそ��のちの時代に科学が生まれ得た
P47 旧石器時代と同じ脳、心の構造
P49 現代にむかって突き進んできた人間は、構造を否定して、歴史にむかい、それを表現する進歩や発展という考えを広めてきました。 発展、進歩、GDP増大
出来事によって動きを変化していく歴史が人間の思考を支配するようになった
人口過剰が大きな原因
構造と出来事を対立させ、構造を冷たい、出来事を熱い
P50 冷たい社会:エントロピーの低い社会 構造が循環的作動をすることができる
熱い社会:エントロピーが増大し、秩序が解体してくると、構造がうまく機能しなくなる
野生の思考⇔栽培思考、家畜化された思考
人口過剰の原因は穀物栽培による余剰生産物の発生
余剰生産物が発生し、分配システムに矛盾が発生することで歴史と国家が生まれた(マルクス)
縮減と構造化を原理とする人間(とコンピューター)は構造を破壊された世界で漂流しかかっている
P51 ブリコラージュによる呪術的思考は構造の世界に適合する知性形態
科学的思考は出来事による歴史の世界に適合した知性形態
~おおもとは同じ
効率を優先する科学と技術の思考は「栽培=家畜化された思考」として、現代世界を現出させてきたが、いま、壁にぶつかっている
構造:変換を行っても不変の属性を示す諸要素
P55 構造:もともと空間的な性質をもっている トポロジー(位相幾何学、連続変形しても変わらない性質を取り出す)
人間の心の構造ではトポロジカルな自在な変換がおこっている
→人間の群論
ーーー樹形的なもの(トーテミズム)から、トポロジー、群論へ
P59 トーテミズム 分類や命名の行為
ーーー命を与える、世界での座標、人間や自己との距離をはかる
トポロジー的にはひとつの量とベクトル、abilityの配分だけ
P60 変換の体系
P62 オーストラリア先住民 社会組織に関してはおそろしく知的 博識と理論趣味
社会組織の形や自然界との関係をつぎつぎと変換していくことによって、自分たちの部族の知的財産を他部族のものとは異なるように仕立て上げています
群論 変化の体系
P65 トーテミズム 構造の巨大な変換体系の一部分
婚姻制度、社会制度のみならず、
儀礼や神話を通して表現される、人間と自然の対応関係に分析の歩を進めていく
P66 反転した儀礼 争いを防ぐための最高の政治哲学「鏡像関係」
P69 神話は人類最初の哲学 神話は弁証法的思考
神話はあえて社会の規則を反転したり、否定したりしながら、この宇宙での人間の生の意味を考える
神話思考;世界が矛盾として成り立っているという認識に立つ
文化は自然との間に矛盾をはらむ
P74 2つたがいに入れ替わり、相互貫入し、循環をおこなっていくことで、生ある世界は持続できる
生命自体が矛盾そのもの 弁証法的論理
P78 資本主義;贈与や増殖、新石器時代から連なる野生の思考がベース コンピュータも
P80 人間の知性 外からなにかがやってきたわけではない モノリスではない
生命は自分の手持ちの材料とプログラムだけを用いて、それらの組み合わせを新しくつくりかえることだけによって、進化 進化は不器用なブリコラージュ
ーーーいち方向に時間が流れているとか、考えるから進化などと考えてしまう
時間すらも変換を担う変数のひとつ
P81 構造主義 近代の進歩や発展など前のめり観念が幻想であることを示した
P82 ネットワークと情報検索による変化の兆候
再利用、シェアリング、公正な再配分
情報検索の専門家は、対象とする著作物の実質を否定したり議論したりはせずに、それを分析してコードを抽出する
P89
プラクシス 実践 行為する人間が自分自身の目的のために事物を「使用する」
ポイエーシス 事物をそれ自体の目的のため、使用する人の目的のために「作り出す」
自然な過程と通して、外へ表れるようにする
テクネー 対象物の中に入ってる事物の本質を無理やり挑発的に外へと取り出す
労働概念の中へポイエーシスの要素を取り戻そうと考え、日本の職人の中に生きているはずだと睨んだ
ポイエーシス的労働 民藝、用の美(柳宗義)
職人が自然の中に隠れいている本来の機能を受動的に取り出して民藝品をつくる
他力思想(浄土真宗)
職人の仕事は、自然物が語りかけようとしているメッセージを聴き取り、特殊なコードによってそれを理解し、それを内側から外側へと取り出す営為 … ポイエーシス 民藝思想の中心 日本的霊性(鈴木大拙)
P93 日本の人々 自然を人間化する
人間の目的のための「はたらき」を借りて、自然のもつ自発性を生かしながら、最適の環境をつくり出そうという努力が重ねられてきた → 日本の美しい風景 ー庭園、田園
P97 自然の人間化、により自然は敵対的で恐ろしい対象ではなくなり、人間の世界とうまく接続されるようになる
P100
ーーーポケモンの属性はドラクエやFFの魔力属性を受け継いでいるだけだし、そのルーツは西洋魔術ではないのか?難解な概念を簡単なことばで説明するのがすごくうまい、と思ってた。けど、このポケモン論をみるに、一歩調べて叙述されているわけではなく思いつきけっこういい加減だったりするのかな?と思ってしまった。
P102 食事の体系 かまどの火
火の利用、大きな転換点 →数多くの料理神話
かまどは自然界のさらに奥にある死の世界との間にできた通り道
P103 料理の三角形
生のもの(自然) 火にかけるもの(文化) 腐ったもの(文化)
P104 ソシュール、ヤコブソン
通時態 様々な要素が時間軸に沿って順番に並んでいる秩序
共時態 様々な要素が同時に並列的に並んでいて、その中から選択をしていくという秩序
P105 divisionism 分割主義 日本料理の特徴
ーーー原始的なだけでは?
P107 市場は共同体と共同体のちょうど中間にできたインターフェイスの場所
P108 戦争と市場は対になるような機能(そうかな?)
P109 日本文化 野生の思考を高度に発達した科学技術と同居させた、まことに稀有の文化
ーーー菊と刀にも書かれていたことではあったが、WW2敗戦によって、日本人は根源から切り離された部分は大きいだろう。わずかに残された日本的なものも、観光で切り売りするうちに、変容しつつある。伝統産業も過去の搾取構造によって成り立っており、若い人材やアイデアが育ちづらい。保護的な政策をとるよりも構造転換が必要だろう。
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入門書としてとてもわかりやすくてよかった。
必ずしも原著の全体像の要約にはなっていないのだろうけど、そうなっていることは別に入門書の必要条件ではないと最近思う。そうではなくて、最も重要な勘所をわかりやすく説明することが必要条件なのではないかと。本書はそこを満たしてくれるので、さーて次はいっちょ原著に行きますか!という気にさせてくれる。
他方で日本の特殊性への言及に終始した4章は自分にとって蛇足だった。そもそもそういう「おらが国は特別だべ」という自己言及を構造主義は嫌ったのではなかったか?とはいえテレビ的には必要な章だったことは理解できる。
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野生の思考というより、レヴィ・ストロース概論という内容だと思う。
構造の何たるかも判ったつもりになっているけれど、チョッと怪しいなと思い到る。
トーテミズムに対する批判。構造を作り出すメカニズムの一例がトーテミズムとのこと。
肝心のブリコラージュについては、偶に目にする。藤森照信「茶室学」にも言及があったな。
自然の人間化として鳥獣戯画やポケモン、ゆるキャラが取り上げられている。納得するけれど、自然が遠くなり、こういう形になっているとも思う。
レヴィ・ストロースについては「悲しき熱帯」の訳文の酷さにウンザリしたっきりになっている。そろそろ、ちゃんと手に取ろうか。
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野生の思考で主張している主な内容は、現代の科学的思考方法からみれば、未開社会では、まるで不完全で、野蛮で、非合理的なことを考えているような印象を持っているが、実はそうではなく、未開社会では、自然界に満ちている具体的な事物を素材にして、世界の本質を考えるということが行われている、ということを主張している。
解説者によると、弥生時代以後の古代に日本人の思考(=縄文人の思考)と考えてとらえると理解が進みやすいという。
縄文人=前期新石器時代人は自分の周りの自然を徹底的に観察し、食物や経済的に利用できる動植物ばかりでなく、利用しない動植物についても、また風や水なのどの自然界の出来事すべてに対して「野生の思考」を適用し考え抜いていたはず。分類と変換にによって、つまりは「構造」の思考によって知識の体系を作り上げていた。
レヴィストロースの考え方は構造主義と呼ばれている。
***
茂木健一郎のvoicyでレヴィストロースのブリコラージュという言葉を初めて知り、手に取ったもの。抽象的な概念が語られるこの手の本はとても苦手。自分自身の力のなさを痛感。せめてブリコラージュという概念だけは忘れないようにしよう。
voicy
https://voicy.jp/channel/1136/258828
理想はいくらでもあるだろうが、手元にある情報、環境、材料を使って最善を尽くすというのがブリコラージュ。日曜大工に例えられる。
野生の思考の原題は「ラ・パンセ・ソバージュ(野生の思考)」というらしいが、「野生のパンジー(三色スミレ)」という意味もかけられているという。表紙にはきれいなスミレの絵が描かれている。
思考:pensee
パンジー:pensee
野生種:sauvage
最も印象に残っているのは、「ブリコラージュとは何か」の章で出てきた「ブリコラージュする人=日曜芸術家」の説明としてでてきたシュヴァル(1838-1924)というフランス人。なんとこの人、南フランスの小村で郵便配達の傍ら拾い集めた石を庭に積み上げ、33年をかけて不思議な宮殿「理想宮」を完成させてしまったという。掲載されている写真をみると、とてもじゃないが趣味程度にやったなんてレベルではない。まるでアンコールワットのような古代遺跡を彷彿とさせる。本職の芸術家ではない郵便局員という立場ながら、石を積み上げることに没頭し、これだけのものを完成させたという点で、「日曜『芸術』=ブリコラージュ」であり、(周囲からはおそらく変な目で見られていたかもしれないが)この人の人生はさぞ幸福感に満ちていたのではないかと、感じた。
シュヴァルの理想宮
https://cheval-movie.com/info/cheval
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「野生の思考」に憧れて。用語が中途半端に専門的で分かりづらい。ビデオの板書代わりにと思ったけど、それ用には使えないような気がする。
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映画「シン・ウルトラマン」でウルトラマンが「野生の思考」という書籍を読んでいるシーンがあります。
全く人類と接点のなかったウルトラマンがどうして人類を守ることになったのか、その理由を知るために「野生の思考」を読もう、と思ったのですが、いきなり読むのはハードル高いので入門書としてこの100分de名著シリーズを読みました。
100分deとのことでしたが500分くらいかかった気がします。難しい。
「シン・ウルトラマン」についてのネタバレがちょっとあるかもしれないので注意してください。
誤読かもしれないですが自分なりに解釈すると、
・結論
未開人は決して思考停止した習俗文化の中で生きているわけではなく、生きるために思考したことによって文化を作ってきた。
→どうしてそう結論づけたのか
レヴィ=ストロースは多くの部族の文化を構造化すること(共通点や差異を表すこと)で「未開人の思考」を知る。
未開人は自然の中に現れる構造を、自分たち人間の中にも現れる構造として捉えること(例えば、鳥の世界と人間の世界には親子関係や音声でのコミュニケーションなど対応している部分がある)によって、婚姻様式や儀式や狩猟方法として応用してきた。
そういう論理に裏付けされて、未開人の文化が出来上がった。
・ウルトラマンは何でこの本を読んでいたのか?
「高度な文明を持つウルトラマンの属する光の国=近現代人」「地球人類=未開人」として見立てることで人類を理解するために、この本を読んでいたのかもしれないと思った。
・この本を読んでウルトラマンはどう思ったのか?
映画の中でザラブやメフィラスは地球人類を自然の生き物(牛やアリ)と同じもののように見ているのとは対照的に、ウルトラマンは地球人類をどちらかというと自分と同じもののように見ているように感じた。
最終的にウルトラマンは地球人類と同じような行動をとっていくが、それは地球人類の行動に論理があると思ったからじゃないかとこの本を読んで思った。
また、レヴィ=ストロースが未開人を理解しようとする姿勢と、ウルトラマン自身が地球人類を理解しようとする姿勢が重なったのではないかと思った。
・まとめ
「野生の思考」とは、他者を理解しようとする心なのかなと思いました。