紙の本
あれ?に気づく視覚の面白さ。
2021/04/04 13:06
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぷー - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの写真にもパッと目を引く色がある。色を目でなぞると、普段は気にしない形が見えてくる。それに釣られて隅々まで見ていくと、あれ?こんなの最初から写っていたんだ、と発見する写り込みに気づく。
日常のまったく気にしないところで起こっているストーリーに(それはきっとこれからも日常では気づくことはない)、想像力が広がる一冊。
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベニテングタケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元ヴォーグの写真家だけあってお洒落。
でもトリミングの仕方が面白い。雨の降る窓越の写真や傘の華が咲いている
写真など、センスがいいな~と思う。
さすがNYっ子。
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2017年4月、渋谷Bunkamuraを皮切りにはじまる巡回展<ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展>の図録も兼ねた一冊。
この本を手にすれば展覧会は観に行かなくても済むくらい充実している(いや、実物を観に行った方がいいのは確か)。
画家を志したソール、ブレッソンとの共通点、ソールと日本、日本画との親和性、気難しそうな若かりし頃のソール・・・ 色々なソール・ライターの知らなかった部分が一気に展示されている。素晴らしい回顧展だ。
本書を読んでその素晴らしさを振り返ることができる。映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』の日本語字幕を担当し柴田元幸氏も文章を寄せており、映画の字幕のソールの言葉を”断定口調にしないこと”を心掛けたという一文がいい。
ソールの作品は、見る側に「これが主題だ!」というものを押し付けてこない。大切なものは目には見えてこない(簡単には)。
ソ―ルの作品は、ぱっと見て目を引かれるが、何が捉えられているのであろうと、目をこらさないといけない。大切なものを探そうと心が動き出す。そんな体験をさせてくれる素晴らしい作品群だ。
そうだDVDで映画も見直そう。
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ソール・ライターの写真は、どれもが「浮世絵」です。
ソール・ライターの写真は、どれもが「市井の物語」です。
そのまなざしは、とても温かです。
多くの写真は、1950年代に撮られていますが、構図・色の使い方など、とても60年以上前のものとは思われません。
非常に現代的であり、抒情的であり、まさしくアートと言えるものです。
ソール・ライターの写真は、どれもが「芸術」です。
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傘が大好きなんですねw
展覧会に行った訳ではないけど、話題になっていたソール・ライターと柴田元幸さんの組合せ。これは、図録でもあるのかしら。
ファッション写真はどれもモデルのさり気ない一瞬を捉え、とてもリリック。若き日の輝きに満ちたカルメンの姿も素敵。
そしてところどころに名言が添えられていて、読み応えあり。
恥ずかしながら、私も写真を志していたので、彼のつぶやきに深く共感してしまった。
「私が写真を撮るのは自宅の周辺だ。
神秘的なことは馴染み深い場所で起きると思っている。
なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ。」
「雨粒に包まれた窓の方が、
私にとっては有名人の写真より面白い。」
「いちばん良いものがいつも見えているとは限らない。
美術の歴史は、偉大なものが放置され無視され、粗悪で平凡なものが賞賛されてきた歴史なのだ。」
「重要なのは、どこで見たとか、何を見たとかいうことではなく、どのように見たかということだ。」
など、どれも私に染み渡る言葉たち。
最後に寄せた柴田元幸さんの文章では、ソール・ライターと詩人を重ねて語っている。
写真って、詩だと思う。なかなか素敵な本だった。
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福岡のブックスキューブリックで面展になっていて、思わず購入してしまった。
ガラスや鏡に写り込んでいる被写体を写すとか、のぞき見しているみたいな写真とか、瞬間の切り取り方が好きだ。
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映画を見て、もっとこの人の作品に触れたくなった
言葉で訥々と語る彼が
写真を通して語りかけるような気がして
ようやく 意味が分かってくる
一枚一枚に込めた 写真の意味
そして、写真家としての、彼の意義
素晴らしい
言葉も、写真も
表現はやっぱり悪くない
深刻にならずに、熱中したい
子どものように
永遠に 大人を忘れるかのように
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ガラスや鏡や水滴に写り込んだ多重のイメージ、大胆な遮蔽物の隙間にのぞく表情。抜けた色合い。
今見れば、典型的なお洒落写真にも見えるけれど、こういうのがかっこいい写真だということにしてみせたのがソール・ライターだったのだ。
名言集もいちいちかっこいい。
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『The secret of happiness is nothing to happen.』
穏やかな人生を求めたい。人生をかき乱す原因は往々にして人との関係に由来する。そうだとすれば、世捨て人のように出来るだけ世間との接触を絶って生きていくのが良いのかも知れない。そんなことを徒然に考えたりもするが、もちろんそれが容易ではないと直ぐに思い至り躊躇が生まれる。けれどソール・ライターは、ひょっとしたらとそんな困難な人生を敢えて歩んだ人であったのか、そんなことを信じてみたくなる。「孤高」。思わずそんな言葉が口を衝いて出る。それが少しばかり極端に切り取られた彼の人生であると解ってはいても。
その印象を生み出すのは彼のbiographyではなく、撮られたphotographyだ。しかも経済的に困窮していたと言う後年の時代の写真ではない。ライターがまだファッション写真を撮ることを生業に活躍していた時期の写真に、既に何かひっそりと生きる仙人のような息遣いが漂っている。ライターのいわゆるストリートフォトは、誰かに向けて撮られたものでもなく、強く個性を主張するためのものでもない。ただただ写真家の「印象」を幾分凝った構図の中に封じ込めたもの。そこに写る人々はカメラと対峙する被写体として存在する訳ではないのに、背負った人生をその瞬間に表出しているかのように写り込む。しかし往々にして、その存在は切り取られた視覚の片隅に追いやられ、背景に後退する印象を与える。踏み込まない。そして踏み込まれない。そんな距離感がその写真からは感じられる。
『A person's back tells me more than the front.』
自分の撮る写真もまた、はからずも人の背中が中心だ。余白を絞り切れない背景の中でそのプロフィールが何かを語りそうになる瞬間が自分は好きだ。人は幾ら公の場に居たとしても見られている気配に対して無防備である時、内面を思わず晒してしまう生き物なのかも知れない。その漂う気配と辺りの風景は決して無関係であるようには見えない。
あるいは逆に、瞳の写り込んだ写真には、見る側に特別なシナプスの結合を促す作用があるということなのかも知れない。アンリ・カルティエ=ブレッソンのポートレートやハービー山口のポートレートのように、何かを語りそうで語る寸前で止まっている被写体は不安な気持ちを掻き立てないが、瞳の映る写真の多くは見るものを糾弾するように不安な気持ちに追い込みがちだ。それは、ソール・ライターのポートレートでさえ同じこと。いや、むしろ、ライターのポートレートではそれがより強く感じられるようにも思う。
ライターは写真に閉じ込められた被写体の人生の悲哀を見通せてしまった。だからこそ、輻輳するリフレクションの中にそれを封じ込め、一見したところ意図を感じさせないストリートフォトを追いかけたのでは? そんな答えのない問いを投げ掛けて見たくなる。
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ソールライターの写真集。
ファッション写真をとっていたから、かっこよくスタイリッシュな写真が多い。
でも、スタイリッシュなだけではない。
この写真集には何らかの「リアル」が感じられる。
人を遠くから眺めているような、何か(例えば、雨の降った窓から、車の窓から)から、人を覗いているようなショットが多い。
背景のように配置される、撮られていることを意識していない人達。
真正面からカメラと向き合っているような写真はあまりない(後半のヌードの女性たちは若干、カメラとの1対1の対決の様にも見えるが)
それは、ソールライターが、人間を、他人を、簡単に理解できるものではないと考えているからだと思う。
自分自身ですら、実は理解できていない、不可解な人間と言う存在。
一人一人の人間をそのまま、距離感のあるまま映す。
そのことがこの写真の真実さ、ソールライターの誠実さを表しているように思える
この本に記載された、以下のソールライターの言葉からも、それは垣間見れる。
「写真はしばしば重要な瞬間を切り取るものとして扱われたりするが、本当は終わることのない世界の小さな断片と思い出なのだ。」
「自分が今何を見ているのか確かでない時が好きだ。
何故、私たちがそれを見つめているかが分からず、
ふいに見え始めた何かを発見する。この混乱が好きなのだ。」
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「永遠のソール・ライター」からさかのぼっての「ソール・ライターのすべて」。同じ写真も大きさとレイアウトの場所で違う写真に見えました。ソール・ライターの言葉も翻訳が違うので違う印象。「All about…」の方が硬いかな。2017年の展覧会の図録である本書には、あまり日本で知られていないソール・ライターをきちんと紹介したい、と気合が入ったのかも。2020年の展覧会の図録の「Forever…」では、わずか3年の間で日本でのソール・ライターの愛され方が反映されているような気がします。例えば、第二部的な女性たちのパートでは、2017年はバーバラ、イネス、キム、ジェイ、ソームズ、フェイ…とさすがHarper's Bazzarのフォッションカメラマンとしての存在感の証のような美女軍団ですが、2020年は、自らの妹であるミューズ、デボラと生涯のパートナーであるソームズだけがフューチャーされていて極私的になっているのも、ソール・ライターの何に日本人が感応しているか、という証左であるような気がします。次、来るのいつだろうか…日曜美術館で初めて知った自分としては次の展覧会が待ち遠しいばかりです。
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“雨粒に包まれた窓の方が、
私にとっては有名人の写真より面白い。”
(p.44より引用)
“肝心なのは
何を手に入れるかじゃなくて
何を捨てるかなんだ。”
(p.56より引用)
雨滴る窓ガラス・傘・高層ビルのような高いところから撮影したり、1/3の構図などが印象的。縦型サイズが多く掲載されていて、スナップショット集みたいだった。
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物陰から人の動きを覗くような構図で有名なソール・ライターの作品集。
実はあまり良さがわからなかった。もう少し学んでから再読しようかと思う。
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"There is a tremendous advantage of being unimportant.”
花を持つ人の向こう側からカメラを見つめる女の人。会話する二人の影の向こうで、一人で窓の外を見つめる人。
孤独を写した作品が印象的だったな。
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昨年、会期ギリギリで観覧できたソール・ライター展。その時の図録ではないけど。
それでも、衝撃だった。こんな構図がありえるのか。見えない向こうで起こっているかもしれないあれやこれやに思いを馳せる。