サーチライトと誘蛾灯 （ミステリ・フロンティア）

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第１０回ミステリーズ新人賞受賞の表題作を含む５編の連作短編集。
選評で指摘され著者本人もあとがきで書いているが、泡坂妻夫さんの亜愛一郎を意識しているとの事。確かに探偵役の雰囲気も似ているし、彼が一つの事にのめり込んでいて（この作品では昆虫）、会話がチグハグになるのも同じ。
リスペクトが悪い訳では無いが、奇妙な論理まで似せると泡坂さんには到底勝てない。とぼけたキャラも亜愛一郎に軍配が上がる。狙いは分かるが作風を変えた方が良いと思う。

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殺人事件が起こるところになぜかいる昆虫マニアのエリ沢。昆虫の知識を糸口に事件解決へといざなうミステリー短編集。脇役のように地味だが飄々としたエリ沢の虫の知識から推理をしていく点が面白い。インパクトには欠けるがどの短編も色が違うので飽きることなく読めた。あと、あとがきがすごく素敵な話だった。

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ミステリ短編集。一応殺人事件がメインとなるものが多いのだけれど、テイストはやや日常の謎風のゆるい印象。コミカルな会話も楽しくって、さくさく読めます。泡坂さんの亜愛一郎シリーズを意識されたそうですが。なるほど、言われてみればそんな雰囲気も。
お気に入りは「火事と標本」。案外とシンプルながら、この真相は予想できなかったなあ。そしてなんとも悲しくって、印象に残る物語でした。

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昆虫オタクの事件簿と呼べるような作品。５編の短編から構成されている。４編目の『火事と標本』は、いい作品だなと思った。

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別のアンソロジーで読んだときも、何かしっくりこなかったが、シリーズになっても同じだった。会話かな…。ホバリング・バタフライは良かった。

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2018年56冊目。キャラクターを楽しむものかと思って読んだけど、話自体も昆虫好きの設定をしっかり生かして、うまく作り込んでいる。特に⌈ナナフシの夜⌋と⌈火事と標本⌋は秀逸。

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ミステリーというジャンルはほぼ初めて。以前に著者はデイリーポータルZでおもしろい記事を書いていた印象もあって読んでみた。しかし２章まで読んで挫折。ミステリーというジャンルが合わないのか、この本が合わないのか、あるいはこちらの気分・体調が合わなかったのかも。

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短編五編からなる一冊。とぼけたキャラクターの探偵役に、“ああ、日常の謎を解くタイプのやつかな？”と思っていたら、しっかりと殺人事件が(笑) ともあれ、楽しく読みました。このシリーズをもっと読みたいですね。

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ホームレス対策で公園の見回りボランティアをしている『吉森』がその夜出会ったのは、いい歳をしてカブトムシを捉まえに来たというとぼけた青年と、植え込みに潜り込んでうたた寝をしていた探偵を名乗る男。二人を追い払い帰途についたのだが、翌朝公園で探偵が死体となって発見された。疑惑の目を向ける吉森に、虫好きの青年『魞沢（えりさわ）』が語った推理とは・・・
第十回ミステリーズ！新人賞を受賞した表題作を含む、五編の連短ミステリー。

各タイトルに虫が関係しているだけあって、頼りなさげなのに虫の話は饒舌になる主人公が鮮やかに解き明かす。ピントのずれた会話に謎解きのヒントがあったり、短編なのでそう複雑でもなくサクサク読める。虫のうんちくも楽しめる。特に蚕の話は悲哀を感じた。
軽快な語り口だが、事件自体は殺人で動機が重苦しいものが多いので、ほろ苦さが長く残る。

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亜愛一郎との差は小さくないけど、仕方ないとも思う。こういうキャラや作風は嫌いじゃないので、今後に期待。

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表題作は第10回ミステリーズ！新人賞受賞作。連作短編の形で、?沢泉という虫好きの男がなんとなく事件を解決してしまいます。?沢は泡坂妻夫氏の亜愛一郎を彷彿とさせ、たまに聞き間違い等で読み手の笑いを誘うのですが、変なパクリではなくきちんと書かれていて亜愛一郎のファンの私ですが、とても好感が持てました。受賞作の表題作がとても良いです。他は突出してはいないかもしれませんが同じような展開でも読後感がみな違って一冊通して読むとまとまりを感じます。このシリーズも書いて欲しいですし、他の違ったタイプの話も期待しています。

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『昆虫好きのとぼけた青年』魞沢（えりさわ）が解き明かす５つの事件。

夜の公園をパトロールしていた老人が追い出した不審者が翌朝死体となって発見される。
観光地化に失敗した高原を管理する非営利団体の噂を聞き、かつて夫が団体に所属していた女性が不審な行動を見張る。
町外れのバーの、常連客の男女のうちの男がその夜殺される。
親しくなった少年に標本を託し、写真家を目指す青年が母親と無理心中。
寂れていく教会の牧師が殺され、中学生の息子が行方不明になる。

あとがきにて、探偵役の魞沢は泡坂妻夫さんの亜愛一郎をモデルにしたとのこと、確かに亜のような飄々とした雰囲気は出ている。
昆虫好きということだが、単なる素人の趣味の範疇なのか、それとも研究者なのか、その辺りもよくわからないし、日本全国様々な場所に出没し昆虫を追いかけているらしいが、他人にスルッと入り込み馴染んでしまうところは掴みどころがない。

全体的に犯人探しやトリックというよりは、事件の裏で何が起きていたのか、どんなドラマがあったのかというそのプロセスを解き明かすのが魞沢の役目であり、そこにこのミステリーの面白さがあった。
表題作は意外な目撃者の存在に驚いたし、他にも本格物のような構図があったりなかなか楽しめた。

魞沢の受け答えのおとぼけとは逆に、事件の裏にあるドラマは苦く切ないものもあったりして、その対比も良い。
この作品がデビュー作らしいが、今後が楽しみな作家さん。

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昆虫を愛するちょっと、いや大分とぼけたエリサワ(漢字が変換出来ない)青年が夜の公園で、山で、バーの片隅で起こる謎を解き明かす短篇集。会話が主体で表題作では噛み合わなさに違和感があったが読んでいくうちにそれが味になってきた。ちょっとした謎が結構な重い真実に繋がる過程の物悲しさがレトロな雰囲気と合って好み。山で出会った女性の車に乗せてもらって高原で起こりつつある事件に迫る「ホバリング·バタフライ」と宿泊先の主人の幼い頃の思い出の秘密「火事と標本」が良かった。

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それぞれの事件でなんとなく探偵役になってしまう昆虫大好きの魞沢がとぼけた味わいでなかなか好感が持てる。さりげなく事件の真相を見抜いてしまうところが面白い。ぼんやりしているようでちゃんと見るべきことを見ている。事件自体は、それぞれお互いにつながりはない。ちょっと設定が自然じゃないところもあるけど、まあよしとしよう。次作に期待できる。

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身の回りにいる虫を深く子供の頃より見ていないなと思いました。虫にまつわる5つの物語。次巻も楽しみです。